ONKYO Integra P-309
¥250,000(1983年頃)
解説
「スーパーサーボ方式」をさらに発展させた「W・スーパーサーボ方式」の集大成として開発されたステレオプリアンプ。
オンキョーが独自に開発したスーパーサーボ方式の特性を生かし、ヘッドアンプやステップアンプトランスを用いずにMM型からMC型まで全てのカートリッジに対応できるように、イコライザアンプのゲインアップを図っています。
MCヘッドアンプ、イコライザ、バッファの3ユニットをまとめて1ステージ方式のシンプルイコライザアンプとし、出力5W級のパワーアンプに匹敵する大電流Aクラスアンプを採用しており、バッファアンプなしの一段で、NF・CR分割タイプのイコライゼーションを実現しています。
初段差動アンプ部には、二つの超ローノイズ・High Gm FETをアルミケースで熱結合処理し、熱的バランス改善とともに、外来熱雑音を抑えています。また差動部をパラ接続にし、インピーダンスを下げる事でS/N向上を図っています。この差動アンプは、ミラー帰還容量を抑えるため、カスコード接続にして周波数特性の拡大をはかってます。
また、2段目差動アンプと3段目カレントミラー付差動アンプで大きな裸ゲインを確保し、それを巧みなポール設定による部分帰還を用いる事で、安定性と定歪率を実現しています。
パネル面にウェイティングモニターを搭載しています。
このモニタは、イコライザ終段のAクラスプッシュプルトランジスタと、イコライザの電源部に使われているトランジスタの温度を検出して、パワーON後のバイアスの安定度、アンプの動作状態を5段階に光るインジケーターで表示しています。
延長コードの持つインダクタンス分や抵抗分、接続部での接触抵抗やクロストークなどを防ぐため、W・スーパーサーボ方式を採り入れています。
不要な超低域による混変調を抑え、アース間インピーダンスに起因する有害な雑音成分を、等価的にキャンセルしてしまうW・スーパーサーボ方式は、付属のサーボセンサーコードを使う事により、プリとパワーの間の距離を電気的にゼロにし有害な成分をキャンセルしています。
音質に影響を与えない独自のトーンコントロール方式であるダイレクトトーンを採用しています。
パッシブ素子だけで構成され、信号通過経路内に有害なコンデンサが入らない方式なため、音質に影響を与えずに自由に音場補正が出来ます。
入力インピーダンスの低いパワーアンプを接続したり、複数のパワーアンプを並列ドライブする場合に、極端に低域が不足するなどの問題が発生しがちでしたが、スーパーサーボ方式を採用することで、出力部分にコンデンサを入れる必要がなく、低域時定数はサーボ回路のみで決定されるため、負荷の如何にかかわらず低域に不足が起きるのを防いでいます。
電源については、左右チャンネルの電源を完全に独立させて供給するとともに、同一チャンネル内でも前後段での電源を通じての干渉を防ぐため、給電系全体のローインピーダンス化を図り、ダイナミックモジュレーション(過渡的混変調歪)の発生を抑えています。
IntegraP-309では、左右独立したNF型定電圧安定回路を用いるとともに、銅板製の厚板ブス(母線)ラインで各回路ブロックを直結しています。
カートリッジセレクターを搭載しており、使用するカートリッジに合わせて最適負荷インピーダンスの切換えが可能です。
レコーディングセレクターを搭載しており、録音をしない場合にも、常にデッキが回路の一部に接続されたままにならないよう配慮されています。
また、レコードを聴きながらチューナー出力を録音することも可能です。
ヘッドホンの使用ができるようヘッドホンアンプを内蔵しています。
各種フィルターやミューティング、入力セレクター等がカンガルーポケット内に収容されてます。
シールド部はもとより、各部品に至るまで、必要な部品にはすべて銅、アルミ、真鍮等の非磁性体を使い、磁気フラックスの影響で発生する高次高調波歪を抑えています。
入力の切換えには自照式のワンタッチセレクターを採用しています。
また、小型特殊オーディオリレーでセレクトする方式を採用しており、信号系配線の引き回しをしていません。
サーモカップルド・レジスターを搭載しており、信号に対して微妙なサーボ効果が常に安定にかかるように、熱係数をカップルさせたレジスターを使用しています。
機種の定格
型式 | Wスーパーサーボ方式ステレオプリアンプ |
入力感度/インピーダンス | Phono MC:130μV/100Ω、330Ω Phono High Gain MC:2.5mV/100Ω Phono MM:2.5mV/47kΩ、100kΩ Tuner、AUX、Tape Play:150mV/47kΩ |
出力電圧/インピーダンス | Tape Rec:150mV/2.2kΩ Output:1.5V、最大13V/220Ω |
Phono最大許容入力(THD 0.05%、1kHz) | MC:19mV MM、High Gain MC:380mV |
周波数特性 | Phono MC:4Hz~150kHz +0.2 -3dB Phono MM:1.8Hz~170kHz +0.2 -3dB Tuner、AUX、Tape:0.8Hz~170kHz +0 -3dB |
全高調波歪率(THD、20Hz~20kHz、出力3V) | Phono MC(Volume-30dB):0.008%以下 Phono MM(Volume-30dB):0.002%以下 Tuner、AUX、Tape:0.002%以下 |
混変調歪率(SMPTE 70Hz:7kHz=4:1) | 0.003%以下(定格出力時) |
S/N(IHF-Aネットワーク、入力シャント) | Phono MC:70dB Phono MM:88dB Tuner、AUX、Tape:100dB |
トーンコントロール(Volume-20dB) | Bass:70Hz、±8dB Treble:20kHz、±8dB |
フィルター | High Cut Filter:7kHz、6dB/oct EQ Subsonic Filter:15Hz/20Hz、6dB/oct |
ミューティング | -20db |
トランジェントキラー動作時間 | Power on/off:7sec/100msec |
使用半導体 | トランジスタ:71個 FET:10個 IC:8個 ダイオード:50個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
AC出力 | 電源連動:2系統 非連動:2系統 トータル1000W(最大) |
消費電力(電気用品取締法) | 65W |
外形寸法 | 幅476x高さ122x奥行415mm |
重量 | 10.5kg |