ONKYO Integra T-410DG
¥88,000(1978年頃)
解説
クォーツ・シンセサイザ方式によるデジタルFMステレオチューナー。
クォーツ・デジタル・シンセサイザ方式を採用しており、局発周波数を、PLL(フェーズ・ロック・ループ)で電子的に合成して作り出しています。
周波数は、100kHz間隔でデジタル的に決定され、しかも、PLLの基準周波数は、水晶発振器から取り出しているので、同調ズレや、これに伴う音質の劣化などの原因を取り除いています。
6局プリセット・デジタルメモリーを内蔵しており、希望の放送局を6局までメモリーする事が可能です。
オートスキャン機能を搭載しており、自動的にスキャンして、一定レベル以上の局のある周波数を簡単に見つける事が出来ます。
また、手動(マニュアル)による選局することも可能です。この際にはワンプッシュごとに0.1MHz(100kHz)づつ周波数が変化します。
パワースイッチのON/OFFに関係なく、常に時を刻み続けるクロック機能を内蔵しています。パワースイッチOFF時は、周波数表示部が時刻表示に切り換わる一方、パワースイッチON時には、FM受信機能とクロック機能が平行して動作します。
テープデッキの録音レベル設定に役立つ50%変調・440Hzエアチェック・キャリブレータ、テープデッキへダイレクトに録音できる専用出力端子、良好なアンテナセッティングに役立つマルチパス出力端子を装備しています。
マルチパス出力端子は、80dBの強入力までリニアーに検出できるもので、オシロスコープと併用することによって歪成分の少ないアンテナセッティングを決定できます。
また、オシロスコープの無い場合でも、アンプをマルチパスV端子へ接続することにより、歪成分だけを、直接耳で確認することができます。
3MOS-FETと6連バラクタ・ダイオードを採用したフロントエンドは、RF2段増幅、ダブル=ダブル=シングル同調という回路構成を採用し、秀れた妨害波排除性能を達成しています。
また、近接する2つの局によって発生する受信障害=相互変調妨害を徹底的に低減しています。
さらにIFの初段(wide)には、従来のバイポーラトランジスタやICに代えて、雑音指数が低く、ダイナミックレンジの広いMOS-FETを採用。さらに第2ゲートにAGCをかけて、強入力時のリニアなレスポンスを確保しています。
電波事情の違いに応じて最良の音質を実現する帯域幅2段切換のIFを採用しています。wide時には、郡遅延直視装置によって、フラットな帯域の中心を10.7MHzでおさえた新型4素子リニアフェースフィルタを採用し、そのシビアな特製の選別・管理により、わずかないそうのうねりも補正する、正確な逆特製の位相等化フィルタの追加を可能にしました。
また、narrow時には、上記のフィルタ前段に6素子リニアフェーズフィルタが加わり、強力な隣接局の妨害波をシャープにカットします。
FM放送に含まれる19kHzのパイロット信号は、ステレオ分離用としては必要ですが、L・R分離後は、音声信号への混入を防ぐため、カットオフ15kHzのローパスフィルタで取り除いていました。このフィルタが、高域音声信号に悪影響を与えていましたが、T-410DGではMPX・PLLICにパイロットキャンセラーを内蔵し。ローパスフィルタのカットオフ周波数を充分に延ばすことによって、18kHzの高域まで周波数特性を拡大しています。また、IC内部のアンプに充分なNFBをかけ、高調波歪の発生を低減しています。
MPXでL・R分離用として必要な19kHzパイロット信号が、音声信号によって変調されると、最終的に分離されたL・R音声信号の高域にビートが発生するだけでなく、中域にも歪が増加します。
インテグラでは、MPXの歪の主な原因がここにあることを解明し、ビートキャンセラーを開発。19kHz以外の全信号をカットして、純粋なパイロット信号を取り出すことに成功しています。この結果、中域歪と高域ビートの低減に大きな成果をあげ、広帯域にわたる優れた低歪率化を実現しています。
FM放送では、音楽の振幅が大きいほど、変調波が深くなり、ダイナミックレンジの広い音楽番組では、通常100~150%、ピーク値で200%に達する放送例があります。したがって、これを受けるチューナー側で、100%変調時に良好な特製を示しても、それ以上で急激に音質が劣化したのではHi-Fiの意味がありません。
この問題を解決するためにT-410DGでは、IF部と、広帯域レシオディテクタ、低歪率MPX部、さらにダイナミックマージンの大きい±2電源オーディオアンプを採用し、200%変調時でも低歪を実現しています。
機種の定格
型式 | デジタル・シンセサイザFMステレオチューナー | ||||||||
<FMチューナー部> | |||||||||
受信周波数 | 76MHz~90MHz | ||||||||
実用感度 | 1.8μV(IHF、300Ω) 10.3dBf(新IHF) |
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S/N50dB感度 | 3.0μV(IHF) 14.8dBf(新IHF) |
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イメージ妨害比 | 120dB(83MHz) | ||||||||
IF妨害比 | 110dB(83MHz) | ||||||||
S/N比 | mono:83dB stereo:77dB |
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スプリアス妨害比 | 110dB | ||||||||
2信号選択度(±400kHz離調) | 50dB(wide) 85dB(narrow) |
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AM抑圧比 | 60dB(wide) 57dB(narrow) |
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キャプチャーレシオ | 1.0dB(wide) 2.0dB(narrow) |
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歪率 |
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周波数特性 | 20Hz~18000Hz +0.2 -0.8dB | ||||||||
アンテナインピーダンス | 75Ω、300Ω | ||||||||
ステレオセパレーション |
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キャリアリーク | -70dB | ||||||||
出力電圧(400Hz、100%変調) | 可変出力:0mV~1200mV 録音出力:450mV |
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出力インピーダンス | 可変出力:最大時1.8kΩ 録音出力:2.7kΩ |
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<総合> | |||||||||
使用半導体 | 20IC、52Tr(5FET)、47Di | ||||||||
電源 | AC100V、50/60Hz | ||||||||
消費電力(電気用品取締法規格) | 9W | ||||||||
外形寸法 | 幅435x高さ108x奥行366mm | ||||||||
重量 | 6kg |