Marantz Model 1180
¥135,000(1977年頃)
解説
Low TIM(トランジェントインターモジュレーション・ディストーション)と、過渡混変調歪を追求したプリメインアンプ。
パワー部は、マランツ伝統のDC構成による、ピュアコンプリメンタリーOCL・パラレルプッシュプル3段ダーリントン回路とし、マランツ特注のローノイズ素子を採用しています。
さらに、このパワーアンプ初段にローノイズ仕様FETによる差動増幅カスコードブートストラップ回路を採用し、DCアンプで問題になる温度ドリフト・時間ドリフトを極小に抑えています。
これにより、超低域から超高域までの広い帯域にわたり優れた位相特性と伝送能力を獲得し、くわえて超低域における位相歪を排除し裸特性を引き上げてLow
TIMの思想を現実に実践することに成功しています。
P510Mで採用したESP回路を備えています。
このESP回路は、過大な出力電流・電圧や出力端でのDC発生を瞬間的に検知し、ドライバートランジスタへの信号を安全値に制限しオーバードライブやショートから守っています。
しかも瞬間差動で周波数や時間をも検知しプログラムを中断することなく継続的に保護を行います。
さらに、電源ONによるショックノイズを防止する遅延回路(4秒)も併せたリレーを備え、トランジスタの事故の場合、スピーカーが自動的に切り離します。
現実のプログラム再生で、ダイナミックレンジの広いダイレクトカッティング等のソースにおけるトランジェントのピークは平均レベルを+10dB~+20dB(10~100倍)超えることがあります。
このようなピークに対して瞬間的に応答するピークインディケーターを備え、レベル調整を容易にしクリップを防いでいます。
イコライザアンプは、特注のローノイズ素子による差動入力アンプ、バッファアンプ、低電流負荷Aクラスアンプの5Tr構成で、初段差動3段直結ディファレンシャル回路となっています。
ラウドネスコンターを装備しており、人間の耳の特性に応じて小音量時の低・高域を、音量に応じて10段階にフレッチャーマンソンカーブによる補正量で微調整可能です。
MIDレンジコントロール可能なマランツ独自のトライトーンコントロール機構を装備しています。
テープデッキからデッキへコピーが可能で、モニターも可能なTape Copy機構は独立回路で他のソースを個別に差動可能です。
ロールオフ特性の優れたベッセル型フィルターを採用しています。
9kHz・15Hzで18dB/octの急峻なロールオフカーブを実現し、位相歪を低減することに成功しています。
トーン回路をジャンプし、周波数特性をフラットに設定するトーンディフィートを装備しています。
DC/ACアンプ切換スイッチを搭載しています。
木製キャビネットは別売りです。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ |
定格出力 (20Hz~20kHz、両ch駆動) |
90W+90W(8Ω) 115W+115W(4Ω) |
周波数特性(20Hz~20kHz) | +0、-0.2dB |
全高調波歪率 | 0.03% |
混変調歪率 | 0.03% |
ダンピングファクター | 60 |
入力感度/インピーダンス | メインアンプ入力:1.5V/30kΩ フォノMM:1.8mV/47kΩ マイク:1.8mV/47kΩ 高レベル:180mV/25kΩ |
定格出力/インピーダンス | Pre Out:1.5V/200Ω |
RIAA偏差(20Hz~20kHz) | ±0.2dB |
トーンコントロール特性 | bass(100Hz):±10dB mid(700Hz):±6dB treble(10kHz):±10dB |
フィルター | Low:15Hz、18dB/oct High:9kHz、18dB/oct |
消費電力 | 240W(電気用品取締法) |
電源 | 100V、50Hz/60Hz |
外形寸法 | 幅416x高さ146x奥行316mm |
重量 | 15kg |
別売 | 標準ウォールナットキャビネット WC-110(¥7,000) 標準マホガニーキャビネット WC-110N(¥12,000) |