ONKYO D-77FX
¥62,000(1台、1990年発売)
解説
MID4コンセプトのバイオクロスコーンユニットとSHホーンと搭載したブックシェルフ型スピーカーシステム。
MID4コンセプトとは、ボーカル表現に照準を合わした発想で、120Hz~2000Hzまでの4オクターブを1つのユニットでカバーする事で破綻の無い音楽再生を行っています。
低域には27cmのコーン型ウーファーを採用しています。
振動板には高内部ロス・タイプのピュア・クロスカーボンを採用し、独自の共振分散構造によって密度の濃い低音再生を実現しています。
さらに、振動板、エッジ共に15%の軽量化が図られています。
中域には16cmのコーン型スコーカーを採用しています。
ボーカルの主要帯域である120Hz~2000Hzまでの4オクターブを1つのユニットでカバーするため、振動板としてバランスのとれた16cm口径とし、さらに、振動板にはホーントゥイーターとのマッチングを考慮し、超軽量(2.6g)のバイオクロスコーンを開発し、採用しています。
バイオクロスコーンは北極圏に近い高緯度で産出された木材パルプに、天然セルロースの中でも結晶度の高いセルロースを精製して混抄したもので、これら2種類のセルロースの一体化による紙層ネットワーク形成の結果、機密性を向上させています。
高域にはGrand Scepter GS-1設計時に開発されたスーパー・ハイパボリック・ホーン(SHホーン)を原型モデルに、そのノウハウを活かして開発されたSHホーントゥイーターを採用しています。
ホーン断面積の変化を双曲線関数、形の変化については、偏平関数と形状関数を含むスーパー楕円関数を採用し、この連立方程式を解くことによって決定しています。
また、ホーンの音質で問題となるマルチパスゴースト歪についても、ホーン形状、構造面から徹底的な対策を行い、排除しています。
さらに、ホーン型の音質を決定する重要なファクターである、振動板とフェイズプラグとのギャップ調整に関しては、ギャップを極限まで狭くなるように設計し、さらに安定した性能を発揮できるよう独自の新技術を開発し、高精度なホーンの量産化を実現してます。
この新技術とは、超精密プレス法による振動板の高さ、形状の精度の向上と、ポールピースをスライド式とすることによる製造工程の合理化で、これにより全数を高精度・狭ギャップに管理する事が可能になっています。
各ユニットには、漏洩磁束の発生を抑えるためキャンセルマグネットによる防磁対策を施しています。
これにより、ネットワーク内のチョークコイルへの磁界影響を防ぐとともに、ブラウン管などへの保護にも効果を得ています。
ネットワーク部は、ユニットごとの回路基板の分割や、回路、パーツにいたるまでの分割が必要なパートは、全て分割を行い、相互干渉が無く歪の少ない高純度なネットワークとしています。
エンクロージャーは、スリットとチャンバーで構成したアコースティック・ウェーブ・レギュレーターを採用し定在波を抑えています。これにより、吸音材を多用した際に必要な周波数帯域までも減衰させてしまう事で、低域の反応の鈍りや抜けの悪い音になっていたのを改善しています。
さらに、フロントバッフルの凹凸や端部の角度での反射・回折を防止するため、エンブレムやコントローラーなどの突起物を除いて、バッフル面をフラット化し、両サイドに40mmという大きなラウンドをもたせています。
リスニングルームへ設置した状態での総合的な音質を磨くために、専用のスピーカースタンドも高剛性化と無共振化を貫いた設計としています。
D-77FXと同等の強度を確保した硬質パーティ来るボードを素材とし、定在波の発生しない一本脚構造を採用しています。
さらに、わずかな起伏のある床面でも、フラットでガタつきの無いセッティングを行うため、底面の4つのポイントのうち、後部の2つの高さを微調整できます。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ ブックシェルフ型・防磁設計(EIAJ) |
使用ユニット | 低域用:27cmコーン型 中域用:16cmコーン型 高域用:ホーン型 |
再生周波数帯域 | 25Hz~32000Hz |
最大入力 | 200W(EIAJ) |
インピーダンス | 6Ω |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 120Hz、2000Hz |
キャビネット内容積 | 56L |
外形寸法 | 幅360x高さ680x奥行351mm(サランネット含む) |
重量 | 28kg |
別売:スピーカースタンド AS-77FX(2台1組、¥36,000) | |
外形寸法 | 幅390x高さ305x奥行355mm |
重量 | 11kg |