
Nakamichi DR-10
¥98,000(1999年頃)
解説
ナカミチのカセットデッキ技術を投入して開発された3ヘッドカセットデッキ。
ヘッド部には録音/再生/消去の3つのヘッドを構造的にも完全に独立させたディスクリート3ヘッド方式を採用しています。
ディスクリート3ヘッド方式では磁気的・機械的に極めて厳密なアジマス調整が可能となっています。しかも録音ヘッドと再生ヘッドの距離を十分にとれるため有害な磁気干渉も遮断できています。
録音ヘッドと再生ヘッドにはDRAGONにも採用されたクリスタロイコアによるインラインヘッドを採用しています。
特に、再生ヘッドは0.8μのナローギャップとすることで21kHzの超高域再生を実現しています。また、ヘッドのコイルには信号伝送ロスの無いトップグレードの無酸素銅(OFC)を採用しており、ワイドレンジ化とダイナミックレンジの拡大を図っています。
メカニズム部にはクローズドループデュアルキャプスタン方式を採用しており、最適なテープテンションと安定したテープ走行を実現しています。
さらに、DR-10ではここに独自の工夫を加えることでより高精度なトランスポートメカニズムを実現しています。まず、サプライ側とテイクアップ側のキャプスタンの直径を微妙に変え、フラッターの重なりを避けることで有害なテープ振動を抑制しています。さらに、テープパッドリフターを装備して2本のキャプスタンだけでテープ走行をコントロールすることで、音を濁らせる変調ノイズを低減すると共にヘッドの長寿命化に貢献しています。
オーディオ回路にはデュアルモノ・コンストラクションを採用しておりチャンネル間の干渉を絶っています。さらに、歪を招くカップリングコンデンサーを廃したDCアンプ構成を採用しています。
また、録音アンプ回路はピュアAクラス構成となっており、合計12ヶ所の調整回路を設けることでテープの能力を最大限に引き出しています。そして、再生アンプ回路はディスクリート素子のみで構成し、トランスポート側の再生ヘッドアッセンブリーと一体化することでケーブルの引き回しによる伝送ロスを排除しています。
電源部にはマルチレギュレーテッドパワーサプライ方式を採用しており、セクション間の電源干渉を排除しています。
バイアス微調整ボリュームを搭載しています。
マイクロプロセッサー制御によるモータードライブのサイレントメカニズムを採用しています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/Cタイプを搭載しています。
ヘッドホン端子やリモートコントロール端子を搭載しています。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
ヘッド | 3ヘッド(消去x1、録音x1、再生x1) |
ワウフラッター | ±0.06%以下 WTD Peak ±0.035%以下 WTD RMS |
周波数特性 | 20Hz~21kHz ±3dB(録音レベル-20dB、TypeI、II、IVtape) |
SN比 | Dolby B NR on:66dB以上 Dolby C NR on:72dB以上 (400Hz、3%THD、IHF A-wtd RMS、TypeIVtape、70μsecEQ) |
総合歪率 | 0.8%以下(400Hz、0dB、TypeIV) 1.0%以下(400Hz、0dB、TypeI/II) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 23W |
外形寸法 | 幅430x高さ100x奥行320mm |
重量 | 約5.4kg |