NIKKO T-800
¥44,000(1970年代前半頃?)
解説
NIKKOのノウハウを投入し、1ランク上のクオリティを追求したFM/AMチューナー。
FMフロントエンド部は、RF増幅段と混合回路に過入力混変調に強いデュアルゲートMOS
FETを使用しています。周波数直線型4連バリコンとの組合せにより安定した受信を可能にしています。
局部発振回路には変形コルピッツ形を採用しており、発振出力は同調回路より混合用デュアルMOS
FETの第2ゲートに入力しています。これにより高調波を低減して波形をきれいにし、さらにスプリアス妨害も抑えています。
IF部はパーツ間の配置を十分に解析して設計することで特性の改善を図っています。また、FM専用の高集積度ICを採用しているため、従来の単独素子やICでは困難であった回路構成を実現し、諸特性の向上を実現しています。
MPX部にはIC化されたPLL回路を採用しており、従来のLC型同調回路では考えられないほどの高い安定性と高性能を実現しています。さらに、シャープな遮断特性を持つローパスフィルターを使用することで、正確な周波数特性を意地しつつキャリアリークをカットしています。
AMチューナー部には高集積度ICを使用しており、特性の改善を図っています。
このICはAGCに優れた特性を示し、常に一定した検波出力が得られます。また、セラミックフィルターを採用したIF段を採用することで、シャープな選択度と音質の向上を実現しています。
IF段にFMミューティング回路を搭載しています。
ミューティング動作による出力波形の歪を押さえ、周波数特性や位相特性に影響を与えずにミューティング効果を得ています。
シグナルメーターにはリニアリティが大幅に改善されたものを採用しており、より精度の高いチューニングが可能です。
また、チューニングメーターも指針がセンターに位置している時に歪が最少となるように調整が施されています。
ハイブレンドスイッチを搭載しており、FMステレオ放送の受信時に高域ノイズをカットできます。
固定と可変の2系統の出力端子を搭載しています。
アンテナ端子は平衡型と不平衡型の2系統を搭載しています。
マルチパス端子を搭載しており、より最適な受信アンテナ設置が可能です。
機種の定格
| 型式 | FM/AMチューナー |
| 回路方式 | スーパーヘテロダイン方式 |
| <FMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz |
| 感度(IHF) | 1.8μV |
| 選択度(IHF) | 80dB |
| イメージ比 | 95dB |
| IF妨害比 | 100dB |
| キャプチャーレシオ(IHF) | 1dB |
| スプリアス妨害比 | 100dB |
| AM抑圧比 | 55dB |
| 周波数特性 | 15Hz~15kHz |
| 高調波歪率 | mono:0.2%以下 stereo:0.4%以下 |
| ステレオセパレーション | 40dB |
| 出力 | 固定:1V 可変:0~2V |
| アンテナ | 300Ω平衡 75Ω不平衡 |
| <AMチューナー部> | |
| 感度(IHF、バーアンテナ) | 200μV/m |
| 選択度(IHF) | 40dB |
| S/N比 | 50dB |
| イメージ比 | 45dB |
| IF妨害比 | 45dB |
| 出力 | 固定:0.3V 可変:0~2V |
| <総合> | |
| 使用半導体 | IC:5個 FET:2個 トランジスタ:9個 ダイオード:2個 |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 25W |
| 外形寸法 | 幅455x高さ151x奥行370mm |
| 重量 | 7.5kg |