解説　

D-77FXの改良型としてMID4コンセプトをさらに進めたスピーカーシステム。

MID4コンセプトをさらに薦めるため、ウーファーとスコーカーともカットオフ周波数2000Hzまでカバーさせ、ボーカルの基音やホルマント周波数からクロスオーバーを追放しています。
迫力ある低域を再生するのに有利な大口径ウーファーとクロスの指向性が有利な小口径スコーカーの長所を融合させることで、パワフルなボーカル再生と歯切れのよい低域再生を実現しています。

低域には振動板にバイオクロスコーンを使用した27cmのコーン型ウーファーを採用しています。
バイオクロスコーンは北極圏に近い高緯度で産出された木材パルプに、天然セルロースの中でも結晶度の高いセルロースを精製して混抄したもので、これら2種類のセルロースを一体化しして紙層ネットワークを形成することで、剛性、機密性のバランスがとれた物性を得ています。

中域にはウーファーと同じバイオクロスコーンを用いた16cmコーン型スコーカーを採用しています。

高域にはグランドセプターGS-1で開発したスーパーハイパボリック・ホーン(SHホーン)を原型に、そのノウハウを活かして開発されたSHホーントゥイーターを採用しています。
ホーン断面積の変化を双曲線関数、形の変化については偏平関数と形状関数を含むスーパー楕円関数を採用し、この連立方程式を解くことによって決定しています。
また、ホーンの音質で問題となるマルチパスゴースト歪についても、ホーン形状、構造面から徹底的な対策を行い、これを排除しています。
さらに、オンキョーが独自に開発したホーン量産化技術である振動板の高さや形状の精度を高めた超精密プレス法やポールピースをスライド方式とした製造工程によって、狭ギャップ、超精密ドライバー部とカットオフ周波数1000HzのSHホーンのマッチングを成し遂げ、ホーン本来のハイトランジェントとパワーリニアリティを実現しています。
また、ダイアフラムにはよりナチュラルな音質を獲得するため、軽くて内部ロスの多いアルミ･マグネシウム合金を採用しています。

M.D.C.T(磁気歪低減技術:Magnetic Distortion Cancel Technology)を投入しており、スコーカー、トゥイーターには銅リング、ウーファーにはアルミリングを装着して高調波歪を抑えています。
また、磁気回路も新しく大型なものを使用しています。
さらに、漏洩磁束を抑えるキャンセルマグネットによる防磁対策が行われており、ネットワーク内のチョークコイルへの磁界影響を防ぐと同時に、レイアウトの際のブラウン管などとの相互干渉を防いでいます。

ネットワークは、ユニット同時のスムースなつながりに注意して設計されており、ユニットごとの回路基板の分割や、回路、パーツにいたるまで分割の必要なパートは全て分割を行い、相互干渉がなく、歪の少ないネットワークとしています。

エンクロージャーは、定在波対策としてスリットとチャンバーで構成したにアコースティック・ウェーブ・レギュレーターを採用しており、吸音材の使用を最小にして他の必要な周波数領域には影響を与えないようにしています。
さらに、エンクロージャーの振動を抑えるため、特別に選定した高密度パーティクルボードを使用し、さらに隅木や前面バッフルの中央部、天板の補強などで機械的強度を高めています。

リスニングルームへ設置した状態での音質を磨くため、別売りで専用スピーカースタンドにも高剛性化と無共振化の設計がされており、D-77FXII本体と同等の強度を確保した硬質パーティクルボードを素材とした定在波の発生しない1本脚構造を採用しています。
また、起伏のある床面でもフラットでガタつきのないセッティングを行うため、前面の4つのポイントのうち、後部2つの高さを微調整できます。

機種の定格

方式	3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ ブックシェルフ型・防磁設計(EIAJ)
使用ユニット	低域用:27cmコーン型 中域用:16cmコーン型 高域用:ホーン型
再生周波数帯域	25Hz～32000Hz
ユニット周波数範囲	ウーファー:25Hz～2000Hz スコーカー:70Hz～2000Hz トゥイーター:2000Hz～32000Hz
定格入力	75W
最大入力	200W
インピーダンス	6Ω
出力音圧レベル	93dB/W/m
クロスオーバー周波数	2000Hz
キャビネット内容積	59.8L
外形寸法	幅380x高さ680x奥行351mm(サランネット含む)
重量	29kg
別売:スピーカースタンド AS-77M(2台1組、￥36,000)
外形寸法	幅395x高さ312x奥行355mm
重量	11kg