Marantz ModelP510M
¥565,000(1976年発売)
解説
Model510Mの選別品にあたるステレオパワーアンプ。
Model P510Mは測定値の特に優れた510Mで、厚さ8ミリのパネルを採用すると共にプロフェッショナルの呼称が与えられています。
出力段にはパワースタックを採用しており、出力段は2段2列のシリーズパラレル構成で片チャンネル当たり8個のパワートランジスタを用いてピュアコンプリメンタリーOCL回路を形成しています。
パワースタックは効率が高く、小出力から大出力まで広い周波数帯において低歪率でリニアリティに優れた性能を得る事が可能です。また、シングルディフェーション素子を使用したアンプの堅牢性、信頼性と、三重拡散素子を用いたアンプの高耐圧と優れた高域周波数特性を併せ持っています。さらにこのパワースタックはエピタキシャル素子を用いたピュアコンプリメンタリー出力段固有の優れた周波数応答と低歪率、大電流熱拡散トンネルといった長所も持っています。
パワートランジスタの冷却にはフィンガーヒートディシペーターと呼ばれる放熱装置を備えています。
これはNASAの技術にヒントを得て開発したもので、12本の放熱指を持つ構成となっています。これをトンネル型のヒートシンク内に設けた構成としています。この方式ではわずかな空気の流れで12本指の周囲に乱気流が発生します。これにより冷却ファンが低速回転でも高い効率で冷却が可能です。
また、冷却ファンは出力による速度自動2段切換となっており、ファンノイズを低減しています。510Mシリーズではこのヒートシンクの採用により、スペースで約1/2、重さで1/8の小型・軽量化を実現しています。
アンプ回路の実装には2層配列のプリント基板を採用しています。
これにより神経質な半導体部分をパワートランジスタの熱から守り、容量を必要とするドライブ段配線は2層目のボードに余裕をもってパターン化することで、コンパクト化とハイクオリティの両立を図っています。
電源部に採用されたトランスにはレジンと岩石の粉を圧入しており、内部空間をなくすことでトランス鳴きを追放しています。
部品のはんだ付けには両面ソルダリングを採用しています。
VUメーターを搭載しています。
このメーターにはメーターレンジスイッチを装備しており、音量レベルにより、メーターの感度を3段階に切り替える事が可能です。
左右チャンネルのそれぞれにピークインジケーターを搭載しており、メーターで追従できない瞬間的な音に対応しています。
このインジケーターは、過度の信号や瞬間的な信号によってアンプがクリップを生じている場合や、アンプの保護回路が作動している場合に点灯します。
ソフトスタート回路を搭載しています。
この回路はAC電源のインラッシュ制限回路で、電源スイッチを入れた時のアンプのインラッシュ電流を12A以下に制限します。
サーマルプロテクション回路やオーバーロードプロテクション回路を搭載しています。
マホガニーのウッドキャビネットは別売りオプションとなっていました。
機種の定格
| 型式 | ステレオパワーアンプ |
| 定格出力(両ch駆動、20Hz~20kHz) | 300W+300W(4Ω) 256W+256W(8Ω) |
| 全高調波歪率 | 0.1%以下(20Hz~20kHz) |
| 混変調歪率 | 0.1%以下(20Hz~20kHz、任意周波数の組合せ) |
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz ±0.1dB 20Hz~20kHz ±0.3dB以下(別カタログ記載) |
| 入力感度/インピーダンス | 2.25V/25kΩ |
| ダンピングファクター | 100以上(8Ω) |
| ハム及びノイズレベル | 110db以下 |
| スルーレート | ±15V(1μsec) |
| 位相シフト | 20Hz:9゜進み 20kHz:10゜遅れ |
| オーバーロードリカバリー | 1μsec以下(10dB過駆動) |
| メーターレンジ切換ポジション | 0dB:2.56W 10dB:25.6W 20dB:256W |
| 電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
| 消費電力 | 1.32kW |
| 外形寸法 | 幅483x高さ178x奥行361mm(幅と高さはパネルサイズ) |
| 重量 | 22.2kg |
| 別売 | マホガニーキャビネット WC-P1(¥22,000) |
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