Nakamichi ZX-7
¥188,000(1981年頃)
解説
多彩なキャリブレーション機能を搭載することで、テープ性能の限界を目指したステレオカセットデッキ。
      
      マニュアルキャリブレーション機構を搭載しており、パネル面に配置された調整機構を用いて、録音ヘッドのアジマス、録音再生レベル、バイアスの順に行い、使用テープに合わせたベストコンディションが得られるようになっています。
      まずテープセレクターをZX(メタル)、SX(CrO2)、EX(ノーマル)のいずれかにセットし、録音ポーズの状態からアジマススイッチを押すとテープがスタートし、400Hzテストトーンが録音再生されます。
      センターの赤いインジケーターアンプが点灯するよう調整ノブを回せばアジマス調整は完了。次に、アジマススイッチをoffにすると、自動的にレベル調整モードにセットされます。レベルメーターの指示値を見ながら、それがL/Rチャンネルとも0dBになるように調整ボリュームを回します。
      最後にバイアス調整スイッチをonにすると15kHz(-20dB)のテストトーンが録音再生され、レベルメーターの指示値は20dB感度アップし、レベル調整と同じように、レベルメーターが0dBになるようL/Rのバイアス調整ボリュームを回します。
      全ての調整が完了した時点でリセットボタンを押せば、テープは自動的にスタート位置に巻き戻され、調整が完了します。
      
      N-MOS4ビット・マイクロプロセッサーによるメカニズムコントロールを採用しており、ナカミチのデッキに共通のサイレント動作はそのままに、指令されたオペレーション情報と現在の動作状態との関連をデッキ自身が考え、より正確にメカニズムを駆動させるといった、論理回路を構成しています。
      これによりソフトタッチオペレーションの操作性、安定性が一段と向上しており、さらにオートプレイバックやイージーキューイング、後追い録音など、多機能化も実現しています。
      
      録音レベルと左右のチャンネルバランスを一度セットすれば、あとはマスターフェーダーコントロールスイッチにより、録音レベルのフェードイン、フェードアウトが自動的に行えます。
      スイッチは2段階となっており、1回押して離すと6秒間、押したままでいると2秒間の2スピードが選べます。
      
      ドルビーB NRに加え、ドルビーC NRも搭載しており、録音系、再生系それぞれに専用のドルビーNRプロセッサーを採用することで、録音再生同時モニターを可能にしています。
      Cタイプでは、ハイレベルステージとローレベルステージの2つのノイズリダクション・プロセッサーに10dBずつ受持たせ、トータルで最大20dBのノイズ低減を実現しているほか、動作を開始する周波数を入力レベルと周波数成分に応じて可変するスライディングバンド方式を採用しており、ブリージング現象を防止しています。
      また、アンチサチュレーション・ネットワーク回路によって、瞬間的な大入力によって引き起こされる録音飽和を抑えています。
      
      メカニズムには周波数分散型ダブルキャプスタン方式を採用しており、2組のキャプスタンとピンチローラーによってテープを挟み込み、安定したテープ走行と均一なヘッドタッチを実現しています。さらに、フラッター周期の重なりを避けるため、二つのキャプスタン直径及びフライホイール直径を変え、回転ムラの低減と変調ノイズの改善を実現しています。また、テープパッドリフターを装備することで、パッドの圧力不均一やパッドスプリング材の微振動による悪影響を防止しています。
      
      モーターその他の回転体から生じる振動がテープに伝わる事でフラッターを増加させてしまうのを防ぐため、シャーシ材料として鉄に比べ減衰特性の大きなアルミニウムアロイを使用し、これに樹脂をアウトサートすることで、有害な微振動を吸収し、共振の発生を防いでいます。
      
      マイクロプロセッサーコントロールとモーター駆動によるメカニズムによって、操作音も小さく適格なテープ駆動を実現しており、オペレーションボタンを押すとマイクロプロセッサーの指令でコントロールモーターを動かし、メカニズムを動作させます。
      ソレノイドプランジャーを用いず、カムをモーターで駆動するという方式により、操作音が小さい、ソフトにテープに接触できることでテープやトランスポートへのダメージが少ない、温度上昇が少ない、消費電力が少ないなどのメリットを得ています。
      メインモーターにはPLLサーボモーターを採用しており、回転数変動を検知し、基準信号発振器の信号と位相を比較し、正確な回転数に制御しています。
      
