ONKYO QuartLam-III
¥25,000(1台、1976年頃)
解説
QL方式を採用したフロア型スピーカーシステム。
QL方式はフルートや横笛などの原理を応用したもので、スピーカーの後部に設けられたALT(Acoustic
Loading Tube)によって、スピーカーの背面から出た音を、管の長さが1/4波長に相当する周波数で共振させ、低音域を能率よく再生する方式です。この方式のエンクロージャーの構造は一見バックロードホーン型に似ていますが、QL型とバックロードホーンとではユニットの取付位置が異なり、QL型では管の途中でつけられています。
QuartLam-IIIでは管の長さを1.8mで設計しており、これに1/4波長で共振する周波数(最低共振周波数)は47.2Hzとなり、これが低域の下限周波数となります。
また、共鳴管なので共振周波数は47.2Hzを最低として整数倍の周波数に共鳴が発生します。これを防ぐため仕切り板にテーパーをつけて管の太さを変えたり、管の一部に適度の吸音材を貼付ける、チューニングポートを設けて調整する、スピーカーの取付位置を厳密に選ぶなどの対策が施されています。これらの対策によってQを下げレスポンスの乱れを防いでいます。
低域には16cmコーン型ウーファーであるW-1608Cを搭載しています。
このユニットでは軽量・長繊維コーン紙とコンプライアンスの高いウレタンΩ型ロールエッジによって明るく豊かな低音再生を実現しています。また、磁気回路には直径100mmの大型マグネットによる磁気回路と大口径30mmのアルミ箔ボビンのボイスコイルを採用しており、ダンピングやリニアリティを改善しています。
高域には8cmコーン型トゥイーターであるTW-825A/TW-825Bを搭載しています。
これらのユニットはエッジが異なっており、フィックスドエッジとフリーエッジをそれぞれ採用しています。これにより同じ8cm口径でも異なる特性を持たせ、受け持ち帯域をずらしてスタガーにオーバーラップさせることで高域の再生能力を高めています。
また、ネットワークもそれぞれ独立させた構造となっています。
後面にレベルコントロールを搭載しており、トゥイーターのレベルが3段階に切換ります。
また、Minimumポジションではトゥイーター1がカットされます。
エンクロージャーには硬質パーチクルボードを採用しており、前面バッフルは板厚を特に厚く取っていま。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・3スピーカー・QL方式・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:16cmコーン型(W-1608C) 高域用:8cmコーン型(TW-825A、TW-825B) |
再生周波数帯域 | 47Hz~20kHz |
最大入力 | 40W |
出力音圧レベル | 94dB/W/m |
インピーダンス | 6Ω |
クロスオーバー周波数 | 1kHz |
レベルコントロール | 高域用、3ステップ |
外形寸法 | 幅240x高さ730x奥行380mm |
重量 | 13.5kg |