オーディオの足跡

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Integra P-307の画像
 解説 

スーパーサーボ方式とダイレクトトーンコントロール方式を採用したプリアンプ。

Integra P-307のために新たに開発されたスーパーサーボ方式を採用しており、可聴域内に有害な位相偏移をもってこないために、充分に余裕をみて2Hz以下の超低周波をスムーズにカットしています。
この回路方式では、各ステージごとにモノリシックオペアンプによるサーボオペレーションを行い、MCアンプの入力から出力までの全段を通じて信号系(カップリングおよびNFループ)からコンデンサを排除しています。

スーパーサーボ方式のメリットをより確かなものにするため、ダイレクトトーンコントロール方式を採用しています。
一般的なアンプのトーンコントロール回路は、イコライザアンプとトーンアンプの間に挿入され、トーンブーストの場合に備えて20dB近いゲインを持たせています。この余分なゲインを常に持たせることでトーン回路自体のS/Nや歪特性に影響を与え、さらにトーン回路の後にインピーダンス変換機の働きをさせる意味でバッファアンプを1段入れることになり、特性に悪影響を与えていました。
ダイレクトトーンコントロールでは、イコライザアンプとフラットアンプだけで、トーン特性はボリュームコントロールと関連させて行うことで、全てパッシブ素子での構成を実現しています。これにより余分なゲインをとる必要が無くなり、バッファアンプも省略できることでシンプルな構成とすることで、特性の改善を可能にしています。
実際の動作時は、ボリュームコントロールと連動した効き方をし、通常は普通のトーンコントロールと同じような変化特性を示しますが、ある程度以上のボリュームではだんだんとトーンのブースト量が減衰する特性となっています。

左右チャンネルの電源を完全に独立給電するとともに、前後段間での電源を通じての干渉も防ぐため、給電系全体のローインピーダンス化を徹底しています。これによりダイナミックモジュレーション(過渡的混変調歪)の発生を極力抑えています。
P-307では、電源電圧の安定供給と、給配電ラインのローインピーダンス化のため、NF型定電圧電源安定回路を各チャンネルに入れるとともに、純度の高い銅板製のブス(母船)ラインを大幅に採用して各回路ブロックを直接ローインピーダンスの供給幹線に直結する直結給電方式となっています。

フラックスの影響を受けやすいスイッチやボリューム本体、シャフトなどに非磁性体を採用しています。
また、各段間での相互干渉を防ぐため、非磁性体によるシールドが施されています。

イコライザアンプ部は、前段カスコードFET差動入力、カレントミラー付き差動1段、出力段はA級パラレルプッシュプル構成となっています。
さらに、RIAA特性をより精密なものとするため、RIAA補正する周波数をふたつに分け、ローブースト側はNF型でハイカット側にはCR型を採用しています。特に高域を安定なCR減衰で補正することでスルーレートの劣化やブロッキングの発生もなく、また混変調も少なくなっています。
この2系統の時定数回路でそれぞれの帯域を専門に受けもつことで、10Hz~100kHzという広帯域で優れた補正精度が得られています。

MCアンプ回路の切換えには、クリック防止のため特殊ミューティング回路を採用しています。切換スイッチ機構にOFFポジションを設けるとともに、イコライザ出力をミュートする電子式ディレイ回路で切換時のクリックを防いでいます。
また、電源スイッチON時プリ出力とイコライザ出力をミュートするトランジェントキラー回路や、DCがリークした場合にもプリ出力をブレーク型リードリレーで瞬時にシャントして後段の機器を保護しています。

フラットアンプ部は、カレントミラー付カスコードFET差動入力、A級プッシュプル出力の構成となっています。独特の回路構成でローインピーダンス負荷にも耐えるよう設計されています。

MCアンプ部は、FET差動入力3段パラ接続により、特にローノイズ化を計っています。
出力段はA級パラレルプッシュプル回路とし、負荷変動の影響を受け難く、かつ高域での歪を改善しています。

半導体の電子部品や、各種操作スイッチ類、パネルやツマミといった部品、ビス一本にいたるまで吟味を重ねた精度の高い部品を使用しています。
また、主用なスイッチ、リレーの接点や、Phono端子などには、それぞれ銀接点、金メッキを施しています。

機種の定格
型式 ステレオプリアンプ
入力感度/インピーダンス Phono1、2 MM:2.5mv/33kΩ、47kΩ、100kΩ
Phono3 MC:120μV/220Ω
Tuner、Aux、Tape play1、2:150mV/47kΩ
出力レベル/インピーダンス Tape rec1、2:150mV/2.2kΩ
Output1、2:1.5V(最大20V)/220Ω
Phono最大許容入力(THD 0.05%)
MC: 17mV(1kHz)
82mV(10kHz)
MM: 350mV(1kHz)
1700mV(10kHz)
周波数特性 Phono1、2:1.6Hz~200kHz +0 -3dB
Phono3:5Hz~200kHz +0 -3dB
Tuner、Aux、Tape play1、2:0.8Hz~250kHz +0 -3dB
全高調波歪率(THD、
20Hz~20kHz、出力3V)
Phono1、2:0.005%以下(Vol-30dB)
Phono3:0.01%以下(Vol-30dB)
Tuner、Aux、Tape play1、2:0.005%以下
混変調歪率(定格出力時) 0.01%以下(SMPTE 70Hz:7kHz=4:1)
SN比
(IHF-Aネットワーク入力シャント)
Phono1、2:83dB
Phono3:67dB
Tuner、Aux、Tape play1、2:100dB
トーンコントロール(Volume-20dB) Bass:±6dB(70Hz)
Treble:±6dB(20kHz)
フィルター High cut filter:7kHz
EQ subsonic filter:15Hz/20Hz
ミューティング -20dB
出力レベル 0dB、-10dB、-20dB、off
入出力極性 全て同相
トランジェントキラー動作時間 Power on:8sec
Power off:100msec
使用半導体 トランジスタ:111個
FET:10個
IC:14個
ダイオード:87個
電源 AC100V、50Hz/60Hz
ACアウトレット 合計最大1400W
電源スイッチ連動:3系統
電源スイッチ非連動:1系統
消費電力 55W(電気用品取締法)
外形寸法 幅450x高さ124x奥行435mm
重量 10.5kg