Ortofon MC30SuperII
¥60,000(1980年代後半頃?)
解説
MC3000の技術を投入して開発されたMCカートリッジ。
スタイラスにはレプリカント80スタイラスを採用しています。
レプリカント80スタイラスはバンデンハル・スタイラスを生産しているスイスのフリッツ・ガイガー社と共同開発したもので、形状はカッターヘッドそのままで接触部分にRがついた形状となっています。レプリカント80スタイラスでは、音溝中を動くスペースが最大となるように正面はフラットになっており、背面の接触形状には3つの面を持たせてチップの体積とマスを減少させながら強度と一体感を保持しています。また、接触面には正確な曲率半径を得るために硬度な研磨が施されています。さらに、90゜の音溝方向での形状はこれまでにない硬度な接触を実現しています。これらによってトラッキング能力だけでなく、歪特性、位相特性、高域特性、耐磨耗特性などを著しく向上しています。
ハウジングには硬いピュア・アルミ引き抜き成型を採用しており、有害な共振を排除しています。
さらに、ベース部の設計を変更し、ハウジングの接触面を大きくすることでシェル取付時の剛性を大幅に向上しています。
ノイズの原因となる静電気は、レコードプレイ中にカートリッジの金属部分からレコード表面への小さな火花として表れます。
これを改善するためMC30SuperIIの裏側には特殊カーボンファイバー・プレートが挿入されており、レコード表面から継続して静電気を放出させることで、静電気の量が多くなったり放電によるノイズを防いでいます。
さらに、ムービング・システムの底に硬いカーボンファイバープレートを取り付けることで共振も防止しています。
アーマチュアには小さな十字型を採用しており、ムービング・マスを大きくすることなくコイルの巻き数を増加させています。これによりスタイラス質量を0.3mgと軽量のまま抑えています。また、両チャンネルのクロス部分が同じで、チャンネルバランスも向上しています。
コイルはレコードの溝壁と同じように正確に90゜に取り付けられており、正確なステレオセパレーションを実現しています。このコイルには導電性に優れた純銀線を使用しています。
コイルの巻線数を抑えて高出力電圧を得るため、強力なマグネットとポールピースを装備しています。さらに、共振を減少させるためマグネットはボディ全体に取り付けられています。
ダンパーにはオルトフォン独自のWRD(ワイドレンジ・ダンピング)方式を採用しており、全域にわたってフラットな周波数特性を獲得するとともにコンプライアンスの向上を図っています。
機種の定格
型式 | MCカートリッジ |
出力電圧 | 0.2mV(1kHz、5cm/sec) |
チャンネルバランス | 1dB以内 |
チャンネルセパレーション | 25dB以上(1kHz) |
周波数特性 | 20Hz~40kHz +4dB -1dB |
コンプライアンス(ダイナミック、水平) | 16x10-6cm/dyne |
針先形状 | レプリカント80 |
適正針圧 | 1.8g |
内部インピーダンス | 3Ω |
自重 | 10g |