
Nakamichi CR-30
¥100,000(1989年頃)
解説
ディスクリート3ヘッドシステムなどのナカミチ伝統の技術を採用したカセットデッキ。
ヘッド部には完全独立構成のディスクリート3ヘッドシステムを採用しています。
この方式では各ヘッドが完全に独立してうるため、コンビネーション3ヘッドで実際の録音時に発生していた磁気的なアジマスずれによる高域特性の劣化を防いでいます。
ヘッドにはクリスタロイヘッドを採用しています。
このヘッドでは、ヘッドの片減り(偏摩耗)による音質悪化を回避するため、表面が常に理想の状態に磨かれる独自のヘッド形状を採用しています。これにより新品時のクオリティを10,000時間以上(ナカミチ実験値)にわたって保持しています。
メカニズム部にはクローズドループ・デュアルキャプスタン方式を採用しています。
ナカミチのこの方式では、2本のキャプスタンの回転数をわずかに変えることで正確なテープテンションを得ており、変調ノイズの原因となるテープパッドやテープガイドを用いずに常に最適なヘッドタッチを維持しています。
さらに、フラッター周期の重なりを避ける周波数分散型トランスポートの採用によって音の透明感や安定感を向上させています。
電源部にはマルチレギュレーテッド・パワーサプライを採用しており、電源をめぐる各回路での相互干渉を排除しています。
また、高速ディスクリートレギューレーターを採用しており、単体パーツで組んだオーディオアンプ並の回路構成によって優れた応答速度と高いスタビリティを獲得しています。
サイレントメカニズムを採用しています。
リファレンスDCアンプを採用しています。
また、アンプ基板にはデュアルモノ構成を採用しています。
アコースティックインシュレーターを装備しており、外部振動の影響を低減しています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/CタイプNRを搭載しています。
独立イコライザースイッチを搭載しています。
テープたるみ防止機構を搭載しています。
アウトプットボリュームを搭載しています。
システムリモート端子やヘッドホン端子を搭載しています。
金メッキ入出力端子を採用しています。
内部には約30箇所の調整機構が設けられており、製造工程において全項目を入念に調整することで各個体の誤差をギリギリまで追い込み、優れた特性を獲得しています。
例えば、一般的なカセットデッキではバイアス調整用の半固定ボリュームがL/R各一個しか無いため、3つのテープポジションのうち1つしか正確に調整できません。これに対し、CRシリーズではL/R用として合計6個の半固定ボリュームを搭載しており、全ポジションでの特性を限界まで追求することで、ノーマルポジションでも優れた音質を獲得しています。
さらに、完璧に調整されたデッキに対して、実に56項目にも及ぶ特性実測が行われ、あらゆる項目を厳密に1台1台測定し、十分にスペックを満たした個体のみ出荷されています。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
周波数特性 | 20Hz~20kHz ±3dB(録音レベル-20dB、ZX(typeIV)、SX(typeII)、EXII(typeI)テープ) |
総合S/N(70μs、ZX(typeIV)テープ) | ドルビーCタイプNR on:72dB以上 ドルビーBタイプNR on:66dB以上 |
ワウ・フラッター | 0.035%以下Wrms ±0.06%以下Wpeak(EIAJ) |
歪率(ZX(typeIV)テープ) | 0.5%以下(EIAJ) 0.9%以下(全高調波、400Hz、0dB) |
付属機構 | バイアス微調整ボリューム 独立イコライザースイッチ MPXフィルター ワンタッチレックポーズ レックミュート タイマーレック/プレイ機構 メモリーストップ機構 オートリピート機構 テープたるみ防止機構 |
消費電力 | 最大29W |
外形寸法 | 幅430x高さ100x奥行265mm |
重量 | 約5.8kg |
別売 | リモートコントロールユニット RM-5(¥6,000) |