ONKYO PX-100M
¥500,000(1981年発売)
解説
フォノモーターの理想を目指し、回転裸特性の抜本的な改善を図った高級リニアモーターシステム。
PX-100Mはターンテーブルを外周直接駆動する、誘導型リニアモーターを採用しており、非常に優れた回転精度を実現しています。また、誘導型モーターとしての動作原理からも、ロータは無磁極であり、ロータの運動には磁極の押し曳きに伴うコッキング現象は全くなく、ステータから与えられる連続的推力により理想的に滑らかな回転特性を確保しています。
PX-100Mでは裸特性が素晴らしくサーボ回路は本来不要ですが、シャフト/ベアリング間の潤滑油の温度特性など、部分的に僅かな変化要素を持っているため、必要最小限のサーボをかけています。
リニアモータの回転原理は、まずコイルに電流を流すと磁界が発生し、磁界中にある導体に渦電流が発生します。この磁界を回転方向に動かすと、過電流を切る磁束が変化するため、円盤は磁界の動く方向に誘導されます。この磁界を動かすには90゜の位相差を持った正弦波を加えればよく、実際には能率を上げるため、90゜の位相差を持たせて何極も重ねています。さらにリニアモーターのトルクを上げるために、ステータとロータを中心に対向させて、磁束を有効に作用させています。
PX-100Mの場合、ロータを中心に対向させたステータ4ブロックを、シャフト中心に対称に配置することにより、トルクムラを完全にキャンセルし、滑らかな回転を実現してます。
ターンテーブルには、自重10kg、慣性質量2000kg・cm2、しかも純銅削り出しの重量級ターンテーブルと、シャフト径20mm、長さ94mmの極太・高剛性ステンレスシャフトを採用しています。
導電率が良くリニアモータのロータとして理想的な純銅を削り出しで成型することで、比重8.9と大きいためコンパクトにでき、無垢からの削り出しのため、ターンテーブルとロータを一体で仕上げられ、しかもコイルに挟まれるロータの精度が確保できるなどのメリットを得ています。また、ターンテーブル裏面にはデッドニング材を貼付けて、ターンテーブルの鳴きを押さえています。
また、シャフトの下端にはどの金属よりも高い硬度を持つタンガロイボール、スラスト座にはエチレン系樹脂を使用しており、シャフトとボールとの間は高荷重用特殊オイルで満たし、耐摩耗性とS/Nの向上を図っています。
素早く定速回転を得るため、起動時にのみ動作するハイトルクDCモーターと駆動回路を搭載しています。
キャビネットには、高剛性を得るべく、一体のアルミ鋳物を成型した後さらにフライス加工による精密加工を施しています。
さらに、アームベース部については材料にAl-Zn系の制振合金を使い、これをキャビネットに挟み込んで締めつけるという配慮がされています。
透明のアモルファス・ポリオレフィンをセンター射出成型で仕上げ、均一で厚み精度に優れたターンテーブル・シートを採用しています。これによりターンテーブル面の物性や密着性の劣化に起因する不要共振を排除しています。
アクリル製ダストカバーが付属しています。
ロングアームに対応したアームベースが別売りでありました。
機種の定格
型式 | リニアモータシステム |
モーター | 主モーター:アウターローターDD方式誘導型リニアモーター 補助モーター:ハイトルクDCモーター |
ターンテーブル | タフピッチ純銅ブロック削り出し、最大径33cm 自重10kg、慣性質量2000kg・cm2 |
制御方式 | クォーツPLLコントロール |
ワウ・フラッター | 0.005% |
回転数 | 33・1/3、45、78rpm |
S/N | 78dB以上(DIN-B、測定限界) |
起動特性 | 1/2周で規定回転(起動ブースタ使用) |
ブレーキ方式 | プランジャ駆動機械式 |
適合アーム実効長 | 本体アームベース:229~283mm 別売りアームベース使用時:235~312mm |
消費電力 | 55W |
外形寸法 | 幅560x高さ206x奥行374mm(ダストカバー含む) |
重量 | 40kg |
別売 | ロングアーム用アームベース AB-100(¥62,000) |