
Marantz SR9600
¥400,000(2005年6月発売)
解説
ピュアオーディオの流れを汲んだアナログ回路と最新鋭のデジタルテクノロジーに加え、カスタムインストールにも配慮したフラッグシップAVサラウンドアンプ。
自動音声補正機能としてNew MRAC(Marantz Room Acoustic Calibration)システムを搭載しています。
この機能はPS8500やPS7500で採用されたMRACをブラッシュアップしたもので、新開発のMRAC専用DSPを2個搭載しています。これにより従来モデルの距離補正、音量補正、バスマネジメントに加え、スピーカーの極性検出と9素子のパラメトリック・イコライザーを用いた周波数イコライジング機能が追加されています。New MRACによって各スピーカーのコンディションを最適化し、室内環境に左右されにくいシームレスなサラウンドを実現しています。
さらに、メモリー機能を搭載しており、周波数特性がフラットになるように補正したパターン(Auto1)、フロントスピーカーの周波数特性を基準に補正したパターン(Auto2)、マニュアルで調整したパターン(Manual1/2)の計4パターンの設定を記憶させる事が可能です。
また、i.Linkを経由したSACDのデジタル信号に対しても225MHz/32bit DSPによるDSD-PCM変換を行い、MRACによる音場補正を可能にしています。
パワーアンプ部にはボクサー7電流帰還ディスクリートパワーアンプを搭載しています。
この回路はPS8500/PS7500で採用されたイン・ライン・ストレート7をさらに発展させたもので、ハイパワーと安定度を追求した強制空冷式となっています。
このアンプ部は各チャンネルのシャーシ内での配置位置に起因する音質差が非常に少ないため、全チャンネルでクオリティの揃った音を実現しています。また、マランツ独自の電流帰還型回路やワイドレンジかつハイパワーなデバイスであるLAPTに加え、電源供給ラインにはOFCバスバープレートを採用するなど高音質を徹底して追求しています。
強制空冷には発熱量の変化に応じて回転数を可変させるインテリジェントクーリングシステムを採用する事で静音性に配慮がされています。
プリアンプ部には電流帰還型回路を採用しています。
SR9600ではAVアンプとしては初めて、PM-11S1などにも採用されたHDAM SA2をファイナル出力段の全8チャンネルに搭載しています。ボクサー7パワーアンプステージと合わせてプリアンプステージにも電流帰還型を採用する事でマランツのピュアオーディオアンプと同様の構成としています。
電源部には低インピーダンスで電流供給能力の高い大型トロイダルリングコア・パワートランスと50,000μFx2の大型ブロックコンデンサを搭載しています。この強力な電源回路によって幅広いレンジのソースに余裕を持って対応しています。
また、ノイズの発生源でもある制御マイコンやFLディスプレイにそれぞれ独立したトランスを搭載しており、アナログステージへの悪影響を大幅に低減しています。
D/A変換部にはシーラスロジック製DACであるCS4397を合計4個、サブウーファーまで含めた全8チャンネルに搭載しています。
これによりSACDのDSD信号にストレートに対応することに加えてPCM信号の高精度なD/A変換にも対応しています。
THX Ultra2に対応しています。
シャーシには肉厚銅メッキシャーシを採用しており、高周波ノイズから回路を保護しています。
サラウンドバックスピーカーを使用しない場合にフロントスピーカーのバイアンプ駆動が可能となっており、従来のAVアンプでは難しかったハイエンドスピーカーに対するドライブ能力を向上させています。
IEEE1394インターフェイス(I.Link)を2系統搭載しており、SACDやDVDオーディオのデジタル伝送に対応しています。また、その双方向性を生かしたJFTS(Jitter free transfer system)を採用しています。
SR9600のバッファーに蓄積されたデータ量の増減に合わせてプレイヤーの読み出し速度をコントロールする事に加え、バッファーに蓄積したデータを高精度水晶発振器でリクロックし、D/Aコンバーターに送り込む事でジッターレスの高音質再生を実現しています。
※IEEE1394でDVDオーディオやSACDを再生するには、再生機器がDTCPに対応している必要があります。
DSP回路にはシーラスロジック製のデュアルコアDSPであるCS49500を搭載しています。
CS49500では当時の最新のサラウンドフォーマットに対応すると共にポストプロセッシングまで1チップでこなす能力を持っています。これによりデジタルノイズの大きな発生源であるデコーダーを1チップ化し、ノイズ減少による音質向上を実現しています。
当時のサラウンドフォーマットの全てに対応しています。
また、ドルビープロロジックIIxには従来のムービーとミュージックモードに加えてゲームモードにも対応しています。
次世代AV機器用インターフェイスとしてHDMI端子を入力2系統と出力1系統装備しています。
HDMI Ver1.1に対応sいたシリコンイメージ社製のHDMI用ICを搭載する事で映像信号のデジタル伝送やDVDオーディオのマルチチャンネル信号の伝送、再生に対応しています。
アップ/ダウンビデオコンバージョン機能を搭載しています。
