オーディオの足跡

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Integra M-506RSの画像
 解説 

スーパーターボ方式を採用したステレオパワーアンプ。

新開発のスーパーターボ方式を採用しています。
この方式はデルタターボ回路とターボフィルター回路を組み合わせたもので、電源トランスに起因する変調雑音を抑え、動的ダイナミックレンジを20dB以上も拡大すると共にトランスから発生するフラックスの影響による高調波雑音をカットし、同時にアンプの外部から侵入する種々の電気的雑音も排除しています。

デルタターボ回路は、100Hz以下の低い周波数の信号が入力された時に電源に+-のアンバランスが生じて発生する変調雑音を防止する回路となっています。
従来の電源ではスピーカーに流れる信号波形がプラス側かマイナス側かで電力を供給するB電源のケミコンやトランス巻線もプラス側かマイナス側だけが別個に働いていました。特に音声信号が100Hz以下の時は片側の電源、例えばプラス側のケミコンを充電中にはマイナス側のケミコンは休んでおり、充電電流は中点を通ってトランスに帰ります。デルタターボ回路では音声信号の振幅が小さい間はダイオードがOFFになるため、プラス側を充電中でも電源は中点を通らずにマイナス側のケミコンへ流れ込みます。これによりマイナス側ケミコンがチャージアップされ、スピーカーへの電力供給によってプラス側の電圧が低下してもマイナス側の電圧は逆に上昇し、相対的にトランスの両端の電圧に対する電圧変動は小さくなります。このため充電電流が振幅変調される度合いは小さくなり、変調雑音の発生が抑えられることになります。
さらにこの回路ではダイオードがデルタ結線されているため、大電力動作時にダイオードがONになっても凌ぐ回路のアースポイントにだけは変調雑音が流れません。

ターボフィルター回路は信号の周波数に関係なく信号の大小によって発生する変調雑音を防止する回路となっています。回路の働きとしては、電源トランスから供給されるパルス波形によって発生する高調波スペクトルをケミコン充電に必要な量だけに抑えるフィルターとなっています。
高調波スペクトルによって発生する変調雑音は2系統あり、給電線を通って増幅器に流れ込むものと、電源トランスから磁気フラックスとなってアンプ内に飛び出していくものがあります。特にアンプ内の微小レベル増幅系ではこのフラックスで誘起される雑音電圧が生じ、本来の音楽信号を汚します。さらにこのフラックスは信号の大きさに比例して変動するため、聴感上は信号情報のように現れるため、再生音の分解能の限界のように思われてきました。ターボフィルター回路ではターボフィルター最適減衰特性に沿って変調雑音成分を抑え、必要な充電エネルギーをケミコンに送り込んでいます。
このターボフィルター回路は電源トランスのところにCRによる特殊なフィルターを入れたもので、このCRとトランスのインダクタンスによって下図のような等価回路のフィルターを構成しています。
ターボフィルターのもう一つの働きとして、変調雑音を抑えると共に外部のAC電源に乗っている種々の雑音等が電源部に入り込むのを防いでいます。これにより、AC電源の極性による音質の差も少なくなります。


スーパーサーボインテグラル方式を採用しています。
スピーカーのボイスコイルが振動した時にコイル内に起電力が発生するマイクロホン効果が発生します。この起電力はコイルが磁界内で振動する限り必ず発生するもので、根本的にこれをキャンセルすることはできません。しかも、スピーカーに入力される信号とこの起電力がぶつかる事で再生音に影響を与えます。特にステレオ音場の場合はRチャンネルから再生された音は空中を伝わってLチャンネルのスピーカーに到達し、その音圧でLチャンネルスピーカーの振動板を揺さぶります。しかも両スピーカーの間を伝搬する時間だけタイムラグを持っています。これによって発生する入力信号とは異なる起電力がパワー段に入ってくると、パワー段のリニアリティが良くない場合はLチャンネルの入力信号との間で時間差歪を発生し、再生音に大きな影響を与えます。
スーパーサーボインテグラル方式ではこの起電力に起因する混変調歪の発生を1/10以下(-20dB以上)に低減する回路となっています。問題の時間差歪はパワー段を含む電流増幅段のリニアリティを確保していれば問題とはなりません。そのため従来のアンプでは電流増幅段のノンリニアな部分を補正するためにNFをかけ、さらにNFで補正しきれないところは超低域用の+側サーボとアースライン用の-側サーボのWスーパーサーボによって補正し、それなりの効果をあげていました。スーパーサーボインテグラル方式ではこの考えをさらに推し進め、電流増幅段の特性を大幅に改善し、その上に従来と同じ補正を行うことで時間差歪の改善を図っています。
具体的には出力段の出口から電流増幅段だけにリニアリティの補正回路による正負帰還をかけ、この段のリニアリティを向上させることで時間差歪を抑えています。

