Phase Research Phase-R ¥89,000(1台、1970年代頃?)
解説
独自のコンプレッションラインロード方式を採用したスピーカーシステム。
エンクロージャーにはコンプレッションラインロード方式を採用しています。
これはトランスミッションライン方式を発展させたもので、内部の空気を圧縮して背面の細長い通気孔からエネルギーを放射する構造となっています。これにより前面振動に対する音圧に対して約10dB高い音圧を獲得しており、60cmウーファーに匹敵する低音を実現しています。
Phase-Rに採用されたコンプレッションラインロード方式では従来のトランスミッションライン方式に比べて約6~12dB高い効率を実現しています。
エンクロージャーにはR/HDライン・フィルターを搭載しています。
このフィルターはパイプオルガンの原理を逆用したもので、パイプオルガンではパイプの内容積と空気を送り込む開口部の大きさによって色々なトーン(周波数)を表現しますが、Phase-Rでは内部にパイプに相当する共鳴室を設け、室内に充填したダンプ材に有害な周波数だけを吸収させています。これにより低域のキレを改善し、より生き生きとした再生を可能にしています。
特に100Hz付近にファンダメンタルのある男性ボーカルなどにクオカ的です。
低域には20cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットには2層巻きのボイスコイルを使用しており、しっかりとしたリブと強化処理を施したコーン素材によって大入力への対応を図っています。
高域には3.5cmソフトドーム型ツィーターを搭載しています。
700gのマグネットとギャップの極めて小さいドライバー構造を採用しています。
ネットワークにはツィーター保護用のヒューズ(1A)を搭載しています。
フロントバッフルのユニット配置はリニアフェイズとなっており、ウーファーとツィーターの振動軸を揃えることで中高域と低域の位相を整合させています。各ユニットはエンクロージャーの上の方に接近して取り付けられており、下方にウーファーを配置したシステムに比べてリスニング空間に綺麗なパターンで音を放射しています。
また、バッフルボードの表面には薄い樹脂フォームが貼られており、前面から回りこんでくる低音の干渉を防いでいます。
エンクロージャーの素材にはファイバーウッドの強化ボードを使用しています。
この素材は一般のパーティクルボードやベニア合板と異なり、非常に堅く振動に強いという特長を持っています。これをさねはぎ構造で組み上げ、さらに内部にしっかりと補強を施すことで箱鳴りや有害振動を排除しています。
また、ボックス内に平行面が少ないため、共振が起こりにくい構造を実現しています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・2スピーカー・フロア型 ・コンプレッションラインロード方式 |
使用ユニット | 低域用:20cmコーン型 高域用:3.5cmドーム型 |
周波数特性 | 38Hz~20kHz -3dB |
クロスオーバー周波数 | 1.8kHz |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 88dB SPL/W/m |
入力 | 連続:100Wmax RMS:20Wmin |
外形寸法 | 幅330x高さ660x奥行355mm |
重量 | 17.2kg |