ONKYO Integra A-927LTD
※月産300台限定
¥125,000(1997年発売)
解説
Integra A-927をベースに改良が施されたプリメインアンプ。
開発陣が自ら使いたいアンプとして自由な設計がされており、月産300台という少量生産によって実現しています。
一般的なトランジスタアンプは電力増幅部にエミッタフォロワーの多段接続したダーリントン回路が採用されていますが、A-927LTDでは終段がコレクタフォロワーのインバーテッドダーリントン回路を採用しています。
インバーテッドダーリントンはコレクタフォロワーのため、パワートランジスタのベース・エミッタ間の非線形が信号回路に入らないため、非線形歪を低減できています。
従来のグランド理論をさらに進化させ、信号の入り口から出口までの各ステージごとにアース電位を閉ループ化しており、負荷に電流が流れても電位が変化しないコンストラクションとしています。
これにより、従来では音楽情報をマスキングする原因であったグランドループによる妨害を解決し、S/Nなどを改善しています。
無帰還アンプを実現するため、パワーアンプの電力増幅段からNFB(負帰還)を排除しており、その上で回路の見直しによって低歪率化を実現しています。
また、温度補償回路の見直しにより、優れた熱安定性を獲得しており、通常アンプの出力側に直列に挿入される小抵抗も必要がなくなり、パワーアンプの出力インピーダンスの低減を達成しています。
リスニングルームの特性によるこもり感をコントロールするミッドバスプレゼンスを搭載しています。
これは、従来のトーン補正では不可能な200~300Hzあたりの中低域をブースト、カットすることで、不快なこもり感を除去してます。
さらに、バスコントロールをブーストした時、同時に中域までブースとされ、聴きづらくなる場合にも有効となっています。
トーン回路をバイパスするソースダイレクトポジションの他、専用入力端子からボリュームだけを介してダイレクトにパワーアンプに入力できるパワーアンプダイレクトポジションを搭載しています。
トーンポジション、ダイレクトポジションそれぞれ専用回路を構成できるよう4連ハイグレード・ディテントボリュームを採用しています。
また、実際の使用状態を想定し、最低な操作感が得られるよう、減衰カーブの立ち上がりを緩やかにし、入力感度の見直しを行っています。
電源ケーブルは、IEC規格に準拠したインレット方式(電源入力コネクター)を採用し、2mm2OFC(無酸素銅)キャブタイヤケーブルを付属しました。
これによりケーブルを取り替えてグレードアップすることも可能です。
内部構造は、入力から出力に到る信号経路の最短化と、合理的な電源供給ラインを構成出来るよう配慮し、アンプとして最適な回路ブロック配置を行っています。
各ブロックはボックス形状の強固な構造とし、互いに結合させることでシャーシ全体の強度を高めており、さらに振動解析にも重点をおき、不定形リブを随所に設けて強度の確保と共振の分散を心がけています。
電源部には、従来使用されていたレーザートランスをさらに進化させたダブルコア・レーザートランスを搭載しています。
このトランスは、磁気抵抗の少ない圧延方向に連続したコイル状のコアを2個組合わせる事により、磁気漏れを限界まで抑える事に成功しています。またコアの一部をカットしたことにより、コイルの形状を円筒形とすることができ、極太銅線でも無理なく巻く事が可能となっており、電流供給能力が大幅に向上しています。
電解コンデンサーには力強さと繊細さを持つカスタムパーツのブルーコンデンサーを搭載しており、主要回路を構成するプリント基板の銅箔には、通常の2倍の70μ厚を採用し、高品位を確保しています。
さらに、WIMA製フィルムコンデンサーや高精度カーボン抵抗などを音質に関わる主要箇所随所に投入し、音質対策を図っています。
バランスをコントロールするスイッチ式アッテネーターを採用し音質の劣化を防ぎ信頼性を確保しました。
また、MM/MC切替フォノイコライザーを搭載しています。
A-927LTD特別仕様として、高級感と操作フィーリングが楽しめるローレット付ボリュームとセレクターツマミを採用し、外部振動を低減させています。
また、スピーカーターミナルも金メッキ仕上げとなっています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力 (20Hz~20kHz、0.06%) |
140W+140W(4Ω) 115W+115W(6Ω) 95W+95W(8Ω) |
ダイナミックパワー(1kHz) | 320W+320W(2Ω) 200W+200W(4Ω) 150W+150W(6Ω) |
全高調波歪率 | 0.06%(CD→SP Out、定格出力時、8Ω、20Hz~20kHz) 0.06%(CD→SP Out、10W出力時、8Ω) 0.005%(Phono MM→Rec、3V出力時) 0.005%(Phono MC→Rec、3V出力時) |
混変調歪率 | 0.06%(定格出力時、70Hz:7kHz=4:1、8Ω) |
パワーバンドウィズス | 5Hz~70kHz(IHF-3dB、THD 0.1%) |
ダンピングファクター | 110以上(20Hz~20kHz、8Ω) |
SN比 | Phono MM:87dB(5mV入力) Phono MC:70dB(0.5mV入力) CD、Tuner、Line、Tape Play(Tone):105dB CD、Tuner、Line、Tape Play(Source):117dB |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:3.0mV/47kΩ Phono MC:300μV/100Ω CD、Tuner、Line、Tape Play(Tone):300mV/25kΩ CD、Tuner、Line、Tape Play(Source):500mV/25kΩ |
Phono最大許容入力 (1kHz/10kHz、0.05%) |
MM:100mV/480mV MC:10mV/48mV |
トーンコントロール最大変化量 | Trebel(ターンオーバー:7kHz):±10dB(20kHz、Volume=Center(-22dB)) Bass(ターンオーバー:200Hz):+15dB~-6dB(20Hz) Midbass Presence:±6dB(200Hz/300Hz) |
ハイカットフィルター | 6kHz、6dB/oct(Treble Min) |
サブソニックフィルター | 15Hz、12dB/oct |
ミューティング | -20dB |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 230W(電気用品取締法規格) |
外形寸法 | 幅445x高さ165x奥行436mm |
重量 | 19.5kg |
付属 | OFCキャプタイヤ電源ケーブル |