MERLIN EXL-III
価格不明(1台、1992年頃)
解説
マーリン社を代表するスピーカー「エクスカリバー」の技術を継承し、外観的に一回り小型化を図ったEXLシリーズのスピーカーシステム。
低域には20cmコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板にはポリプロピレンを採用し、エッジにはネオプレンラバーを採用して経年変化による性能劣化に対処しています。
このユニット自体の許容入力は120Wで、1.8立方フィートのエンクロージャーに納めれば33Hzの低音をハイスピードで再生することができます。
中域には11cmコーン型ミッドレンジを搭載しています。
フレームにマグネシウムを使用することで振動を防止しています。また、振動系には二重マグネット、二重ボイスコイル構造を採用することで歪特性の改善を図っています。
ミッドレンジは、トゥイーターとウーファーの干渉を防ぐ位置関係の配慮がされており、さらに背面に調整用コントローラーを搭載しています。
高域用に2.5cmハードドーム型トゥイーターを搭載しています。
このユニットは金属振動板を採用しており、磁性流体でダンプされています。また、中域と同様に背面にコントローラーが設けられており−4dB~8dBの範囲で高域の調整ができるようになっています。
ネットワークのコンデンサーには厳選したポリプロピレン型を採用しており、ワイヤリングハーネスにはCARDAS社のケーブルを使用しています。また、コイルには16ゲージワイヤーをボビンにメカニカルに巻いたものを使用しています。
エンクロージャーのバッフル面は、エッジ回折による軸放射パターンの乱れを防ぐため、スリットを上部及び両側面に設けて中高音の拡散効果を高めています。また、音響特性をコントロールするため、エンクロージャーの内部補強には物性の違う6種類の材料を採用しています。さらに、リスニングルームの壁面との相互作用を考慮し、エンクロージャーの周囲は音響クロスで覆われています。
EXL-IIIでは、エンクロージャー内部の蓄積エネルギーを放出するためマスローディングを設け、ウーファーの取付けには接着ネジを用いています。
ダイナミックカップリング特性の改善を図るため、エンクロージャーの底に16kgのドライサンドが充填されています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型 |
ユニット構成 | 低域用:20cmコーン型 中域用:11.5cmドーム型 高域用:2.5cmドーム型 |
周波数特性 | 33Hz~20kHz ±3dB |
最大許容入力 | 150W |
インピーダンス | 6Ω |
出力音圧レベル | 89dB/W/3.6m |
クロスオーバー周波数 | 500Hz、3kHz |
レベルコントロール | 中域、高域(バイアンプ端子付属) |
外形寸法 | 幅305x高さ1,150x奥行301mm |
重量 | 54.55kg(内ドライサンド16kgを底部に充填) |