
Marantz PM-15S2
¥150,000(2009年6月発売)
解説
PM-15S1の後継機として開発されたプリメインアンプ。
マランツ独自の高速電圧増幅モジュールであるHDAMの最新バージョンHDAM-SA3を採用しています。
HDAM-SA3はコンプリメンタリーカスケードプッシュプル型回路のアンプモジュールで、温度特性に優れると共にスルーレート200V/μsec以上を実現しています。
PM-15S2ではコンスタント・カレントフィードバック・フォノイコライザーとリニアコントロール・ボリュームにおいて重要なV/I変換回路に使用しています。
ボリューム部にはリニアコントロールボリュームを採用しています。
リニアコントロールボリュームはボリュームコントロールICと電流帰還型アンプを組み合わせた音量調節回路です。PM-15S2ではボリュームコントロールICにMicro Analog Systems社製のMAS6116を採用しており、これにHDAM-SA3とHDAM-SA2を用いた電流帰還型アンプを組み合わせています。また、PM-15S2ではSC-11S1と同様に反転NFB型回路を採用しており、従来必要とされていた信号の位相を正相に戻すのに必要な反転アンプを排除しています。
リニアコントロールボリュームは従来と同様に0dBから100dBまで0.5dBステップでの音量調整が可能で、チャンネル間のクロストークや連動誤差が少なくなっています。また、F.C.B.S.機能による複数台連動制御時においても正確なボリュームコントロールを実現しています。
フォノイコライザーアンプ部にはSC-11S1と同様にコンスタント・カレントフィードバック型を搭載しており、低域から高域までのNFB量を一定にすることによって音域による音質の変化の無い音を実現しています。
また、MC型とMM型の両方式のカートリッジに対応しています。
CD入力端子の直近にCD専用の入力バッファーアンプを搭載しています。
このアンプはHDAM-SA2モジュールを用いた構成となっており、CD入力端子の信号を低インピーダンス化する事でチャンネル間や入力ソース間でのクロストークを抑えています。
電源部には大型トロイダルトランスを搭載しています。
このトランスは、1.5mm厚のアルミケースとケース内に配したコアリングによる二重シールド構造となっており、極限まで漏洩磁束を少なく抑え、音質への悪影響を低減しています。
また、内部のドーナツ状のリングコアは2段重ねとし、高比重充填剤によって封入する事で唸り音の発生を抑えています。
パワーアンプ部にはPM-11S2にも採用されたV/Iサーボ方式の電流帰還型回路を採用しています。
入力回路とDCサーボ回路はHDAM-SA2にトランジスタを組み合わせており、オンボードのHDAM-SA3を構築しています。
ブロックコンデンサーには新開発の高音質タイプを採用しています。
このコンデンサーは上級機と同様に3分割巻構造を採用しており、幅広のタブで電極箔と端子とを結んでいます。また、ゆとりある音のために素子固定材で3分割巻された電極箔をソフトかつ確実に支えています。
高音質パーツを採用すると共にアースラインの見直しなどによってさらなる高音質化を図っています。
内部レイアウトはマランツ独自の並行配置を採用しており、入力端子部から出力端子部までの一貫した並行配置によって両チャンネルの信号を同一条件で伝送・増幅しています。
シャーシ構造にはダブルレイヤー構造を採用しており、クロムフリー1.2mm厚鋼板と3.0mm厚の黒塗装鋼板を組み合わせた構造となっています。
また、脚部にはアルミダイキャスト製インシュレーターを採用しています。
CDやPhono入力端子には真鍮削り出しのピンジャックを採用しています。
また、全ての入出力端子に金メッキ処理が施されています。
スピーカー端子にはWBT社製スピーカーターミナルを採用しています。
Yラグやバナナプラグの接続に対応しています。
ディスプレイ部には従来より視認性を高めた液晶ディスプレイ(反転表示型)を採用しています。
液晶ディスプレイは蛍光表示管に比べてノイズの発生が少なく、オーディオ回路への影響を最小限に抑えています。
また、ディスプレイやブルーイルミネーションをオフにする機能も搭載しています。
トーンコントロール回路にはアクティブフィルター型を採用しています。
電子式トリム(左右バランス)調整機能を搭載しています。
プリアウト端子を装備しており、コントロールアンプとして使用する事も可能です。
また、パワーアンプダイレクト入力端子を搭載しており、AVアンプとの組み合わせによってフロントチャンネルをステレオシステムと共用することができます。
F.C.B.S.(フローティング・コントロール・バス・システム)を搭載しています。
この機能では最大4台(8チャンネル)までのPM-15S2を高速双方向通信によってシンクロコントロールでき、マランツが推奨していたコンプリートバイアンプやピュアオーディオアンプによるマルチチャンネルシステムなどへのシステムアップに対応しています。
F.C.B.S.では制御信号とグランドをオーディオ信号系とは完全に分離し、音質への影響を排除しています。
バイアンプモードを搭載しています。
2台のPM-15S2をF.C.B.S.接続してシステムアップする事でコンプリートバイアンプ接続が可能です。プリアンプ部からLとRのチャンネルを分離独立した信号伝送が可能です。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
このリモコンではマランツ製CDプレイヤー等の操作も行えます。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力(20Hz~20kHz、両ch駆動) | 140W+140W(4Ω) 90W+90W(8Ω) |
全高調波歪率(20Hz~20kHz、両ch駆動、8Ω) | 0.05% |
周波数特性(CD、1W、8Ω負荷) | 5Hz~100kHz ±3dB |
ダンピングファクター(20Hz~20kHz、8Ω負荷) | 100 |
入力感度/インピーダンス | Phono MC:270μV/100Ω Phono MM:2.7mV/47kΩ CD、Line、Recorder:240mV?20kΩ Main in:1.7V/20kΩ |
出力電圧/インピーダンス | Pre out:1.7V/220Ω |
Phono最大許容入力(1kHz) | MC:15mV MM:150mV |
RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.5dB |
S/N比(IHF-Aネットワーク、1W、8Ω負荷) | Phono MC:75dB(0.5mV入力) Phono MM:86dB(5mV入力) CD、Line:89dB(500mV入力) |
入出力端子 | Phono入力:1系統(GND端子付き) Line入力:3系統(CD、Line1/2) テープ入出力:2系統(Recorder1/2) |
トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(20kHz) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 220W(電気用品安全法) |
最大外形寸法 | 幅440x高さ123x奥行444mm |
重量 | 18.5kg |
付属 | ワイヤレスリモコン(RC-11PMS1) 電源ケーブル |