PASS X350
¥1,500,000(1998年発売)
解説
スーパーシンメトリー回路を搭載したXシリーズのステレオパワーアンプ。
X350は上級機X600の大型シャーシ1台分にL/R両チャンネルの回路を一体搭載しています。
回路方式にはスーパーシンメトリー回路を搭載しており、150dBを超える極めて大きなダイナミックレンジを獲得しています。この回路は出力フィードバックに依存しないため、DC領域から可聴帯域を超える超高域にまで高いパフォーマンスを示し、さらにあらゆるタイプのスピーカーに対しても変わらない安定した性能を確保しています。
スーパーシンメトリー回路は初段にバランスタイプのシングルエンドA級増幅段を持っており、さらに完璧にマッチングのとれた2つのバランス増幅ブロックを備えています。そして、両回路の半波間を接続して一層マッチングを高めるなどにより、バランスタイプの対称信号を入力した際にフィードバック無しで歪とノイズを20dB低減しています。さらに控えめなローカルフィードバックを施すことでさらに20dBの低減を実現しており、結果として歪やノイズを1/100にまで抑えています。
この回路は信号経路にコンデンサーを含まない完全DCアンプとなっています。また、デバイスには全てパワーMOS-FETを採用しています。特に対称性を重視する回路方式なため、全てのデバイスを同じウェハーから作り出した同じロットコードの中から選択し、それぞれ0.5%までのマッチングを図っています。
X350ではパワーMOS-FETをトータルで48個使用しています。
電源部には容量1,500VAのトロイダル電源トランスとコンピューターグレードの大容量電解コンデンサー6個を搭載しており、瞬発的な大出力にも不足の無い俊敏さで対応しています。
筐体には硬質アルミニウム製となっており、有害な磁気歪の発生を抑えると共に十分な肉厚で強度を確保しています。
フロントパネルのメーターでは総供給チャージ電流を示しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
ゲイン | 26dB |
周波数特性 | DC(-0dB)~100kHz(-4dB) |
定格出力 | 350W+350W(8Ω、最大、1kHz、1%THD) |
歪率 | 0.001% |
最大出力電圧 | ±80V |
最大出力電流 | ±20A |
入力インピーダンス | 22kΩ(バランス) |
ダンピングファクター | 30(定格8Ω) |
スルーレート | ±50V/μS |
出力ノイズ | 500μV(unweighted、20Hz~20kHz) |
ランダムノイズフロア | 約2μV |
ダイナミックレンジ | 150dB(ランダムノイズフロアからピーク出力まで) |
バランスCMRR | -85dB(1kHz、入力コモンモードリジェクション) |
DCオフセット | 100mV以下 |
温度(周辺温度) | +20℃ |
消費電力 | 600W 1800W |
外形寸法 | 幅483x高さ267x奥行559mm |
重量 | 60kg 約67.8kg(梱包時) |