Marantz St-5
¥64,800(1979年発売)
解説
クォーツロックデジタルシンセサイザー方式を採用したFM/AMチューナー。
フロントエンドにクオーツロックデジタルシンセサイザー方式を採用しています。この方式では、局発周波数を水晶発振子による基準信号をもとに、FMは100kHz単位で、AMは9kHz単位で正確にロック。気温や湿度などの環境変化に対する安定度を高め、同調ズレによる歪の発生を極限まで抑えています。また、バリキャップに流す電圧を変化させて選局するシンセサイザー方式ではすべてが電子的にコントロールされるため、機械的な動作部分がなく、振動などの外部ショックによる同調ズレも皆無です。
プリセット機構の充実を図ったSt-5は、プリセット数をFM7局、AM7局の合計14局をプリセット可能。独自の機構により、電源を切った後も、記憶させた局は消えません。
放送局の周波数をいちいち覚えていなくても、同調のズレなく的確に局を選出できる便利なオートチューニングを採用しています。またチューニングをノーマルスイッチに切換えると、マニュアル操作も可能です。
周波数表示は、クオーツロックされた局発周波数をカウントダウンし、ダイレクトにデジタルディスプレイ表示。このため指示誤差はゼロとなり、最良の同調点では、歪の発生、セパレーションの悪化も全くありません。
クオーツロックシンセサイザー方式で同調性能を高めたフロントエンドは、さらに低ノイズデュアルゲートMOS-FETを採用し、歪率、S/N比のすぐれた高周波増幅特性を実現。
また、受信性能と音質性能の両立が困難だったIF段はメインIF段とサブIF段に分け、受信、音質ともに性能向上を図っています。
さらにMPX段にはPLLパイロットキャンセラー回路を採用。広帯域に渡るセパレーション特性を向上しています。
デジタル表示された周波数は同調のズレの全くない設計ですが、LEDによるシグナル強度メータを装備しているので信号の強さも直読できます。
しかもこのメータは、スイッチの切換えによりマルチパスの観測が可能。簡単に妨害電波のない方向がチェックでき、性能を引き出すアンテナセッティングが可能です。
別売りオプションでマホガニーキャビネットがありました。
機種の定格
| 型式 | FM/AMチューナー |
| <FMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 76.1~89.9MHz |
| IHF実用感度 | 1.8μV(IHF) 10.3dBf(新IHF) |
| 50dBクワイエッティング感度 | モノラル:2.5μV(IHF)、13.2dBf(新IHF) ステレオ:36μV(IHF)、36.4dBf(新IHF) |
| S/N比 | モノラル:78dB ステレオ:73dB |
| 高調波歪率 | モノラル、1kHz:0.08%(WIDE)、0.15%(NARROW) ステレオ、1kHz:0.15%(WIDE)、0.25%(NARROW) |
| 周波数特性 | 30Hz~15kHz(+0.2dB、-1.5dB) |
| キャプチャーレシオ | 0.9dB(WIDE) 1.5dB(NARROW) |
| 実効選択度 | 42dB(WIDE) 75dB(NARROW) |
| イメージ除去比 | 80dB |
| 中間周波数妨害比 | 100dB |
| AM抑圧比 | 60dB |
| ステレオセパレーション(1kHz) | 50dB(WIDE) 45dB(NARROW) |
| <AMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 531~1602kHz |
| 感度 | 20μV |
| S/N比 | 50dB |
| 高調波歪率 | 0.5% |
| <総合> | |
| 定格消費電力 | 10W(電気用品取締法) |
| 電源 | AC100V、50/60Hz |
| 外形寸法 | 幅416x高さ73x奥行300mm 幅474x高さ100x奥行320mm(マホガニーキャビネット寸法) |
| 重量 | 4.5kg |
| 別売 | マホガニーキャビネット WC-72N(¥11,000) |