PASS Aleph P mkII
¥560,000(1996年5月発売)
解説
4系統のラインレベル入力と可変増幅機能を備えたバランスタイプのA級シングルエンドプリアンプ。
回路にはパワーMOS-FETを用いた非対称の単段シングルエンド増幅を採用しています。
非対称増幅とはプラス方向の出力レベルがマイナス方向よりもわずかに高いことを意味します。このような増幅特性はMOS-FETシングルエンド回路に特有の性質で、パワーMOS-FETの基本的な特長を最大限に活かすことでネルソン・パスの理想とする音を実現しています。
バランス接続でも非対称シングルエンド動作となっています。
バランス信号をシングルエンド回路で増幅する方法は独創的なもので、バランス/アンバランス接続の選択もスイッチ切換や変換アダプター等の必要が無く、信号ケーブルの差替えで自由に行うことができます。また、バランス-アンバランスの相互変換信号がそのまま取り出せるというメリットも持っています。
入力セレクターで選択された信号はパワーMOS-FETの差動回路へダイレクトに入力されます。それ以外のゲインデバイスは無く、NFBもかけていません。このシンプルな回路構成とすることで音の純度を高めています。
レベルコントロール機能として、左右チャンネル独立の入力レベルセットボリュームと、低インピーダンスのディスクリート型レベルコントロールの2ステージ構成となっています。
左右チャンネル独立の入力レベルセットボリュームでは入力信号レベルに応じて最適な差動ゲインを設定することができます。このレベルコントロールは増幅素子のアースサイドに挿入されており、信号自体はダイレクトに入力されるため、音質劣化を回避できています。
また、ゲインを最小にしても入力レベルが定格をオーバーする場合には、内部基板に配置されたディップスイッチを使ってトータルゲインを-1.3-9.7-15dBに切換が可能です。
低インピーダンスのディスクリート型レベルコントロールは増幅段の後に設けられています。
このレベルコントロールはロータリーエンコーダーとマイクロコントローラーを介してリレーを駆動して精密抵抗を切換える方式となっており、0.1%誤差、256ステップの高精度アッテネーターを実現しています。この精密アッテネーターはバランス出力のコモンモードノイズ排除能力を損なわず、ゲインを絞れば回路のノイズも自然に抑え込んで高いSN比を保ちます。また、負荷条件による歪特性の変化を防ぐバッファーとしても機能するため、入力インピーダンスがゼロのアンプを実際上無歪でドライブする電流源としても使用できます。
シャーシフレームは精密機械加工のアルミニウム材で構成されています。
コンピューター制御のフライス盤によって自社で削りだしており、金属板の加工部品は使用していません。
常時通電したままでもトップコンディションを維持できる高信頼設計となっています。
また、電源入/切時の出力ミューティングリレーも装備しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
4つの丸いボタンのうち横並びのボタンは入力切換に使用し、縦並びのボタンはマスターレベルのコントロール用となっています。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
ゲイン | 1.3dB~15dB(内部スイッチにより切換) |
周波数特性 | 5Hz~100kHz -3dB |
全高調波歪率 | 0.1%以下 |
最大出力 | バランス:20V アンバランス:10V |
出力インピーダンス | バランス:0~1kΩ アンバランス:0~2kΩ |
入力インピーダンス | バランス:20kΩ アンバランス:10kΩ |
出力ノイズ | 5μV(unweighted、20Hz~20kHz) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 25W |
外形寸法 | 幅483x高さ102x奥行292mm |
重量 | 11.1kg 15.9kg(梱包時) |
付属 | ワイヤレスリモコン |