
NIKKO C-203
¥80,000(1976年頃)
解説
信号系の全ての回路をFETで構成したオールFETプリアンプ。
C-203では裸特性に着目して素子を最良の状態で動作させることを重視しています。これにより裸特性を改善し、NFBで物理的特性を改善しただけでは得られない実試聴時の良い結果を実現しています。
ボリュームにはアッテネータータイプの4連ボリュームを採用しており、S/N比の向上を図っています。
FETでは素子そのものの性質から来る欠点ともいえるダイナミックレンジの狭さやS/N比、歪率等が問題とされていました。
これを克服するため、C-203のイコライザーアンプ部には新開発の高耐圧FETを採用することで±70Vと真空管回路並の高圧をかけ、充分なダイナミックレンジの確保を図っています。また、信号系回路にはローノイズ金属皮膜抵抗、出力コンデンサーにはポリカーボネートフィルムコンデンサーを使用するなど、部品の厳選と適切な回路設計によって優れた音質を確保しています。
フラットアンプ回路は差動入力、二段直結のローノイズオールFET構成となっています。
トーンアンプ回路にはNF型を採用しています。
また、ディフィートスイッチを搭載しており、トーン回路を飛ばすことも可能です。
最終段にはFETソースフォロアーによるバッファーアンプを搭載しています。
これによりパワーアンプ等への配線が長い時や配線の引回しによる音質の劣化を低減しています。
電源部にはトランジスタ8個用いた本格的定電圧電源を搭載しており、外部の電圧変動による影響を抑えています。また、電源トランスにはリングコアを用いたトロイダルトランスを採用しています。さらに各所に大容量コンデンサーを使用しています。
電源スイッチON時から電源の安定までの時間に発生する不規則な雑音を防ぐためリレー回路を搭載しており、電源スイッチONより7秒間、出力とアンプ回路を切り離し、OFF時には瞬時に出力を切離しています。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
入力感度/インピーダンス | Phono1、2:2.0mV/22kΩ、47kΩ、100kΩ Tuner、Aux:100mV/50kΩ |
周波数特性 | Phono1、2:20Hz~20kHz ±0.2dB Aux、Tuner:20Hz~20kHz ±0.1dB |
全高調波歪率 | 0.01%(定格出力時) |
S/N比(IHF) | Phono1、2:72dB Aux:100dB |
Phono最大許容入力 | 400mVrms(1kHz) |
定格出力 | 1Vrms |
最大出力 | 10Vrms |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 25VA |
外形寸法 | 幅483x高さ63x奥行330mm |
重量 | 5.3kg |