NEC A-10
¥99,800(1983年3月21日発売)
解説
アンプのあるべき理想を求め、基本性能を徹底重視し、NECがもてる技術の全てを注ぎ込んで完成させたプリメインアンプ。
電源部にはステージ独立の5電源部に加え、新開発のリザーブ電源を搭載しています。
従来のコンデンサインプット型電源の場合、電流が100Hz~120Hzの繰り返しによる不連続な脈流であるため、電流の流れていない時間が生じ、コンデンサの放電時に大出力を得ようとしても、電源電圧が下がるという欠点がありました。
この欠点を克服するために開発されたのがリザーブ電源で、充電電流がとぎれた瞬間に、第2の電源が働いて、充電電流を連続した均一の流れに近づけるという構造となっています。
これにより、充電電流のピーク値は小さくなり、電源のインピーダンスも低下し、電流供給能力の増大を計っています。また、電源リップルも約8dB改善し、大出力時にも歪の無い低域再生を可能にしています。
ハイゲインMCヘッドアンプを搭載しています。
ローノイズ・ハイゲインFETを3パラプッシュ接続した高正となっており、ローポジションとハイポジション装備で、カートリッジのタイプの違いによる出力の大小に対応しています。
プリアンプ部とパワーアンプ部を独立させて使えるオペレーションスイッチを搭載しています。
スイッチを"SEPARATED"にすると、パワーアンプ部の入力とプリアンプ部の出力とが切り離され、それぞれ独立して使用可能となります。
また、パワーアンプ部の入力レベルは、左右独立可変タイプとなっています。
サブソニックフィルターを搭載しています。
微妙なボリュームコントロールを必要とする場合のために、3段階(-10、-20、-30dB)のアッテネーターを搭載しています。
バランスコントロール、あるいはパワーアンプを独立して使用する場合に出力ボリュームとして使用できる、パワーアウトプットレベルコントロールを搭載してます。
レックセレクターを搭載しています。
機種の定格
型式 | ハイクオリティインテグレーテッドアンプ |
<パワーアンプ部> | |
回路方式 | 全段ダイレクトDCサーボ回路 |
実効出力(両ch駆動、 正弦波連続出力、20Hz~20kHz) |
120W+120W(4Ω) 60W+60W(8Ω) |
全高調波歪率(実効出力時) | 0.003%以下 |
混変調歪率(実効出力時) | 0.003%以下 |
周波数特性 | 5Hz~300kHz |
入力感度/インピーダンス | 1.23V/20kΩ |
<プリアンプ部> | |
回路方式 | 全段ダイレクトDCサーボ回路 |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC(Low):80μV/10Ω Phono MC(High):250μV/100Ω CD、Tuner、AUX、Tape1、2:150mV/20kΩ |
出力レベル/インピーダンス | Rec出力:150mV/100Ω プリアンプ出力:1.23V/600Ω |
SN比 | Phono MM:90dB(-142dBV) Phono MC(Low):72dB/80μV(-154dBV) Phono MC(High):82dB/250μV(-154dBV) CD、Tuner、AUX、Tape1、2:110dB(-126dBV) |
RIAA偏差 | 10Hz~100kHz ±0.2dB以内 |
Phono最大許容入力 | MM:300mV |
アッテネーター | 0、-10dB、-20dB、-30dB |
サブソニックフィルター | 15Hz(-3dB、6dB/oct) |
入出力位相 | 同相 |
<総合> | |
電源回路方式 | ステージ独立シャントレギュレータ方式+リザーブ電源 |
消費電力 | 230W |
外形寸法 | 幅430x高さ150x奥行430mm |
重量 | 20kg |