解説　

ダブルバランスサーキットやアウトプットオートフォーマーを搭載し、マッキントッシュステレオパワーアンプの最高峰として発表されたモデル。

パワーアンプ部の回路にはダブルバランスサーキットを搭載しています。この回路では、通常2つの対称回路で構成されるバランス回路の上下にさらにもう1組の対称回路を配し、計4つのアンプで構成されています。これにより入力から出力までほぼ完全な平衡性を持ち、事実上無歪の高忠実度増幅を実現しています。
また、ネガティブフィードバックを可能な限り少なくし、特に不快な音となる奇数時高調波歪を抑え、低歪大出力を得ています。

出力パワートランジスタは48個使用しており、4つの大型ヒートシンクに固定することで自然空冷のみで冷却を行っています。

高品位のパーツを厳しく選別して使用しています。
能動素子には、動作すべき電流範囲全体にわたって安定したゲインを持つトランジスタを使用し、出力トランジスタには均一な電流ゲイン、高電流ゲイン帯域幅、低出力キャパシタンスで安全動作範囲の広いものを採用しています。
また、受動素子は温度係数などに優れた高精度金属被膜抵抗と低誘電吸収フィルムコンデンサーが使用されています。

MC602に搭載されたトランスは2Ω、4Ω、8Ωの負荷に適合しており、可聴範囲を遥かに超える周波数レンジにわたって低歪伝送を行い、1Ωとか2Ωにまで下がる事があるスピーカーインピーダンスの変動に対しても150Aを超えるピーク電流を供給可能となっています。

電源部には大型パワートランスと、全波整流ブリッジダイオード、200ジュールの電流を供給する大容量フィルターコンデンサーを搭載しています。さらにバランス回路の正負それぞれに独立電源としています。

パワーガードを搭載しており、全高調波歪が0.3%を超えると、アンプゲインを制御しアンプ出力の歪を低く抑えます。この回路はアンプが設計値を超えるパワーを要求された時のみ動作します。

セントリーモニターシステムにより、ショートや非常に低い負荷インピーダンスが生じた場合に破壊的な電流が流れる事態を防ぎます。

温度プロテクションにより、通気不全や過熱な負荷などによるオーバーヒートを温度センサーが感知し、入力をミュートし、アンプが冷えると自動的に復帰します。

インラッシュプロテクションにより、電源オン時のラッシュカレントによるパワートランスへのストレスを除去しています。

DC保護を搭載しており、出力に直流が漏れるようなことがあるとオートトランスが直流をカットします。

ターンオンディレイを搭載しており、電源on時、アンプの動作を約2秒遅らせることで、他の機器からの不快な雑音の原因となる信号を防ぎスピーカーを破損から守ります。

伝統のブルーアイズパワーメーターを搭載しており、電圧と電流を電子的に測定し、実際に出力されているパワーを表示できます。
このメーターは3種類の表示方法が可能で、6mWから600W/1200W/2400Wまでを表示するWATTSポジション、連続してピークパワーがあると最大ピークでロックしその後ゆっくりと静止位置に戻るHOLDポジション、バックライトを消灯しWATTSポジションと同じ機能を持つLIGHTS OFFポジションを搭載しています。

各端子には金メッキ処理が施されており、信頼性を高めてます。

マッキントッシュのコントロールアンプから電源on/offできるリモートパワーコントロールを搭載しています。
また、サーキットブレーカーが作動したり、フューズが飛ぶなどのオーバーロードを防止します。

機種の定格

型式	ステレオパワーアンプ
定格出力	600W+600W(2Ω、4Ω、8Ω負荷、20Hz～20kHz、正弦波)
出力電圧(RMS)	34.6V(2V) 49V(4Ω) 69.3V(8Ω)
定格出力帯域幅	20Hz～20kHz
出力負荷インピーダンス	stereo:2Ω、4Ω、8Ω
入力感度	アンバランス:2.45V バランス:4.9V
入力インピーダンス	10kΩ
周波数特性	20Hz～20kHz +0 -0.25dB 10Hz～100kHz +0 -3.0dB
SN比(A加重)	アンバランス:93dB(定格出力以下120dB) バランス:97dB(定格出力以下124dB)
全高調波歪	0.005%以下(250mW～定格出力)
混変調歪(SMPTE)	最大0.005%(瞬時ピークパワー出力≦定格出力x2)
ワイドバンド・ダンピングファクター	100(8Ω出力)
パワーガード	クリッピング防止 全高調波歪率≦2%(オーバードライブ14dB以下、1kHz)
電源	AC100V、50Hz/60Hz、12A(UL/CSA規格)
外形寸法	幅445x高さ310x奥行537mm
重量	69.8kg