Pioneer A-200
¥169,000(1982年発売)
解説
アンプそのもののハイクオリティ化とダイナミックレンジ化をテーマに開発したプリメインアンプ。
ダイナミック・パワーサプライ方式や、ノンスイッチング回路を採用し、リアル・ダイナミズムの思想をオーバーオールに反映してクオリティのあるハイパワーを実現しています。
ソースの広ダイナミックレンジ化に対応し大入力時でもスピーカーを存分に鳴らしきるために、電源部にはダイナミック・パワーサプライ方式を採用しています。
この方式は、低電圧部(VL)および高電圧部(VH)の2系統の電源供給部から構成され、通常信号レベルでは低電圧部だけでドライブしまし、大入力時には高電圧部でドライブするという電源回路で、これにより出力段の損失が大幅に減少し、ハイパワーを可能にしています。
また、高電圧部は信号波形に対して常に一定電圧値をもって追従するようになっているため、波形の欠損といったこともおきません。
さらに、広域で大信号が繰り返し入った場合は高電圧部がロックされたまま信号が持続する限りロックするという設計のため、立ち遅れによる波形の欠損も防いでいます。
そして、トランスには磁束漏れが少なく、高レギュレーションを特徴とする大型トロイダルトランスを採用し、電解コンデンサーは8本搭載しトータル176,000μFという大容量とするなど、徹底して低インピーダンス化を実現しています。また、電源部のパーツには銅リード線や無酸素銅線を使うなど非磁性化を徹底し、有害な磁気歪を追放しています。
パワー部には、スイッチング歪ゼロを実現した定評のあるノンスイッチング回路を搭載しています。
パイオニア独自のハイスピードバイアスサーボ回路の働きにより、入力信号に応じてバイアス電流をコントロールし、トランジスタを常に動作状態に保つ方式で、これにより、スイッチング歪による音楽の汚れを根本的に抑えています。
電圧増幅部と電力増幅部の間にFETバッファー回路を採用し、電圧増幅部と電力増幅部を完全に分離して、NFBをかける前の裸特性を大幅に改善しています。
FETの入力インピーダンスが無限大に近く、その性質上電力増幅部が負荷インピーダンス変動を受けても、その影響が入力側に現れず、さらに電圧増幅部の動作が安定し電力増幅部に低出力インピーダンスで駆動(定電圧駆動)できるため、電力増幅部の非直線性による歪の発生を抑え、スピーカーからのリアクション信号の影響を排除するほか、パワー部のいっそうの低歪率化を実現しています。
MCヘッドアンプは、入力から出力までをプッシュプル構成とし、さらに入力は超ローノイズFETによるパラレルプッシュプルとしています。また、DCサーボのフィードバック点を初段ではなく2段目のバイアス電源部にしてサーボ回路がSN比に影響を与えないような配慮をとっています。
この結果、SN比は74dBになり、この回路方式におけるトランジスタ等の熱雑音による理論限界値である76dBにぎりぎり迫る優れた特性を実現しています。
MCヘッドアンプ、イコライザーアンプ、パワーアンプのそれぞれにDCサーボ回路を採用しています。
これによりMC入力からスピーカー出力まで、すべてのカップリングコンデンサーを取り除き、全段ノンカップリングコンデンサー化を達成しており、コンデンサーに起因する音の色づけなどの心配をなくすとともに、解像度の高い音質を実現しています。
イコライザーアンプとパワーアンプを直結して純度の高い音質が得られるラインストレートスイッチを搭載してます。
トーンコントロール、モード、バランスボリュームをパスし、信号経路をシンプル化します。
音質に悪影響を与える磁気歪を抑え、より純度の高い音質を得るため、非磁性パーツを採用してます。
各増幅段に用いる半導体にはすべて銅リード線を採用し、エミッター抵抗など主要抵抗のリード線・キャップにも銅を使用しています。
また、主要コンデンサーのリード線に銅を使用し、主要配線材には無酸素銅線を使用してます。
シャーシには銅メッキを施した上、H型構造としてフレームの鳴きを防止しています。
さらにパワーアンプのLch、Rchの独立、大信号系、小信号系の分離、イコライザーアンプ、MCヘッドアンプの全てを構造上遮断する事により、相互干渉を防いでいます。
電源コードには2重絶縁構造の極太電源コードを採用しています。
さらに、ACラインの極性により音が変化することに着目し、トランスの巻き方や電源コードの極性を徹底管理しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
実効出力 | 200W+200W(20Hz~20kHz、両ch駆動、8Ω) |
高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.002%(実効出力時) |
混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.002%(実効出力時) |
出力帯域幅 | 5Hz~65kHz(IHF、両ch駆動、THD0.01%) |
出力端子 | Speaker(4Ω~16Ω):A、B、A+B Tape Rec:150mV |
ダンピングファクター | 140(20Hz~20kHz、8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/50kΩ Phono MC:0.15mV/100Ω、33Ω、8Ω Tuner、AUX、Tape Play1、2:150mV/50kΩ |
Phono最大許容入力(1kHz、THD0.0008%) | MM:300mV MC:18mV |
周波数特性 | Phono MM:20Hz~100kHz ±0.2dB Tuner、AUX、Tape Play:1Hz~200kHz +0 -3dB |
SN比 (IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) |
Phono MM:90dB Phono MC:74dB Tuner、AUX、Tape Play:115dB |
トーンコントロール | Bass:±6dB(100Hz) Treble:±6dB(10kHz) |
フィルター | Low:15Hz、6dB/oct. |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 360W |
外形寸法 | 幅420x高さ150x奥行420mm |
重量 | 19.0kg |