フルデジタル処理による映像信号のアップコンバーター(コンポジット-Sビデオ/コンポーネント、Sビデオ-コンポーネント)とダウンコンバーター(Sビデオ-コンポジット)を搭載しています。
3ラインデジタル分離回路やダイナミック櫛形フィルターなどを用いたY/C分離回路、9ビット2倍オーバーサンプリングビデオA/Dコンバーターを用いたコンポーネントビデオデコーダー、トリプル10ビットビデオD/Aコンバーターなどの構成によって画質の劣化を最小限に押さえています。
コンポーネントビデオ信号には入力4系統と出力2系統を装備しています。
ハイビジョン信号等の広帯域(100MHz-3dB)な映像信号に対応しています。
ジャイロタッチコントロールを採用しており、往年のマランツを彷彿させる操作感を得ています。
リップシンク機能を搭載しています。
7.1chアナログ入力端子を搭載しています。
HDCDデコーダーを搭載しています。
オンスクリーンディスプレイ機能を搭載しています。
マランツが提唱するシアタートータルソリューション向けにカスタムイントール用の機能を搭載しています。
IRレシーバー端子とIRエミッター端子を4系統装備しています。
SR9600に接続したIRレシーバーで受信したリモコンからの信号をIRエミッターから再送出する事で他のAV機器まで含めたコントロールが可能です。この機能はマランツ以外の他社製品にも使用可能となっています。
DCトリガー出力を搭載しています。
電動スクリーンや電動カーテンなど、12VDCトリガーで動作する機器の操作が4系統まで行えます。この機能は再生ソース毎の出力設定とリモコンによる操作が可能です。
RS232Cコントロール端子を搭載しています。
クレストロン等を用いたカスタムインストールに対応しています。
ダブルチューナーシステムを搭載しており、メインルームに加えてマルチルームでもチューナーを楽しむ事が可能です。それぞれで独立した選局が可能です。
2マルチゾーンシステムを採用しており、マルチゾーン用として2系統の映像・音声出力端子を搭載しています。
液晶タッチパネル型の学習機能付きリモートコマンダーが付属しています。
このリモコンにはマランツ製品のリモコンコードがプリセットされており、1MBの不揮発性メモリーを搭載しています。また、マクロ機能やビープ音、タイマー機能を搭載しており、SR9600との双方向コントロールが可能です。
機種の定格
型式 | AVアンプ |
サラウンドモード | DTS 5.1 DTS ES DTS NEO:6 DTS 96/24 ドルビーデジタル ドルビーデジタルEX ドルビープロロジックIIx Circle Surround II マルチチャンネルステレオ Virtual Surround(TruSurround) MPEG2 AAC THX THX Surround EX THX Ultra2 Dolby Headphone HDCD |
<FMチューナー部> | |
受信周波数 | 76.0~90.0MHz |
実用感度 | 1.8μV/16.4dBf(IHF) |
S/N比 | mono:75dB stereo:70dB |
歪率 | mono:0.2% stereo:0.3% |
ステレオセパレーション | 45dB(1kHz) |
実効選択度 | 60dB(±300kHz) |
イメージ妨害比 | 50dB(83MHz) |
チューナー出力レベル | 800mV(1kHz、±75kHz Dev) |
<AMチューナー部> | |
受信周波数 | 531~1602kHz |
実用感度 | 400μV(loop) |
S/N比 | 50dB |
歪率 | 0.5%(400Hz、30%Mod.) |
実効選択度 | 70dB(±20kHz) |
<オーディオ部> | |
定格出力(THD 0.08%、6Ω) | フロント:170W+170W センター:170W サラウンド:170W+170W サラウンドバック:170W+170W |
実用最大出力(THD 10%、JEITA、6Ω) | フロント:220W+220W センター:220W サラウンド:220W+220W サラウンドバック:220W+220W |
デジタル入力 | 光:4系統(前面1系統) 同軸:4系統 |
デジタル出力 | 光:1系統 同軸:1系統 |
アナログ入力 | ステレオ:9系統(前面1系統) 7.1ch:1系統 |
アナログ出力 | ステレオ:4系統 プリアウト(7.1ch):1系統 ヘッドホン:1系統 |
映像入力 | コンポジット:6系統(前面1系統) S映像:6系統(前面1系統) コンポーネント:4系統 |
映像出力 | コンポジット:4系統 S映像:4系統 |
i.Link(S400)端子 | 2系統 |
HDMI端子 | 入力:2系統 出力:1系統 |
モニター出力 | コンポジット:2系統 S端子:2系統 コンポーネント:2系統 |
外部コントロール系 | DCトリガー:4系統 エミッターアウト:4系統 IRレシーバーイン:1系統 フラッシャーイン:1系統 |
消費電力 | 600W(電気用品安全法) 0.8W(待機電力、スタンバイ時) |
外形寸法 | 幅440x高さ218x奥行483mm |
重量 | 26.0kg |
付属 | 液晶タッチパネル型双方向リモコン 音場補正用マイクロホン 着脱式ACケーブル AMアンテナ、FMアンテナ フロント入力端子カバー |