解説　

リア・ラジエーターを設けることで、一般的なスピーカーで不足する帯域の間接音成分を補った音場型スピーカーシステム。

通常の3ウェイシステムでは、ユニットの指向特性に起因する音響エネルギーのアンバランスによって、軸上の音圧周波数特性はフラットでも、エネルギーレスポンスはクロスオーバー周波数付近で大きく波打ち、しかも高域になるほど減少するというパターンを示します。
この音響エネルギーの不均一を補正し、直接音と間接音との比を全周端数帯域にわたって一定に保つため、エンクロージャー上部及び背面部にリア・ラジエータが取り付けられています。このリア・ラジエータはフロントの各ユニットの高域のエネルギーを補正するため、3ウェイで構成されています。

低域にはデルタオレフィン・リファインド・コーンを用いた38cmコーン型ウーファーを搭載しています。
デルタオレフィン・リファインド・コーンは、従来のデルタオレフィンを改善したもので、最大の特徴である理想的な内部ロスをそのまま保ちながら、添加化合物のコントロールにより、ヤング率を4倍に高めて剛性を強化しています。
また、磁気回路には160φx85φx20tmmの大型マグネット及び口径76mmの4層巻きロングボイスコイルを採用しており、ダンパーにはリニアリティの優れたガラス強化ポリイミド樹脂製蝶ダンパーを採用しています。

中域には、マグネシウム合金と10cmコーンを組合わせた複合型ユニットを搭載しています。
振動板部分は、65φmm厚さ100μのマグネシウム合金振動板と10cmコーンの複合振動板を採用しており、軽量化と高い剛性を両立させています。また、複合振動板構造によって振動板の軽量や2点支持などサスペンション系の安定化も図られています。
磁気回路には、140φx75φx1tmm、磁束密度12,000gauss、総磁束127,000maxwellの強力マグネットを採用しており、ボイスコイルには65φmmボイスコイルを採用しています。
エッジにはマグネシウム合金振動板とコーンをそれぞれ支持する、特殊な2重支持構造を採用しています。
この中域ユニットには、容量0.7l、最低共振周波数240Hzのバックキャビティが設けられています。

高域には2.5cmドーム型トゥイーターを搭載しています。
振動板には、新しく開発に成功した樹脂蒸着法を採用し、6μという薄さで均一なコーティングを施した新開発の40μマグネシウム合金振動板を採用しています。また、従来高域共振を抑えるためドーム部内面に貼布していた制動用の発泡ゴムを除去し、4～5dBの能率向上と、45kHzに及ぶ広帯域特性を得ています。
磁気回路には、強力マグネットの使用に加えて、プレート磁束が集中しやすい形状とし、さらにギャップ内に磁性流体を注入し、ボイスコイルに全ての磁束が集中するような構造を採用しています。
さらに、コンピューター解析によるイコライザを採用することで、10kHz～15kHzのエネルギー特性や指向特性の改善をしています。

ウーファーの高域の音響エネルギーを補正するLow-Midラジエータには、デルタオレフィン振動板の10cmコーン型ユニットが採用されています。

Mid-Highラジエータには、7cmコーン型ユニットを2個使用しており、バッフル面に対して30゜の角度をもったフレームに固定されています。

Super Highラジエータには、口径35mmのボイスコイルで駆動されるリング状振動板を、90゜の立体回転角をもつコニカルホーンと組み合わせて使用しています。

機種の定格

方式	6ウェイ・7スピーカー・音場型バスレフ方式 ・ブックシェルフ型
使用ユニット	低域用:38cmコーン型 中域用:10cm複合型 高域用:2.5cmドーム型 [リアラジエーター] 10cmデルタオレフィンコーン型 7cmコーン型x2 リングラジエーター
再生周波数帯域	23Hz～45kHz
最大入力	150W
瞬間最大入力	1,500W
インピーダンス	6Ω
出力音圧	91dB/W/m
クロスオーバー周波数	450Hz、3.5kHz
レベルコントロール	スコーカ・トゥイーター及び各リア・ラジエータ独立式
内容積	103L
外形寸法	幅486x高さ790x奥行430mm
重量	42kg