ONKYO PX-8F
¥79,800(1979年発売)
解説
ストレートアームを採用したフルオートプレイヤー。
トーンアーム部は、軽量化によりアーム自体の追随性を良くするとともに、アームの共振点を巧みに設定することで、レコードのソリ等による悪影響を極力排除しています。
PX-8Fでは、ストレートアームを採用することで、従来のS型アームに比べ実効等価質量を約半分の15gにしています。
さらに、素材にはパイロフィル・カーボンファイバーを採用しており、直径8ミクロンのカーボン繊維を特殊な処理方法で厚さわずか0.125mmの薄膜状に固め、3方向に異なる繊維方向にラミネートして、高精度マンドレルにてパイプ状に整形/研磨して採用しています。これによって錆や経時歪も無く、導電性なのでシールド効果もあるなどのメリットを得ています。
トーンアームサポート部には、高熱焼入れを施した超精密仕上げのミニチュアベアリングを用い、上下方向及び軸回転方向ともに非常に軽いフェザーサポート方式としたことで、初動感度はセンター値で6.8mgという優れた数値を示しています。
そして、シェル着脱部にはADC方式のコネクターを採用しています。バネ効果を持つ摺動ピンは、接触面積も大きく、汚れもつきにくく、摺動することでセルフクリーニング効果もあるため、接触不良の確立を低くしています。
レコードエンドの検出には、光電検出素子による完全無側圧方式を採用しています。
アーム回転軸部に設けられた遮光シャッターと光電素子で構成された近赤外インタラプターにより、フォトトランジスタに入射する光量が一定時間内にどれだけ変化するかを検出し、リターン機構を動作させる加速度検出形となっています。レコードエンドの偏芯溝に入ったアームが大きく振れるのを捕捉し、光量変化を瞬時に関数処理して音溝トレースとの違いを識別するので、演奏中に不用意にアームが戻ってしまうなどの事故が発生しません。
モーターには20極・30スロットのクォーツロック方式ハイトルクDDモーターを採用しています。
モーター軸に取り付けられたFG(周波数発電機)により回転数を検出し、この検出信号を5.52960MHzの水晶発振器から分周して得た正確な基準信号と比較し、わずかな回転の乱れも補正します。
また周波数発電器は全周積分型を採用して、円周上の極僅かな製作誤差もキャンセルし、安定度の高いクォーツPLL回路を構成しています。
ターンテーブルは、重さ2.2kg、直径33cmの大型ターンテーブルを一品ごとにダイナミックバランスをチェックして、最適質量分布になるよう精密仕上げを施して採用しており、380kg・cm2という慣性モーメントを得ています。
回転数を自由にコントロールできる連続可変バリピッチを搭載しています。
レコードの回転数を半音階分の±5.9%の範囲内で自由に連続的に可変することが可能で、変化量は前面LEDインジケーターで1%ごとに確かめる事ができます。
キャビネットには15mm厚の高密度パーチクルボードを使用し、床板との間に3mm厚の特殊ショックアブソーバーを入れ、さらにそれを複合型アコースティックインシュレーターで支えるという、ダブルインシュレーション構造をとっています。
インシュレーターは特に低域に有効なスパイラルコイルスプリングと、中高域で防振効果の大きい特殊形状防振ゴムを組み合わせた複合構造となっています。プレイヤーの総重量とコイルスプリングのコンプライアンスで形成される共振周波数は約10Hzで、これ以上の可聴周波数帯域で、優れた防振効果を得ています。
機種の定格
型式 | ダイレクトドライブ・フルオートプレイヤー |
<ターンテーブル部> | |
ターンテーブル | 33cmアルミダイキャスト、重量2.2kg(シート含む) |
駆動方式 | クォーツロックシンセサイズドDDモーター |
回転数 | 33・1/3、45rpm(ピッチコントロール±5.0%可能) |
ワウ・フラッター | 0.008%以下(WRMS・FG出力による) |
S/N比 | 63dB以上(JIS) |
<トーンアーム部> | |
トーンアーム | スタティックバランスストレート型・カーボンファイバーパイプアーム |
有効長/オーバーハング | 237mm/16mm |
オフセット角/トラッキングエラー | 21゜/+3゜~-1゜以内 |
針圧調整範囲 | 0g~3g |
適合カートリッジ重量 | 3g~10g |
<総合> | |
付属機構 | 着脱式ヘッドシェル(ADCタイプ) ダイヤル式アンチスケート機構 針圧直読付加 |
消費電力 | 7W |
外形寸法 | 幅480x高さ176x奥行408mm |
重量 | 12kg |