オーディオの足跡

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Integra P-306RSの画像
 解説 

スーパーターボ方式を採用したコントロールアンプ。

新開発のスーパーターボ方式を採用しています。
この方式はデルタターボ回路とターボフィルター回路を組み合わせたもので、電源トランスに起因する変調雑音を抑え、動的ダイナミックレンジを20dB以上も拡大すると共にトランスから発生するフラックスの影響による高調波雑音をカットし、同時にアンプの外部から侵入する種々の電気的雑音も排除しています。

デルタターボ回路は、100Hz以下の低い周波数の信号が入力された時に電源に+-のアンバランスが生じて発生する変調雑音を防止する回路となっています。
従来の電源ではスピーカーに流れる信号波形がプラス側かマイナス側かで電力を供給するB電源のケミコンやトランス巻線もプラス側かマイナス側だけが別個に働いていました。特に音声信号が100Hz以下の時は片側の電源、例えばプラス側のケミコンを充電中にはマイナス側のケミコンは休んでおり、充電電流は中点を通ってトランスに帰ります。デルタターボ回路では音声信号の振幅が小さい間はダイオードがOFFになるため、プラス側を充電中でも電源は中点を通らずにマイナス側のケミコンへ流れ込みます。これによりマイナス側ケミコンがチャージアップされ、スピーカーへの電力供給によってプラス側の電圧が低下してもマイナス側の電圧は逆に上昇し、相対的にトランスの両端の電圧に対する電圧変動は小さくなります。このため充電電流が振幅変調される度合いは小さくなり、変調雑音の発生が抑えられることになります。
さらにこの回路ではダイオードがデルタ結線されているため、大電力動作時にダイオードがONになっても凌ぐ回路のアースポイントにだけは変調雑音が流れません。

ターボフィルター回路は信号の周波数に関係なく信号の大小によって発生する変調雑音を防止する回路となっています。回路の働きとしては、電源トランスから供給されるパルス波形によって発生する高調波スペクトルをケミコン充電に必要な量だけに抑えるフィルターとなっています。
高調波スペクトルによって発生する変調雑音は2系統あり、給電線を通って増幅器に流れ込むものと、電源トランスから磁気フラックスとなってアンプ内に飛び出していくものがあります。特にアンプ内の微小レベル増幅系ではこのフラックスで誘起される雑音電圧が生じ、本来の音楽信号を汚します。さらにこのフラックスは信号の大きさに比例して変動するため、聴感上は信号情報のように現れるため、再生音の分解能の限界のように思われてきました。ターボフィルター回路ではターボフィルター最適減衰特性に沿って変調雑音成分を抑え、必要な充電エネルギーをケミコンに送り込んでいます。
このターボフィルター回路は電源トランスのところにCRによる特殊なフィルターを入れたもので、このCRとトランスのインダクタンスによって下図のような等価回路のフィルターを構成しています。
ターボフィルターのもう一つの働きとして、変調雑音を抑えると共に外部のAC電源に乗っている種々の雑音等が電源部に入り込むのを防いでいます。これにより、AC電源の極性による音質の差も少なくなります。


スーパーサーボインテグラル方式を採用しています。
この方式ではスピーカーから直接受ける音圧やパワーアンプとの相性などの外部要因による音質上の問題に着目したもので、スーパースタビライザー、出力コンデンサレス方式、スーパーサーボコードの採用によって電気的、機械的な解消を図っています。

スーパースタビライザーは重量約3kgのスタビライザーで、シャーシ構造材として全体を強化すると共に重量化で耐振性が向上しています。さらに、各基板はこのスタビライザーに固定されているため、内部吸収効果で基板自体の振動を抑えています。
また、アンプ内部には様々な回路電流が流れ、それによる空間電荷が絶縁物上に複雑に分布しています。これらの電化は再結合時に信号回路に悪影響を与えます。スーパースタビライザーは特殊なカーボン粒子による導電層から形成されており、空間電荷の均一化が図られ、部分再結合を少なくしているため、より高い純度の再生音が得られます。

一般的なプリアンプの出力端には出力コンデンサーが入っていますが、コンデンサー自体の音質上の問題や、パワーアンプとの接続時に入力インピーダンスと出力コンデンサーによるRC回路によって低域がカットされていました。特に低い入力インピーダンスを持つパワーアンプと接続されたり、複数のパワーアンプを並列ドライブした場合にこの低域不足が大きな問題となりました。
スーパーサーボインテグラル方式では出力コンデンサーを排除したため低域時定数はサーボ回路だけで決定され、低インピーダンス負荷によるドライブ時もフラットな低域特性が得られると同時に優れた歪特性を実現しています。

