
LUXMAN PD555
セット:¥450,000(1980年4月発売)
本体 PD555
:¥330,000(1980年4月発売)
ユニット VS555:¥120,000(1980年4月発売)
解説
バキューム・ディスク・スタビライザーを搭載したターンテーブル。
バキューム・ディスク・スタビライザー
レコード盤をターンテーブルに吸着一体化するバキューム・ディスク・スタビライザーを採用しており、レコード盤の共振や、反りに起因するアームとカートリッジの低域共振(5Hz~10Hz)を徹底的に追放しています。
PD555では空気吸入のためにターンテーブル表面に溝と吸入口、内部に吸入通路が設けられており、これに外部のスタビライザユニットを接続する構造となっています。スタビライザをONにすると大気圧がレコード盤をターンテーブルに押さえつけます。この時の圧力は重量に換算すると、吸着部分に対し約250kgのスタビライザがかかったことになります。
PD300では吸着システムを実現するため、真空ポンプを採用しています。これはふいごの原理を応用したシンプルなもので、確実な吸着動作の原動力となっています。また、空気吸引経路としてターンテーブル表面に2本の溝と吸入口を設けており、ターンテーブル内部には空気通路があり、チューブでポンプと接続されています。
スタビライザがレコード盤を吸着した後は長時間気密が保たれます。これはターンテーブル表面に設けられたシーリング・パッドの密閉効果や、シール・リングや液体パッキング(シリコン)などで空気通路の気密保持を完成しているためです。
このため、スタビライザ・ユニットは空気吸入の時と解除の時に動作するだけで済むため、スタビライザユニット動作による騒音などの影響はありません。
スタビライザのon/offはプレイヤー上面のスイッチで操作できます。
また、プレイヤー本体への接続はリモートケーブルと吸入チューブをワンタッチ接続するだけでよく、それぞれ2mの長さをとっているため、設置場所や部屋の条件に合わせて自由に設置が可能です。
吸着の程度はプレイヤー上面のバキュームメーターでモニターできます。
スタビライザスイッチをonにするとユニット内のポンプが1ストローク動作し、同時にバキュームメーターがレコード盤とターンテーブルの間の真空度を外気圧との差(単位cmHg)で表示します。
メーターには業務用の高精度のものを採用しており、モニターとしての信頼性を高めています。
オートスタビライザ機能を搭載しています。
この機能ではレコード回転のon/offにスタビライザを連動させることができます。プレイヤーボードの下に設けられたオートスタビライザ切替スイッチでonにしておくと、レコード回転のスタートと同時に吸着し、停止に合わせて解除がされます。
ターンテーブル部
PD555ではターンテーブルとサブターンテーブルを用いた構造を採用しています。
駆動部にはベルトドライブ方式を採用しており、これをブラシ&スロットレスDCサーボモーターで駆動しています。自重8.5kg、慣性モーメント1.2t・cm2のハイ・イナーシャターンテーブルの強大なエネルギーを活かして静粛なレコード回転を実現しています。
ターンテーブルにはキャスト方式を採用しています。
大量生産に向いたダイキャスト方式ではなく、より緻密な精度が得られるキャスト方式を採用し、純度の高いアルミ材を使ってあらましの形を比較的ゆっくりと圧力をかけて作り、これを精密に仕上げています。これにより表面の高い精度を得るだけでなく、内部に発生する気泡なども徹底して除去し、密度を高度に均一にしています。また、形状は内側の凹んだ部分の少ない塊と呼べる形状に近づけることで共振を除去しています。
サブターンテーブルには接触面を広くとった面受け構造を採用しており、ターンテーブルの共振を徹底して排除しています。
また、ターンテーブルと同様にアルミキャストを採用することで回転精度を高めています。特に内部の軸受け部分との接触面や空気吸入の通路部分には高度な精度を与えており、気密性保持の対策も十分に施されています。
キャビネット部
シャーシ構造は3mmの分厚い鉄板とアルミ押し出し材で24mmの積層合板を挟んだサンドイッチ構造となっています。さらに、アルミ材と合板の間には内部損失を持つ制動接着テープを採用しており、強度を確保した上で共振を追放しています。
脚部にはラックス独自の2段階制動式インシュレーターを採用しています。
プレイヤーが外部要因によって受ける不要振動をインシュレーターでダンプする場合、fo(最低共振周波数)を低く取り、foでのQ(共振の鋭さ)を高くするほど振動全般に対する遮断特性に優れています。しかし単純にQを高くするだけではfo付近の大振幅振動に対して不安定になるという相反した条件を伴います。
