ONKYO M-3
¥38,000(1台、1976年頃)
解説
M-6の設計ポリシーを受け継いで作られたスピーカーシステム。
M-3では大入力・高能率化を図ると共に微小入力時のリニアリティも改善することで、プログラムソースの包含するダイナミックレンジをカバーしています。
また、ウーファーを殆どフルレンジに近い動作としており、楽音のエネルギー分布の大半を占める帯域をシングルでカバーし、これに伴うクロスオーバーネットワークも簡素化することで定位を改善しています。
低域には28cmコーン型ウーファーであるW-3030Aを搭載しています。
振動板には大入力に強いマルチコルゲーション付きシートコーンを採用しており、これを50φmmロングボイスコイルと120φx60ファルx20mmの大型磁気回路でドライブすることによって大入力と高能率を実現しています。
また、エッジ部には特殊成型2層ウレタンエッジを採用しています。このエッジは上層にエステル系、下層にエーテル系の物性の異なる2種のウレタンフォームを3:7の比率で貼り合わせた上、コーン紙側からフレーム側へと、ジョジョに密度が低くなるような特殊な形状に成型しています。これにより大振幅じの激しいコーンの動きにもリニアな追従性を発揮し、非直線性歪の発生を抑えています。
ダンパーには強度と耐熱性が高く、履歴現象の少ない応答特性の優れた特殊高分子材料のダンパーを採用しており、機械抵抗を小さくし、ダンピング特性を改善しています。また、ロングストローク・コルゲーションに成型することでリニアリティの改善を図っています。
高域には4cmコーン型トゥイーターであるTW-407Aを搭載しています。
振動板には3種類のパルプ混抄コーンを採用しており、針葉樹パルプ(剛性)、ミツマタ(強靭さ)、カポック(軽くて内部ロスが大きい)の3種の物性の異なるパルプを適量に配合することで、それぞれの持ち味をミックスし、コーン紙の必要条件を満足させ、よく伸びた高域特性と優れた過渡特性、高能率を実現しています。
一般的なレベルコントロールとは違うモードセレクターを搭載しています。
モード1は一般的なリスニングルームに適しており、部屋の音響特性のバランスがよく取れている場合に最適です。モード2はジャズやロック等の高・低域を強調したい時や、部屋の音響特性が比較的デッドな場合に適しています。
モード3はライブに感じられる部屋など、中高域がうるさく感じる場合や、おとなしい感じの音を楽しむ場合に設定します。
エンクロージャーは充分な板厚と補強材によって減衰波形の綺麗な構造を実現しています。また、バスレフ用ポートにはスリットを設けて低域の制動を改善しています。しかもバスレフ用ポートとトゥイーター取付アダプタは位置交換が可能となっており、片方のポートを入れ替えることで左右対称型のシステムとすることができます。
外観はポリウレタン塗装が施されています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:28cmコーン型(W-3030A) 高域用:4cmコーン型(TW-407A) |
再生周波数帯域 | 35Hz~20kHz |
最大入力 | 80W |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 94dB/W/m |
最大音圧レベル | 113dB/m |
クロスオーバー周波数 | 2kHz |
セレクター | 3段階モードセレクター |
内容積 | 57リットル |
外形寸法 | 幅360x高さ625x奥行370mm(サランネット含む) |
重量 | 17kg |