付属のスーパーサーボコードを用いることでプリとパワー間のケーブルによる問題の解消を図っています。
出力アンプのプラス側入力端子は混変調歪の原因となる有害な超低域成分を検出して抑圧し、マイナス側のサーボアンプでP-306RSとケーブルの接続部分の抵抗分やケーブル自体の抵抗分、インダクタンス分等によって発生する成分をキャンセルすることでチャンネル間の干渉やセパレーションの劣化を防いでいます。
また、ピンプラグ部分での接触によるダイオード特性の影響を排除するため、アースラインにアイドリング用のDCバイアスを重畳し、非線型特性を抑えてIMを少なくしています。
アースラインの接続でサーボ回路が動作しますが、その動作はConnectionランプで確認することができます。また、このサーボコードによる効果は一般のどのパワーアンプと組み合わせても有効に働きます。


イコライザアンプはMMからMCタイプまで対応できるワンステージ方式のシンプルな構成を採用しています。前段の差動アンプ部には2個の超ローノイズHigh Gm FETを特殊なメタルケースで熱結合処理して採用しており、熱的なバランスの改善とともに外来の雑音成分を抑圧する効果も発揮しています。また、信号系のインピーダンスを下げて全体のS/N比向上を図るため、差動部分はパラ接続としています。さらに、より広い周波数特性を得るため差動部を貸すコード接続としてミラー帰還容量を抑えています。
2段目の差動アンプと3段目のカレントミラー付差動アンプで大きな裸ゲインを確保しており、巧みなポール設定による部分帰還を用いてハイゲインかつ優れた安定性と低歪率を実現しています。
終段はAクラスプッシュプル回路となっており、高域の重負荷にも低歪率でスムーズに次段アンプに信号を伝送します。

左右チャンネル間の相互干渉を抑えるだけでなく、前段・後段間での電源を通じての干渉を防ぐため、給電系全体の徹底したローインピーダンス化を図っており、ダイナミックモジュレーションの発生を抑えています。
高速度応答応答NF型定電圧安定回路を用いるとともに、母線ラインによって各回路ブロックを直結し、干渉による歪を抑えています。

トーンコントロールにはオンキヨー独自のダイレクトトーン方式を採用しています。
この方式ではトーンアンプを用いず、パッシブ素子だけで構成することで回路のシンプル化を図るとともに、信号系の回路内に音質上問題の多いコンデンサーを使わない方式を実現しています。

MCカートリッジ用にカートリッジセレクターを搭載しており、カートリッジの性能を発揮できるようにしています。(10~40Ω対応、3~10Ω対応)

CDポジション付きセレクターを採用しています。
CDポジションでは出力をダイレクトに入力できます。

レコーディングセレクターは録音時にのみ必要ソースをRECピン端子に送り込む方式とすることで、音質への影響を抑えています。

非磁性体部品による機構構造を採用することで有害な高次高調波の影響を排除しています。

高性能特殊音質改善型抵抗器を採用しています。

機種の定格
型式 コントロールアンプ
入力感度/インピーダンス Phono MC:130μV/100Ω、200Ω
Phono High MC:2.5mV/100Ω
Phono MM:2.5mV/47kΩ、100kΩ
CD、Tuner、Aux、Tape play:150mV/47kΩ
出力レベル/インピーダンス Tape rec:150mV/560Ω
Output:1V、20V(最大)/220Ω
Phono最大許容入力(THD 0.05%) MC:17mV(1kHz)、82mV(10kHz)
MM、High MC:300mV(1kHz)、1400mV(10kHz)
周波数特性 Phono MC:4Hz~150kHz +0.2 -3dB
Phono MM:1.8Hz~170kHz +0.2 -3dB
CD、Tuner、Aux、Tape:0.8Hz~170kHz +0 -3dB
全高調波歪(20Hz~20kHz、Vol-30dB、出力電圧3V) Phono MC:0.008%以下
Phono MM:0.002%以下
CD、Tuner、Aux、Tape:0.0015%以下
混変調歪率(定格出力時、SMPTE法(70Hz:7kHz=4:1)) 0.003%以下
S/N比(IHFネットワーク、入力ショート) Phono MC:69dB
Phono MM:86dB
CD、Tuner、Aux、Tape:100dB
トーンコントロール(Vol-20dB) Bass:±8dB(70Hz)
Treble:±8dB(20kHz)
フィルター特性 High cut:7kHz、6dB/oct
Subsonic cut:15Hz/20Hz、6dB/oct
ミューティング -20dB
トランジェントキラー動作時間 Power on:7sec
Power off:100msec
電源 AC100V、50Hz/60Hz
ACアウトレット 合計最大1000W
電源スイッチ連動:2系統
電源スイッチ非連動:1系統
消費電力 26W(電気用品取締法)
外形寸法 幅480x高さ100x奥行403mm
重量 10.5kg