      ヘッド部には録音、再生、消去の3つのヘッドをそれぞれ専用化し、構造上も完全にセパレート化した独自のディスクリート3ヘッド方式を採用しています。
      再生用ヘッドには、クリスタロイのラミネートコアを採用し0.6ミクロンのナローギャップにより損失を防いだP-8L型を採用しています。また、録音ヘッドには再生ヘッド同様にクリスタロイのラミネートコアによる3.5ミクロンギャップのR-8L型を採用しています。そして消去ヘッドにはフェライトコアと先端にセンダストコアを使用したダブルギャップ型のE-8L型を採用しています。
      
      録音イコライザー回路、再生イコライザー回路、モニターアンプには、電解コンデンサーにネガティブフィードバックをかけるダブルNF回路を採用しており、コンデンサーによって発生する歪を低く抑えると同時に、直流安定化を図っています。
      そして、録音アンプと録音ヘッドを直結し、カップリングコンデンサーによる音質劣化を防止しています。さらに、録音アンプ入力側にはバッファアンプを使用し、ヘッドホンアンプをIC化するなど、音質向上を図っています。
      
      -40dB~+10dBを左右それぞれ16セグメントでデジタル表示する50dBフルスケールのワイドレンジLEDピークレベルメーターを搭載しています。
      このメーターはレベル/バイアス・キャリブレーション時の調整用メーターとしても動作し、特にバイアス調整時は調整しやすいよう指示値が20dBアップします。
      
      LEDによるデジタル表示のテープカウンターを搭載しています。
      
      レックミュート機能を搭載しており、REC MUTEスイッチを押している間だけ無信号録音が行えます。
      
      MPXフィルターを搭載しています。
      
      一般オーディオタイマーを使用し、留守録音や目覚まし再生などを行う事が可能です。
      
      別売りのリモートコントロールユニットにより、録音、再生をはじめとするテープオペレーションを遠隔操作できます。
			
機種の定格
| 型式 | ステレオカセットデッキ | 
| トラック形式 | 4トラック・2チャンネルステレオ方式 | 
| ヘッド | 3ヘッド(消去x1、録音x1、再生x1) | 
| モーター(テープ駆動用) | キャプスタン用:PLLサーボモーター リール用:DCモーター  | 
                
| テープ速度 | 4.8cm/s | 
| ワウ・フラッター | 0.04%以下WTD RMS 0.08%以下WTD Peak  | 
                
| 周波数特性(録音レベル -20dB) | 20Hz~21kHz ±3dB(ZXテープ) 20Hz~20kHz ±3dB(SX、EXIIテープ)  | 
                
| 総合SN比(400Hz、3% THD、 IHF A-Wtd rms)  | 
                  Dolby B NR on:66dB以上(70μs、ZXテープ) Dolby C NR on:72dB以上(70μs、ZXテープ)  | 
                
| 総合歪率(400Hz、0dB) | 0.8%以下(ZXテープ) 1.0%以下(SX、EXIIテープ)  | 
                
| 消去率 | 60dB以上(100Hz、0dB) | 
| チャンネルセパレーション | 37dB以上(1kHz、0dB) | 
| クロストーク | 60dB以上(1kHz、0dB) | 
| バイアス周波数 | 105kHz | 
| 入力感度/インピーダンス | Line:50mV/50kΩ | 
| 出力レベル/インピーダンス (400Hz、0dB、アウトプットレベル最大)  | 
                  Line:1V/2.2kΩ Headphone:45mW/8Ω  | 
                
| ブラックボックスシリーズ専用DC出力 | ±10V、125mA最大 | 
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz | 
| 消費電力 | 最大40W | 
| 外形寸法 | 幅450x高さ135x奥行300mm | 
| 重量 | 約9.5kg | 
| 別売 | リモートコントロールユニット RM-200(¥6,000) |