オーディオの足跡

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Aleph0の画像
 解説 

ネルソン・パスが1977年以来あたため続けた構想を具現化したモノラルパワーアンプ。

ネルソン・パスは、空気を押して任意の圧力に高めることはできるが引くことは不可能であり、ゼロ以下の負圧にはならず、常に正の圧力範囲で振動して音を伝えると考えました。そして、正と負の圧力がシンメトリックに入れ替わってプッシュプル動作をすることはなく、正方向への圧力変動がわずかながら高くなります。人の耳はそれを自然なことと受け止めているためプッシュプルアンプによる正確な対称駆動は逆に歪み感を付加する結果になります。
この発想を元にしたのが空気に似た増幅特性を持つ非対称アンプとなります。このアンプは正の電流領域内だけで動作し、電流が増加する方向の増幅度がわずかに大きいという特長を持ちます。このような特性を持つアンプとしては3極真空管の純A級アンプがありました。しかし、このアンプでは出力トランスを除去すると10Wの出力に対して約700Wもの電力を消費するという問題点を持っていました。

Aleph 0の増幅回路は初段から終段までパワーMOS-FETで構成された非対称A級アンプとなっています。
この回路はプッシュプル動作へ移行しながら2Ωの重負荷に対しても250Wの連続パワーを送り込む事が可能となっています。プッシュプル動作のために不可されたプル回路は50W以下の出力では自動的にカットオフ状態となり、非対称A級動作の妨げとなりません。

フロントステージはパワーMOS-FETによる差動回路となっており、バランス接続にもアンバランス接続にも対応しています。また、通常の入力段の10倍に近いバイアス電流を流し、リニアリティを高めることでシンプルな回路から大きな駆動力を引き出しています。
信号回路は完全なDCアンプ構成となっています。

シャーシはアルミのブロックからコンピューター制御のフライス盤で削り出して制作されています。
全体がヒートシンクともいえる構造によってA級シングルエンド動作の発熱にもかかわらず表面温度は50℃~55℃程度に抑え込まれています。

内部温度が70℃を超えた時にはサーマルプロテクションシステムが動作して安全を確保します。

機種の定格
型式 モノラルパワーアンプ
周波数特性 DC~100kHz 0dB -3dB
定格出力(20Hz~20kHz) 75W(8Ω)
150W(4Ω)
250W(2Ω)
全高調波歪率 0.5%以下(8Ω、DC~80kHz)
最大出力 50A(パルス)、40V(ピーク)
出力インピーダンス 0.005Ω(1kHz、8V、8Ω)
入力インピーダンス アンバランス:51kΩ
バランス(差動):7.8kΩ
SN比 100dB(75W時、20Hz~20kHz、ノンウェイト)
DCオフセット 50mV(ウォームアップ後、バランス入力時)
付属機能 バランス/アンバランス入力切替スイッチ
コモンモード除去 60dB(1kHz、0.1V入力、コモングラウンド)
動作温度 50℃~55℃
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 300W(無信号時/最大)
外形寸法 幅304.8x高さ266.7x奥行304.8mm
重量 約32kg(出荷重量)