解説　

マッキントッシュ独自のパワーガードシステムを搭載したステレオパワーアンプ。
MC2125とは、パワーメーター以外はほぼ同一構成となっています。

パワーガードシステムは、マッキントッシュ独自設計の波形比較回路により実現した回路で、出力波形と入力波形を電気的に比較して、その波形差が0.5%になるとLimitランプが点灯し、Normalランプが消えます。また、波形差が1%に達すると、パワーガード回路が動作し、アンプがクリッピングするのを防いでスピーカーから歪を再生せず、同時にスピーカーを保護します。
入力波形と出力波形は、IC差動アンプで比較され、出力波形の歪による波形差は電圧に変換されます。またこの電圧は、約100倍に増幅されて全波整流回路を通りSchmidtトリガー回路に供給されます。また、この電圧はパワーガード回路を働かせ、電圧がLimitランプを点灯させるレベル以上に高くなると、パワーガード回路を作動させます。
Limitランプは、アンプがオーバーロードした場合にも点灯するよう設計されており、オーバーロード状態が非常に短い間であっても、目視できる程度の間、点灯しています。この場合、メーターは200Wイカを表示します。
パワーガード回路を使用する場合には、後面パネルのパワーガードスイッチをNormalにしておく必要があります。このスイッチがoutの位置にあっても、Limitランプだけは動作します。

アンプの出力信号は出力トランスを通って出力端子に供給されます。このトランスはどのインピーダンスのｓｙ通力端子にもマッチするように設計されており、どの出力端子を使っても、全ての周波数信号に対して最大出力が得られます。
また、このトランスはアンプの故障の際にスピーカーを保護する役割も持っており、例えば直流成分が出力に混入した際、トランスがその成分を排除してスピーカーの破損を防ぎます。

出力トランジスタがオーバーロードするのを防ぐため、出力信号は常にモニター回路で監視されています。この回路は、出力レベルが定格以上になるとハイインピーダンスになります。出力が最大値になったとき、モニター回路により出力トランジスタへ供給される信号は制限され、出力トランジスタの破損を防ぎます。

パワーアンプ部の入力側にはノイズの少ないモノリシックトランジスタ差動アンプを使用し歪を除去しています。この差動アンプには入力信号とフィードバック信号が供給されます。次段の回路はA級で動作する電圧増幅回路となっています。ドライバー回路と出力回路はコンプリメンタリー方式を採用し、A級に近い動作をしてクロスオーバー歪を少なくしています。この回路は温度の変化に対して、常に適度のバイアスがかかるよう設計されています。
パワートランジスタはAB級動作となっており、バイアス電流はサーミスタにより安全が保たれています。出力回路はシングルエンデッドのパラプッシュ方式を採用しており、信頼性の高い6個のコンプリメンタリー・パワートランジスタで構成されています。この回路は平衡性エミッターフォロワー結合なため、安定性が良く、歪も少なくなっており、さらに独自の出力バイアス回路の採用によって、クロスオーバー歪の無いB級動作をしています。

機種の定格

型式	ステレオパワーアンプ
定格出力	stereo: 120W+120W 15.5Vrms(2Ω負荷時) 21.9Vrms(4Ω負荷時) 31.0Vrms(8Ω負荷時) 43.8Vrms(16Ω負荷時) mono: 240W 15.5Vrms(1Ω負荷時) 21.9Vrms(2Ω負荷時) 31.0Vrms(4Ω負荷時) 43.8Vrms(8Ω負荷時)
出力負荷インピーダンス	stereo:2Ω、4Ω、8Ω、16Ω mono:1Ω、2Ω、4Ω、8Ω
定格出力帯域	20Hz～20kHz
全高調波歪率	0.1%以下(出力0.25W～120W、20Hz～20kHz、両ch動作時)
混変調歪率	0.1%以下(定格出力時)
周波数特性(1W出力時)	20Hz～20kHz +0 -0.25dB 10Hz～100kHz +0 -3.0dB
SN比	95dB以上(定格出力時)
出力電圧	25V
ダンピングファクター	stereo:16(2Ω)、50(4Ω)、20(8Ω)、14(16Ω) mono:16(1Ω)、50(2Ω)、20(4Ω)、14(8Ω)
入力感度/インピーダンス	0.75V、2.5V(切換式)/100kΩ
使用半導体	シリコントランジスタ:39個 IC:2個 シリコンダイオード:24個
電源電圧	AC120V、50Hz/60Hz
消費電力	50W(無信号時) 460W(最大定格出力時)
外形寸法	本体:幅372x高さ127x奥行330mm 前面パネル:幅407x高さ132mm
重量	25.9kg(正味) 31.8kg(梱包時)