
Marantz Project T-1
※受注生産品
¥2,500,000(1995年発売)
解説
マランツに相応しく、現代にふさわしい、最新の技術を用いた真空管アンプを求めて開発された管球式モノラルパワーアンプ。
各パーツには音色を最大限に引き出せる信頼ある部品を世界各国から厳しく吟味して選択されています。また、在庫限定品や中古球を使用せず、当時製造中だったパーツを使用することで長寿命の製品を目指しています。
内部の回路には、米国エアロボックス社のフィルムコンデンサやデール社の抵抗、ジョンソン社のソケットなどの信頼性の高い部品を厳選して使用しています。
真空管は、初段とドライバー段に300Bを、終段には845をプッシュプルで使用しており、増幅段には全てリニアリティに優れ、奇数次歪の少ない大型直熱3極管を採用しています。また、初段とドライバー段用B電源整流器には直熱双2極管5U4Gを、終段用B電源整流器には直熱3極管845を2極管接続して使用しています。
使用された真空管は全て厳選されたもので、マランツの規格に合格したものだけを選別しmarantzのロゴ入りで使用しています。
回路構成にはトランス結合方式を採用しており、入力から出力まで全段トランス結合A級プッシュプル無帰還アンプ(全段バランス構成)となっています。これにより3極管の2次歪や電源のリップル分を打ち消しています。
初段、ドライバー段のB電源および各フィラメント電源用トランスと終段用高圧電源トランスを独立した構成となっています。また、各段にそれぞれチョークコイルを挿入するとともに、増幅系のフィラメント電源は定電流回路とすることで、安定動作と電源投入時の突入電流を抑えて真空管の寿命を伸ばしています。各増幅段のB電圧は、初段が184V、2段目が382V、終段が970Vとなっています。
さらに、これらの電源のフィルターコンデンサーには信頼性の高いMPコンデンサーを採用しています。
オーディオトランスには、全て信頼あるトランスメーカーである米国OPT(旧UTC:ユナイテッド・トランスフォーマー・コーポレーション)社製を採用しています。
各増幅段には信頼性を重視してセルフバイアス回路を採用しています。
また、高圧電源にはタイムディレイ回路を装備しており、電源ON/OFF時のショックノイズの発生や高圧電源の無負荷状態を防いでいます。また、増幅系の各B電源に異常電流が流れた場合でも高圧電源をカットオフします。
シャーシには美しさと強度を備えた銅メッキ鋼板シャーシーと肉厚アルミ板の外装による2重構造を採用しています。
レイアウトは、2つの電源トランスと2つのチョークコイルをトップパネル後方に配置し、4つのオーディオトランスは筐体の内部の真空管の下に設置しています。これにより配線を最短にするだけでなく重量バランスの向上を図ってます。
シャンペンゴールドのフロントパネルに、パイロットランプを兼ねたバイアス・バランスメーターを搭載しています。
このメーターでは、各段の真空管、初段(300B)、ドライバー段(300B)、ファイナル段(845)のDCバランス状態を確認できます。
入力端子としてバランス入力(XLR)を1系統搭載しています。
スピーカー出力はキャノン端子1系統となっており、通常は8Ωに設定されています。
この出力負荷インピーダンスの設定はサービス対応により変更が可能となっていました。
機種の定格
型式 | 管球式モノラルパワーアンプ | ||
出力 | 50W(8Ω) | ||
周波数特性 | 20Hz~20kHz | ||
全高調波歪率 | 5% | ||
クリッピングポイント | 75W(8Ω) | ||
入力感度/インピーダンス | 0.75V/1kΩ(バランス) | ||
SN比 | 90dB(Aネットワーク) | ||
使用パーツ |
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消費電力 | 560W | ||
外形寸法 | 幅556x高さ396x奥行495mm | ||
重量 | 65kg | ||
付属 | バードケージタイプボンネット | ||
備考 | バランス入力HOT:3番ピン |