オーディオの足跡

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DCC900の画像
 解説 

フィリップスのDCC第一世代として開発され、カセットテープにも対応したDCCデッキ。

DCC(デジタルコンパクトカセット)だけでなく、アナログカセットテープの再生も可能です。
カセットテープを挿入すると、DCCとアナログカセットを自動的に検出して切り換えます。

ヘッドには新開発の20チャンネル超精密薄膜ヘッドを採用しています。
デジタル録音・再生に加えてアナログ再生も同時に実現するためには、デジタル録音・再生に9トラック、さらにアナログ再生2トラックが片面につき必要となります。従来の巻線型インダクティブヘッドではこれらのヘッドをひとつに収めることが不可能でした。フィリップスでは独自のミクロンオーダー技術としてICの製造工程で使用されている薄膜技術を用い、3種類のヘッドを1つのヘッドユニットに収めたロータリータイプの20チャンネル薄膜ヘッドを実現しています。
このヘッドはデジタル録音用IR(誘導型)ヘッド9個、デジタル再生用MR(巻線型)ヘッド9個、アナログ再生用MRヘッド2個のハイブリッド構成となっています。デジタル・オーディオ信号は8つのトラックに、制御用の補助信号が1つのトラックに記録されます。また、再生ヘッドのトラック幅を録音ヘッドより小さくした事でアジマルずれに起因す悪影響を極小に抑え、エラーレート悪化による音質劣化を排除しています。
ヘッドは上半分をデジタル録音・再生に、下半分をアナログ再生用としています。

人の聴感に基づいて開発されたデジタル信号処理技術であるPASC(Precision Adaptive Subband Coding)を採用しています。
この技術は2つの聴感特性を利用しています。人間の最小可聴値を示す基準であるヒアリング・スレッショルドと、大きな音によって小さな音が聞こえなくなってしまう現象であるマスキングスレッショルドの2つです。これを基準に人間に聞こえる信号のみをピックアップし、聞こえない領域や隠れる領域はデジタル処理せず、可聴領域信号のみを記録・再生する事で、従来の1/4の情報量で音楽伝送を可能にしています。

D/A変換部にはフィリップス独自のビットストリーム・コンバージョンを採用しています。
この方式ではデジタル信号をそのまま電圧に変換するのではなく、一度パルスの粗密波に変えた上でアナログ信号を得ており、原理的に非直線性歪やゼロクロス歪が生じないD/A変換を実現しています。これにより微少レベルの音楽信号の再現性を改善しています。

エラー訂正にはCDと同様のリードソロモン方式のエラー訂正能力を持たせています。
この方式では仮に8トラック中1.5トラックに障害が発生しても完全な訂正が可能です。

メカニズムを中央に配置したセンターレイアウトメカニズムを採用しています。
動作基準であるメカニズムをセンターに配置する事で理想的な荷重配分を実現し、安定したテープ走行を可能にしています。

アナログカセット用のノイズリダクションシステムとしてドルビーB/C NRを搭載しています。

オートリバース機構を採用しており、DCCもアナログカセットもA/B面オートリバースが行えます。
DCCの録音・再生やアナログカセットの長時間連続再生が可能です。

テキスト機能を搭載しており、デッキ本体ディスプレイ上に12文字の英文字を表示できます。
DCCミュージックソフトを再生する際には、曲番や時間情報に加え、アルバムタイトル、アーティスト名、曲名なども表示できます。トラックのトータルナンバーやテープのトータル時間も表示可能です。

光と同軸のデジタル入力端子を装備しています。
サンプリングレートコンバーターを搭載しており、デジタル入力時は48kHz、44.1kHz、32kHzのサンプリング周波数に自動対応します。

SCMSに対応しており、CDプレイヤーのデジタル録音が可能です。

マーカー機能を搭載しており、スタートマーカーやリバース&ネクストマーカーに対応しています。

スタートマーカーでは曲の順番を自動的に記録するスタートマーカーを録音時に自動的に書き込むことができます。再生時にはスタート箇所を素早くサーチでき、聴きたい曲の頭出しが可能です。
DCCミュージックソフトではサーチしている間、目指す曲のタイトルをテキスト機能によって表示し、曲名を確認しながら頭出しが行えます。

リバースマーカー&では、任意の位置にリバースマークを書き込んでおく事によって再生時には自動的にその位置でオートリバースを行います。また、ネクストマーカーではオートリバース後に裏面の最初まで巻き戻して再び再生を始める事が可能です。

アペンドキーに対応しています。
DCCブランクカセットを使って録音する場合に、すでに録音してある部分の終わりを自動的に探し出す事が可能です。サーチの後に最後の10秒が再生され、そのまま録音できる状態にスタンバイします。

フィリップスが開発した次世代のコミュニケーションリンクであるESI-バスに対応しています。
これによりフィリップスのコンポーネント900シリーズとシステムを組んだ際に一つのリモコンでシステム全体のコントロールが可能です。

カセットハーフにはスライドシャッターを採用しており、ゴミや埃が内部に入るのを防いでいます。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

脚部のインシュレーターは別売りオプションとして販売されました。

機種の定格
型式 DCCデッキ
チャンネル 2チャンネル
周波数特性 20Hz~22kHz ±0.2dB(48kHz)
20Hz~20kHz ±0.2dB(44.1kHz)
20Hz~14.5kHz ±0.2dB(32kHz)
符号化方式 PASC
サンプリング周波数 デジタル入力:32kHz、44.1kHz、48kHz
アナログ入力 44.1kHz
ダイナミックレンジ 再生:95dB以上
録音:90dB以上
S/N比 90dB以上(録再)
全高調波歪率 再生:0.003%以下
録音:0.005%以下
チャンネルセパレーション 再生:95dB以上
録音:80dB以上
ワウフラッター 水晶精度
入力 アナログライン入力:不平衡
デジタル同軸:0.5Vp-p/75Ω
デジタル光:IEC958 tos link
出力 アナログ固定:2V
アナログ可変:電動
デジタル同軸:0.5Vp-p/75Ω
デジタル光:IEC958 tos link
消費電力 30W
最大外形寸法 幅435x高さ140x奥行343mm
重量 9.0kg
別売 インシュレーター IN900(1組、¥5,000)