PD555ではシャフトをネオプレンゴムで支えたハイコンプライアンスの状態でQを高くして微小振動を遮断し、大振幅振動に対してはシリコングリスの粘性制動とスプリングを組み合わせて対処する2段階制動方式となっています。
アームベース
PD555ではロングアームを含む2本のアームをワンタッチで取付可能です。
アームの着脱はスライディングアームベースで行います。これは旋盤に使われているスライドベッドからヒントを得た方式で、かんたんな操作で確実に取付られるうえ、精密な位置決めが可能です。アームレールにそってベースをスライドし、、パネル面に記されたオーバーハング・ゲージを見て最適位置で固定します。
アームベースにはハウリング特性を考慮して亜鉛ダイキャストを採用しています。
その他
回転数微調整機能を搭載しており、ターンテーブル横に設けられたストロボスコープを見ながら回転数を微調整できます。
PD555では33rpm、45rpm、78rpmの回転数切替ができます。また、ストロボスコープはターンテーブル裏面に設けられたユニークな模様を水晶発振器による点滅光で表示するため正確な調整が可能です。
オーバーハングゲージを搭載しています。
一般的にオーバーハングの調整はカートリッジの固定ネジを緩めるため手間がかかりますが、PD555ではアームベースをスライドさせるだけで行うことができ、しかもパネル面にゲージを設けているた簡単にアームやカートリッジを交換できます。
バキュームディスクスタビライザを使用せずにハイイナーシャ・ベルトドライブターンテーブルとして使用することもできます。
このために、音溝部分のみに支持する形状にしたプラッタ・マットが付属しています。
機種の定格
型式 | レコードプレイヤー | |||||||||||||||||||||||||||||
<フォノモーター部> | ||||||||||||||||||||||||||||||
駆動方式 | ベルトドライブ方式 | |||||||||||||||||||||||||||||
モーター | ブラシ&スロットレスDCサーボモーター | |||||||||||||||||||||||||||||
ターンテーブル | 30cmアルミキャスト製、8.5kg | |||||||||||||||||||||||||||||
慣性モーメント | 1.2t・cm2 | |||||||||||||||||||||||||||||
回転数 | 33rpm、45rpm、78rpm、3スピード切替式 | |||||||||||||||||||||||||||||
回転数調整範囲 | ±2.5%、各回転数独立調整可能 | |||||||||||||||||||||||||||||
SN比 | 60dB以上 | |||||||||||||||||||||||||||||
ワウフラッター | 0.03%以下(WRMS) | |||||||||||||||||||||||||||||
起動時間 | 4秒以下(33rpmの時、1回転以下) | |||||||||||||||||||||||||||||
<総合> | ||||||||||||||||||||||||||||||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | |||||||||||||||||||||||||||||
消費電力 | PD555:20W VS555:70W |
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外形寸法 | PD555:幅664x高さ175x奥行392mm VS555:幅102x高さ154x奥行512mm |
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重量 | PD555:26.5kg VS555:7.0kg |
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別売 | アームベースパネル TP-SG(¥2,000) アームベースパネル TP-MT(¥2,000) アームベースパネル TP-LH(¥2,000) アームベースパネル TP-LS(¥2,000) アームベースパネル TD-X(¥2,000) |
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