解説　

アンプから送りこまれる音楽信号を正確に色づけなく再生するため、正面から取り組み開発されたスピーカーシステム。

低域にはポリプロピレンコーンによる30cmウーファーを搭載しています。
ポリプロピレンコーンは従来の紙コーンに比べ材質の均一性・強度に優れ、ピストンモーション領域を拡大できること、高域共振のメカニカルQが低く(紙に対して1/10以下)、高域の歪や特性の乱れが小さい事などのメリットを持っています。
また、50mmφのロングスルーボイスコイルを採用しており、変形に強いポリプロピレンコーンとあいまって低域大振幅時の過渡的な歪を低減しています。
さらに、耐熱性の向上と軽量化を両立させたティルボビンにより、トランジェント特性を損なうことなく耐入力を高めています。

中域にはウーファーと同様にポリプロピレンコーンを用いた12cmコーン型スコーカーを搭載しています。
トランジェント・耐入力を向上させるティルボビンや、第2高調波歪を追放する有孔ポールピースの採用など、ウーファーに共通するローディストーション・ノンカラーレーション設計を行っています。

高域には新開発のデュアルドライブ・リボントゥイーターを搭載しています。
高分子材料(ポリイミド)の超薄膜フィルムにコイルをプリントした振動板を、独自のデュアルドライブ磁気回路が均一に全面駆動することで、諸特性を向上させています。
また、プリントコイル方式によりマッチングトランスを不要とし、耐入力と音質を向上し、さらに強力な磁気回路とショートホーンの採用によって高能率化を達成しています。

ネットワーク部は、各ユニットの特性を生かすため、シンプルかつ低損失設計がされています。
素子には、珪素ラミネート鋼板コア入りコイルをはじめ、オーディオ専用ケミコンとメタライズドポリプロピレンコンデンサー、大容量抵抗、無酸素銅リード線などを採用しています。
また、エンクロージャー底部に基板を固定することで、振動の影響を排除しています。

エンクロージャーには、一般のエンクロージャー材よりさらに高密度なチップボードを使用しており、振動の伝播や減衰が速く、箱鳴りなどによるカラーレーションを追放しています。
また、外装は着色と研磨を数回繰返したツキ板仕上げとなっており、通常のオイルフィニッシュより表面硬度が高くなり、振動の乱れを防いでいます。

機種の定格

方式	3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
使用ユニット	低域用:30cmコーン型 中域用:12cmコーン型 高域用:リボン型
インピーダンス	8Ω
再生周波数帯域	40Hz～40kHz
最大入力	120W
出力音圧レベル	90dB/W/m
クロスオーバー周波数	800Hz、6kHz
外形寸法	幅400x高さ740x奥行325mm
重量	24.5kg