PASS Aleph 0s
¥520,000(1994年2月発売)
解説
PASSの第2弾として開発された、モノラルパワーアンプのAleph0のステレオバージョンにあたるパワーアンプ。
Aleph0sでは非対称増幅シングルエンド出力を採用しています。
これは設計者であるネルソン・パスの思想に基づいています。これは、空気の動作は非対称であってプッシュプル動作をしない。なぜなら空気は常に正の圧力の中で動くため圧力を高めることはできるが引くことはできず、ゼロ以下の負圧にすることは不可能。結果として正方向への圧力変化がわずかながら常に大きく、人の耳はそれを自然なことと感じているというものです。
このため、正確な対称増幅はA級B級などのバイアス条件と関係なくひずみ感を付加することになると考え、この増幅回路を採用しています。
回路構成は全段A級動作となっています。
また、全段にパワーMOS-FETを使用しており、約25W/chの出力まで純A級のシングルエンド動作を保ち、バイアス点を超えると滑らかにプッシュプル動作へ移行します。40Wまでスイッチング歪の無いA級プッシュプル。それ以上の出力ではB級領域で動作し続け、最大25Aに及ぶピーク電流を送り出します。これは1Ωの負荷に対して約600Wに相当する値で、殆どあらゆるスピーカーをパワフルに駆動することができます。
また、非対称A級動作に求められる理想的な変換曲線を得るために、パワーデバイスは特性偏差が0.2%以内というシビアな選別が行われています。
信号系は完全なDCアンプ構成を採用しています。
フロントステージはバランス入力にもアンバランス入力にもそのまま対応する特殊差動回路で構成されています。また、入力端子のpin3をグラウンドに落とすことでアンバランス入力時にもコモンモードノイズの影響を殆ど受けない優れた伝送特性と音質を維持しています。
シャーシは全てアルミ材のブロックからコンピューター制御のフライス盤で削り出して制作されており、全体がヒートシンクといえる精密構造となっています。
これにより、A級シングルエンド動作の発熱でも表面温度は50℃~55℃程度に抑えられています。また、内部温度が75℃を超えるとサーマルプロテクションシステムが作動してアンプをシャットダウンします。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
周波数特性 | DC~100kHz 0dB -3dB |
定格出力(20Hz~20kHz) | 40W+40W(8Ω) 80W+80W(4Ω) 160W+160W(2Ω) |
全高調波歪率 | 0.2%以下(8Ω、20Hz~20kHz) 0.1%以下(2Ω、160W、1kHz) |
最大出力 | 25A、30V(ピーク) |
出力インピーダンス | 0.025Ω(1kHz、8V、8Ω) |
入力インピーダンス | 13kΩ |
入力端子 | XLRバランス時(1:Ground、2:+、3:-) アンバランス入力時は3を1に落として下さい。 |
コモンモード除去 | 60dB(1kHz、0.1V入力、コモングラウンド) |
出力ノイズレベル | 10nW(-95dB、40W時、A規準) |
チャンネルセパレーション | 85dB以上(1kHz) |
DCオフセット | 100mV以下(暖機後、バランスモード) |
ウォームアップ時間 | 最短1時間 |
動作温度 | 50℃ |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 300W(40W/ch出力時) |
外形寸法 | 幅305x高さ267x奥行305mm |
重量 | 32.2kg |