NIKKO M-110
¥380,000(1976年頃)
解説
AC-DC切換えスイッチを搭載したフラグシップステレオパワーアンプ。
M-110は全段A級動作で100W+100Wの連続出力が得られ、しかもDCアンプとして働かせることができます。
回路構成は初段にPチャンネルとNチャンネルFETを用いた差動回路、次段にPNP、NPNトランジスタ差動による4段パラレルプッシュプル回路を用いた完全対称回路方式を採用しています。DCアンプtおするには温度などの外部変動に対して無入力時のセンター電圧変化は許されず、回路構成や使用部品によって影響を受けます。その点を考慮して完全な対称回路方式とすると共に厳選された精度の高い素子を仕様しています。
音質を重視してNFBを極力少なくするため裸特性をあらゆる面から検討しています。また、全ての電源を定電圧回路として安定した定電圧を供給することで少ないNFBで低歪率特性と残留雑音の減少を可能にしています。
電源部は全て定電圧化しています。パワー段に供給するための定電圧回路は誤差増幅トランジスタ、保護用トランジスタ、制御用トランジスタで構成されており、特に制御用トランジスタには4個のトランジスタをパラレル接続し、大電流でもhFEが低下して制御能力が劣ることのないように設計しています。
また、大容量のコンデンサを整流後に一本、定電圧後に一本のプラスマイナス合わせて4本使用し、電源トランスも800VAのカットコアを使用することで量感のある大出力を得ています。
A級増幅器では常時大電流が流れているため、パワースイッチON/OFF時に大きな負担がかかり、破損の恐れがあります。そこでM-110ではリレーによって電流制御を行っており、パワースイッチの保護を図っています。
このリレーの働きで電源ON/OFFさせるため、M-110をプリアンプC-201で電源をリモートさせた場合にもプリアンプ型のパワースイッチや他の機器に及ぼす影響を抑え、信頼性の高い設計としています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
定格出力 | 100W+100W(8Ω、20Hz~20kHz、両ch駆動、THD0.06%) |
全高調波歪率 | 100W出力時 0.06%以下(20kHz) 0.02%以下(1kHz、20Hz) 50W出力時 0.02%以下(10Hz~20kHz) |
周波数特性 | 0Hz~60kHz(50W出力時) |
入力感度 | 1V(定格出力時) |
入力インピーダンス | 100kΩ |
SN比(IHF、Aネットワーク使用) | 110dB |
使用半導体 | 高耐圧FET:8個 トランジスタ:52個 ダイオード:12個 ツェナーダイオード:8個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 800W |
外形寸法 | 幅483x高さ230x奥行430mm |
重量 | 27kg |