Nakamichi 580M
¥115,000(1980年頃)
解説
580にメタルテープポジション”ZX”を追加したステレオカセットデッキ。
            
            
            ヘッド部には2ヘッド構成を採用しています。
            
            録再ヘッドには新開発のRP-9E型を採用しています。このヘッドでは録音再生兼用ヘッドでありながらメタルテープの性能を発揮するようメタルテープのように大きなバイアス電流を流してもコアが飽和せず、シャープなクリティカルゾーンが発生するよう設計されています。
            
            消去ヘッドにはダブルギャップ消去ヘッドであるE-8Lを搭載しています。
            このヘッドは580で採用された1ターンコイルのダイレクトフラックス消去ヘッドを改良したものです。低域における消去残りがあると、録音した信号が変調されたり歪が増加したりすることに注目し、低域における消去率の確保に重点をおいており、超小型の特殊構造と加工技術によって400Hzにおける消去率が飽和録音でも80dB以上で保持力(Hc)の大きなメタルテープでも十分に消去できるようにしています。また、温度上昇も殆どありません。
            
            
            メカニズム部には共振拡散型トランスポートを採用しています。
            一般にワウ・フラッターとして表示される値はフラッター成分を除去した値ですが、フラッター成分こそ聴感上の影響力が強いと考え、スペックに出なくともフラッターの減少を最大の目標として機械系の改善を図っています。
            メカニズム方式には周波数分散型ダブルキャプスタン方式を採用しており、二つのキャプスタンでテープをホールドするクローズドループダブルキャプスタンのキャプスタン径を変え、ワウフラッターの周波数成分を分散させることでよりピークの重なりを抑え、基音の変調による音の濁りを排除し、定位も安定させています。
            
            駆動モーターにはPLLサーボモーターを採用しており、フェイズロックドループ制御によって低いワウフラッターを実現しています。
            
            メカニズムシャーシには共振制動型シャーシを採用しており、振動減衰特性の大きなアルミニウムと樹脂成形部品を組み合わせることでモーターその他の回転体から生じる微振動を吸収しています。
            
            フライホイールには鉄の丸棒を削り出し加工したものを採用しており、ダイナミック、スタティックのアンバランスが無くワウフラッターの改善に寄与しています。
            
            
            録音アンプにはDC録音アンプを採用しており、録音アンプからヘッドに接続されるカップリングコンデンサーを削除することで録音時の歪を改善し、低域の位相まわりの防止を図っています。
            
            録音イコライザーと再生イコライザーにはDouble NF回路を採用しており、録音イコライザーや再生イコライザーのコンデンサーにネガティブフィードバックをかけ、コンデンサーによって発生する歪を低く抑え、同時に直流安定度を高めています。
            
            
            操作部にはICロジックコントロールを採用しており、Play/FF/Rew/Pause/Stopなどの全ての操作はソフトタッチボタンを押すことでロジック回路に命令が入り、コントロールモーターによってメカニズムを動作させます。
            瞬間的に大電流を食うソレノイド方式と異なり電流が安定しており、ゆっくりとテープに接触することができるため、テープにダメージを与えることがありません。また、安定したテープ走行が得られ、静粛な動作も実現しています。
            
            イージーキューイング機能を搭載しており、FF/REW中にポーズ/キューボタンを押すとスピード型約1/3にダウンして録音内容が聞こえます。次いでFF/REWボタンを押し続けているとさらにスピードが落ち、当初の約1/5となり、容易に曲の頭出しが可能です。
            
            ハイスピードオートシャットオフ機構を搭載しており、0.4秒というスピードでシャットオフされることでテープ巻きつきなどのトラブルを防止します。
            
            タイマー録再機構を搭載しており、オーディオタイマーを組み合わせることで目覚まし再生や留守録音が可能です。
            
            ヘッドホンジャックを搭載しています。
            
            47dBフルレンジピークレベルメーターを搭載しています。
            
            400Hz 0dBレベル調整用テストトーンを搭載しています。
            
            別売りオプションとしてリモートコントロールユニットがありました。
			
機種の定格
| 型式 | 2ヘッドカセットデッキ | 
| テープ速度 | 4.8cm/s | 
| ワウ・フラッター | 0.04%以下Wrms 0.08%以下Wpeak  | 
                
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz ±3dB(-20dB) | 
| 総合S/N比(400Hz) | 60dB以上(0dB、WTD rms) 64dB以上(Dolby NR、70μs、ZXテープ、3%THD、WTD rms)  | 
                
| 総合歪率 | 1.0%以下(400Hz、0dB、ZXテープ) 1.2%以下(400Hz、0dB、SXテープ) 1.0%以下(400Hz、0dB、EXIIテープ)  | 
                
| 消去率 | 60dB以上(1kHz、飽和レベル、ZXテープ) | 
| チャンネルセパレーション | 37dB以上(1kHz、0dB) | 
| クロストーク | 60dB以上(1kHz、0dB、Rch→Rch) | 
| バイアス周波数 | 105kHz | 
| 入力感度/インピーダンス | Line50mV/50kΩ | 
| 出力レベル/インピーダンス | Line:1V/3.9kΩ(400Hz、0dB、Output Level最大) Headphone:45mW/8Ω(400Hz、0dB、Output Level 最大)  | 
                
| 電源 | AC100V、50/60Hz | 
| 消費電力 | 最大23W | 
| 外形寸法 | 幅500x高さ130x奥行350mm | 
| 重量 | 約8.3kg | 
| 別売 | リモートコントロールユニット RM-200 | 
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