ONKYO Integra A-917
¥85,000(1990年頃)
解説
90年代の新たなIntegraシリーズとして発売されたプリメインアンプ。
電流増幅型アンプである"カレント・ドライブ・アンプ"を出力段に搭載し、これに"BI-MOSドライブ方式"を合体したスーパー・カレント・アンプ構造を採用しています。
カレント・ドライブ・アンプは、従来のアンプが出力段トランジスタで「電圧→電流」変換という重要な処理を、激しい温度変化を伴いながら行っている事に着目し、出力段の前ステージで「電圧→電流」変換を完了し、出力段は電流を増幅させるのみで済ますという構成になっています。
これにより、出力トランジスタの発熱にも影響されず、極めて安定した状態での電流増幅動作を可能としています。
そして、BI-MOSドライブ方式は、MOS FETとバイポーラ・トランジスタの長所を引き出す構成で、入力電圧の増加に伴い、小電流領域ではMOS FETが緩やかな立ち上がりカーブの特性を示し、大電流領域ではバイポーラ・トランジスタの伸びやかで直線的な特性が支配的となります。
これにより、クロスオーバー領域においては直線に近い特性を得られ、さらに大振幅時でも伸びのあるリニアリティを実現しています。
スーパー・カレント・アンプでは、出力段前段に「電圧→電流」変換を行うBI-MOSドライブ方式を採用した構造となっています。
パワーアンプを構成するステージは+側−側完全対称の全段プッシュプル仕様とし、波形の非対称歪を抑えています。
電源トランスにはオンキョーが独自に開発したLASERトランスを採用しています。
新開発のLASERトランスは、外周幅が標準より広い新型の変換コアを採用しています。これは外周部から漏れる磁気は、外周部の幅を広くすることによって電気抵抗が減るという点に着目した結果で、従来は中心2に対して外周1という比率だったのに対し、LASERトランスでは外周部の幅を1から1.07に広げています。
また、コアの周囲を珪素鋼板シールド材によって厳重にシールドしており、この結果、従来のEIトランスに比較して、リーケージ・フラックスを30分の1に低減しています。
シャーシ構造には電源部と他のステージを分離した2BOX2分割ボトムシャーシ構造を採用しています。
さらに、パワーステージと小信号部はヒートシンクによりブロック分割して、小信号部への干渉をガードしています。
電源トランスの2次側巻線を、パワーアンプ用、プロテクター回路用とに分離独立しており、マイコン用・表示用にサブ・トランスを搭載して各ステージに独立給電を行い、各ステージ間の干渉を排除してます。
全ての音楽信号を高純度に再現するために、専用のボリュームを経由して信号をダイレクトにパワーアンプへ送り込むシンプル・ダイレクト設計を採用しています。
ソース・ダイレクト・スイッチをDIRECTにすると、シンプル伝送が可能で、ポジションをTONEにするとダイレクトトーンで調整が可能です。
電源、ボリューム、インプットセレクター、ミューティングが手元からできるリモコン機能を標準装備してます。
ボリュームとインプットセレクターは、モーターでドライブするメカニカル方式を採用しているため、半導体スイッチのような非直線性歪の発生がありません。
電源部のコンデンサーは新タイプのケミコン制振構造材により強固に固定されています。
ボトムシャーシは塩ビコーティングされており、振動を抑える構造となってます。
高速ダイオードや極性表示付ACコード、ダイカスト・ディテント型ボリュームなどを採用しています。
サイドパネルにはBMCサイドパネルを採用しています。
機種の定格
型式 | LASERトランス搭載・スーパー・カレント・アンプ |
定格出力(20Hz~20kHz、 CD→SP-OUT、両ch駆動) |
100W+100W(6Ω) 80W+80W(8Ω) |
ダイナミックパワー | 2Ω:265W+265W 4Ω:205W+205W 6Ω:150W+150W |
全高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.0015%(CD→SP Out、10W出力時、8Ω) 0.003%(Phono MM→Rec Out、3V出力時) 0.015%(Phono MC→Rec Out、3V出力時) |
混変調歪率(20Hz~20kHz) | 0.004%(CD→SP Out、定格出力時) |
パワーバンドウィズス | 5Hz~100kHz(IHF-3dB、THD 0.2%、8Ω) |
ダンピングファクター | 150(1kHz、8Ω) |
周波数特性 | Phono→Rec Out(RIAA偏差):20Hz~20kHz±0.2dB CD→SP Out:2Hz~100kHz+0 -0.3dB |
Phono最大許容入力 (1kHz/10kHz、0.005%) |
MM:150mV/710mV MC:9mV/42mV |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC:160μV/220Ω CD、Tape Play、Processor IN、他:150mV/30kΩ |
定格出力電圧/インピーダンス | Tape Rec、Processor Out、他:150mV/560Ω |
SN比(IHF-Aフィルター入力ショート) | Phono MM:94dB(5mV入力) Phono MC:75dB(0.5mV入力) CD、他:107dB |
トーンコントロール最大変化量 | Bass:±10dB(20Hz) Treble:±8dB(20kHz) |
ミューティング | -20dB |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
ACアウトレット | Switched:2系統、100W Unswitched:1系統、合計100W |
消費電力(電気用品取締法規格) | 190W |
外形寸法 | 幅455x高さ170x奥行430mm |
重量 | 17.0kg |
付属 | リモコン |