ONKYO E-83A new mkIII
¥75,000(1台、1975年頃)
解説
E-83AmkIIIをベースに、中域及び低域のユニットを一新し、高域のユニットを改善することによってグレードアップを実現したスピーカーシステム。
低域にはセプターで開発した技術を素材を投入した30cmコーン型ウーファーであるW-3024Eを搭載しています。
振動板には物性の異なる2種のフィンランド産パルプを用いた混合コーンを使用しており、音質的に効果のある曲率を持つカーブドコーンに仕上げられています。さらに、エッジには追従性が良くコーンの横ブレ等の機械歪の発生を防ぐネオプレン発泡ゴムエッジを採用しており、ウーファー単体でのfo=20Hzを実現しています。
ボイスコイルにはエッジワイズ巻ボイスコイルを採用しており、アルミ箔ボビンを使った巻幅約20mmのロングボイスコイルとする事で良好な伝播特性を確保しています。
中域には、セプターユニットの拡散ホーンスコーカーHM-450Aを外面化粧のみ省略したタイプであるMD-301001Cでそのまま搭載しています。
ホーンの材質と形状に独特の工夫を加えた拡散ホーンは周辺部になるほどホーンの音道が長くなるよう設計されており、ホーン内部で音波を球面波に変えることによってホーン型の弱点であった指向性を大幅に改善しています。
また、振動板には超硬質ジェラルミン箔を用い、バックキャビティで積極的な空気制動を行うことで、過渡特性や歪特性するとともに低域再生範囲を広げています。
ホーンスロート部には新しく設計された二重イコライザが採用されており、スリットを二重にすることで振動板の各部分から出た音がスリット部で逆位相になって打ち消しあい波長が短くなるため、高域の特性が改善されています。
これらの対策によって、カットオフ周波数が450Hzと低いにもかかわらず拡散ホーンによりホーン長は短く小型化され、さらに高域は二重イコライザの採用により1.3kHzまで伸び、広帯域化を実現しています。
高域にはホーン型トゥイーターであるTW-611Aを搭載しています。
ホーン部には、充分なホーンロードを持ち、内部反射や材質の鳴きを抑えた精密ダイキャストによるエクスポーネンシャルホーンを採用しています。さらにホーン表面にモルトプレーン処理を施すことで見かけ上のホーン長を長くとって制動を改善し、優れた過渡特性を得ています。このモルトプレーン処理はホーン内部での反射抑制効果も持っており、再生音のナチュラリティを高めています。
また、振動板にはセプターで開発した超硬質ジュラルミン箔を使用し、磁束密度14,500gaussの磁気回路と相まってスムーズな応答を実現しています。
ネットワーク部には低損失LCネットワークを採用しています。
また、中域、高域用にそれぞれ5ステップのレベルコントロールを搭載しており、±2dBの範囲で調整が可能です。
エンクロージャーには密閉方式を採用しており、フロントバッフルには硬質チップボード、その他の場所にはラワン合板が使用されています。また、外観にはウォルナット仕上げが施されています。
マルチ端子を搭載しており、3ウェイのマルチアンプ駆動が可能です。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型(W-3024E) 中域用:ホーン型(MD-301001C、HM-450A同等) 高域用:ホーン型(TW-611A) |
再生周波数帯域 | 30Hz~20kHz |
最低共振周波数 | 45Hz |
最大入力 | 60W |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧 | 93dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、6kHz |
レベルコントロール | 中域、高域、各5ステップ |
外形寸法 | 幅420x高さ720x奥行390mm |
重量 | 25kg |