オンキヨー独自のリニアスイッチング方式を採用しています。
リニアスイッチング方式はバイアスを固定したBクラスでありながら、音質面ではAクラスに匹敵することを目指して開発された回路です。簡単な回路素子を用いたシンプルな回路構成でありながらクロスオーバー歪を低く抑え、バイアスの変動に伴う音質の変化がありません。
さらに、High fTパワートランジスタの採用によってスイッチング歪も無視できる範囲に抑え込んでいます。

電源部にはツインワインド方式の大型パワートランスを2個使用しています。また、整流用のコンデンサーにはマルチタブ方式のローインピーダンス、ワイドレンジのものをブスアースに直結させた低インダクタンス回路として使用しています。
さらに各セクションの給配電、アースライン等も徹底したローインピーダンス化を図っています。

大型ピークメーターを搭載しています。
対数圧縮及びピークホールドを安定性の良いモノリシックICで行っており、左右の指示のばらつきもほとんどありません。また、高速応答性を得るため、オペアンプによる専用のメータードライブ回路でドライブしています。
レベルは前面スイッチで0dBを140Wと14Wに切換できます。

オートトラッキングバイアス方式を搭載しており、安定した動作を確保しています。
音楽信号などで連続的な大振幅動作から小振幅動作への急激な変化などが起きた場合、ファイナルの各ブロック間で熱容量の違いから熱傾斜が生じます。緩やかな温度変化の場合は各パーツが同様に影響を受けるため問題にはなりませんが、急激な変化の場合はパワー部のバイアス電流値を不安定にし、特にローレベル信号の再生に影響が生じます。
M-506RSでは出力段に3ポイントセンシングバイアス回路を設けており、プリドライバー段、ドライバー部、パワートランジスタの3点の温度差を検出し、バイアスをコントロールすることで常に安定した低歪率駆動を実現しています。

保護回路にはモノリシックICを採用することで信頼性を高めるとともに、スピーカー端子でのDCのリーク電圧や、パワー段の過電流を検出し、万一の場合にリレーを瞬時に遮断して回路部品を保護しています。
また、スピーカー切換リレーには信頼性の高い金張り銀接点リレーを採用しており、パラレル接続使用によってダンピング劣化等を防いでいます。
さらに左右の極性が違った場合にも働くLR独立DC電圧検出用ローパスフィルターを搭載しています。

機種の定格
型式 ステレオパワーアンプ
<アンプ部(表示がない場合8Ω負荷、両ch動作)>
定格出力(20Hz~20kHz) 190W+190W(4Ω)
140W+140W(8Ω)
全高調波歪率(20Hz~20kHz) 0.003%以下(定格出力時)
0.0015%以下(70W出力時)
混変調歪率(定格出力時、SMPTE法(70Hz:7kHz=4:1)) 0.003%以下
パワーバンドウィズス(IHF-3dB、THD 0.2%) 5Hz~100kHz
利得 30dB
周波数特性 1Hz~100kHz +0 -1.5dB
S/N比(IHF-Aネットワーク、入力ショート) 120dB
入力感度/インピーダンス 1V/47kΩ
スピーカー負荷インピーダンス 4Ω~16Ω
ダンピングファクター(8Ω、1kHz) 180
出力端子 Speaker System1、2
Headphones
トランジェントキラー動作時間 5sec(Power on)
100msec(Power off)
<メーター部>
レンジ切換 x1(140W)、x0.1(14W)
指示範囲 -40dB~+4dB
指示精度 0±1dB、-10±2dB、-20±3dB
応答速度 100usec(-∞ - 0dB)
復帰速度 1sec(0dB - -20dB)
<総合>
電源 AC100V、50Hz/60Hz
ACアウトレット 電源スイッチ非連動:1系統、最大500W
消費電力 400W(電気用品取締法)
外形寸法 幅480x高さ175x奥行422mm
重量 20.5kg