解説　

ナカミチのデッキ技術を投入して開発されたカセットデッキ。

ヘッド部にはナカミチ独自のディスクリート3ヘッド方式を採用しています。
録音/再生/消去の3つのヘッドを構造的にも完全に独立させたディスクリート3ヘッド方式では、極めて厳密な(磁気的・機械的)アジマス調整が可能となっています。しかも録音ヘッドと再生ヘッドの距離を十分にとることで磁界干渉もシャットアウトしています。
また、録音ヘッドと再生ヘッドには音質でクリスタロイコアによるインラインヘッドを採用しており、特に再生ヘッドは0.8μの超ナローギャップとすることで、21kHzの超高域再生を可能にしています。さらに、ヘッドのコイルに信号伝送ロスの少ないトップグレードの無酸素銅(OFC)を採用しています。

マニュアル調整による再生ヘッドのアジマスチューニング機構を搭載しており、他のデッキで録音したテープを再生する場合も最良のコンディションが得られます。

メカニズム部にはクローズドループ・デュアルキャプスタン方式を採用しており、最適なテープテンションと安定したテープ走行を得ています。
ナカミチではこの方式に独特の工夫が加えられており、サプライ側とテイクアップ側のキャプスタン直径を微妙に変えた周波数分散型とすることでフラッターの周期の重なりを避け、有害なテープ振動を抑制しています。さらに、ユニークなテープパッドリフターを装備して、純粋に2本のキャプスタンだけでテープ走行をコントロールする、より理想に近い方式としています。これらの対策によって変調ノイズを低減するとともに、ヘッドの長寿命化にも貢献しています。

オーディオ回路にはデュアルモノ・コンストラクションを採用しており、チャンネル間の干渉を排除しています。さらに、DCアンプ構成とすることで歪の原因となるカップリング・コンデンサーを排除しています。
録音アンプ回路はピュアAクラスとなっており、合計12ヶ所の調整回路を設けることでテープの能力を最大限に引き出しています。そして、再生アンプ回路はディスクリート素子のみで構成し、トランスポート側の再生ヘッド・アッセンブリーと一体化することでケーブルの引き回しを無くして伝送ロスを抑えています。

電源部にはマルチレギュレーテッド・パワーサプライ方式を採用しており、セクション間の電源干渉を排除しています。

バイアス微調整ボリュームを搭載しています。

駆動モーターにはDCサーボキャプスタンモーターを採用しています。

マイクロプロセッサー制御によるモータードライブのサイレントメカニズムを採用しており、静粛な動作を実現しています。

テープたるみ防止機構を搭載しています。

双方向カウンターサーチを搭載しています。

録音内容を確認できるプログラムチェック機能を搭載しています。

ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/CタイプNRを搭載しています。

ディフィート付きのMPXフィルターを搭載しています。

オートリピート機能やレックミュート機能を搭載しています。

タイマー録音/再生機構を搭載しています。

アウトプットボリュームを搭載しています。

ヘッドホン端子を搭載しています。

入出力端子には金メッキ端子が採用されています。

システムリモートコントロール端子を搭載しています。

機種の定格

型式	カセットデッキ
ヘッド	3ヘッド(消去x1、録音x1、再生x1)
モーター	テープトランスポート: メカニズム: DCサーボモーター(キャプスタン駆動用) DCモーター(リール駆動用) DCモーター(カム駆動用)
ワウ・フラッター	±0.06%以下 WTD Peak 0.035%以下 WTD RMS
周波数特性	20Hz～21kHz ±3dB(録音レベル-20dB、Type I/II/IV)
SN比(70μs、TypeIV)	ドルビーCタイプNR on:72dB以上(400Hz、3%THD、IHF A-WTD RMS) ドルビーBタイプNR on:66dB以上(400Hz、3%THD、IHF A-WTD RMS)
総合歪率	0.8%以下(400Hz、0dB、TypeIV) 1.0%以下(400Hz、0dB、TypeI/II)
チャンネルセパレーション	37dB以上(1kHz、0dB)
クロストーク	60dB以上(1kHz、0dB)
消去率	60dB以上(100Hz、+10dB)
バイアス周波数	105kHz
入力端子	Line:50mV/40kΩ
出力端子	Line:0.5V/2.2kΩ(400Hz、0dB、出力レベルボリューム最大) Headphone:5.0mW/8Ω(400Hz、0dB、出力レベルボリューム最大)
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	最大23W
外形寸法	幅430x高さ100x奥行320mm(突起物含まず)
重量	約5.4kg