オーディオの足跡

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PD300の画像
 解説 

バキューム・ディスク・スタビライザーを搭載したターンテーブル。


バキューム・ディスク・スタビライザー

レコード盤をターンテーブルに吸着一体化するバキューム・ディスク・スタビライザーを採用しており、レコード盤の材質や反りによる有害共振を徹底的に排除しています。
PD300では吸着システムを実現するため、真空ポンプを採用しています。これはふいごの原理を応用したシンプルなもので、確実な吸着動作の原動力となっています。また、空気吸引経路としてターンテーブル表面に2本の溝と吸入口を設けており、ターンテーブル内部には空気通路があり、チューブでポンプと接続されています。
この吸着システムによって音溝部分に与えられる圧力を重力換算すると約50kgのスタビライザを乗せた事と同等で、優れたスタビライザ効果が得られます。

吸着と解除の操作はキャビネット前面に設けてある吸着レバーを操作することで行います。通常位置は水平で縦位置に起こすと吸着動作が行われます。この時、規定の吸着状態が得られると、吸着レバー横のインジケーターが燈から青に切り替わって表示します。このインジケータはレコードとターンテーブルの間の真空度を検知して動作をします。

バキューム・ディスク・スタビライザーはもともとはカッティングマシンの吸着システムにヒントを得たものです。
カッティングマシンのシステムは空気を吸い続けて吸着状態を保持する方式となっているためノイズや振動を伴い、そのままプレイヤーに導入するには問題があります。そこで、PD300では吸着状態を保つ密閉度を得るためにターンテーブル面にシーリング・パッドを設けています。このパッドはLPレコードの音溝の外周部と内周部に当たる部分に設けており、音溝部分がターンテーブルに吸着すると、柔軟にレコードに密着して密閉状態を作り出します。これによって一旦吸着すれば吸着動作を停止させても長時間規定の吸着状態を保つことができます。
このシーリング・パッドは経年変化が少ないものが選ばれており、長期間の使用に耐えるようになっていますが、サービス・パーツとしての互換性も備えた設計となっています。


ターンテーブル部

ターンテーブル駆動部にはベルトドライブ方式を採用しており、モーターをカートリッジの軌道から遠ざけることで振動とフラックスの影響を排除しています。
モーターにはブラシ&スロットレスのDCサーボモーターを採用しており、10倍速回転という低速で使用することで振動の発生を抑えています。また、併せて自重3.5kgのアルミダイキャスト製ターンテーブルを搭載し強大な慣性質量を得ています。これらによってダイレクト・ドライブなどのサーボ方式とは本質的に異なる、慣性エネルギーによる静粛で滑らかなレコード回転を実現しています。

ターンテーブルを支える軸受部には堅固な素材と構造を採用しており、シャフトはステンレスを素材として10mm径を持たせ、超硬鉄の軸受けボールで受けています。さらに、これを真鍮による大型軸受けでしっかりと支え、36mmφの大型ナットでシャーシに固定して一体化しています。


キャビネット部

PD300では軸受部とアームベース取付部をメインシャーシとして一体構造にし、アルミダイキャストで剛体成形しています。また、重量級のアームベースも6本のボルトでがっちりと一体化しています。
この一体構造によって吸着システムの効果と併せて、レコード盤-ターンテーブル-トーンアームの再生系のルームの中から不要振動の発生源を追放しています。

外部振動対策として十分な堅牢さと重量をもたせたキャビネットを採用しており、さらにメイン・シャーシとの間には3個のメインインシュレーターを設けています。そして、キャビネット脚部には大型のサブ・インシュレーターを設け、ダブル・インシュレーション方式としています。
この二重のインシュレーターによって外部振動の影響を排除しています。

メインインシュレーターはメインシャーシに設けられており、一体構造の再生系をキャビネットから吊り下げると同時にダンプしています。
このインシュレーターにはラックス独自の2段階制動式を採用しており、振幅の大小を問わず外部振動を巧みに遮断しています。この方式では、まず特殊ゴムでシャフトを支えることで内部損失によって微小振動をカットし、併せてシリコングリスの粘性制動とスプリングの組み合わせによって大振幅振動を遮断しています。
なお、このインシュレーターでターンテーブルの水平バランス調整ができます。

サブインシュレーターはキャビネット4隅の脚部に設けられています。
このインシュレーターではプレイヤー全体を支えると同時に置台からダンプする役割を持っています。素材には天然上質ゴムを主体とした大型のものを採用しています。
サブインシュレーターではプレイヤー全体の水平バランスが調整できます。


その他

ターンテーブルの回転微調整機構を搭載しており、ターンテーブル手前に設けられたストロボスコープで33rpm、45rpmとも独立して調整できます。このストロボスコープはターンテーブル裏面に刻まれたパターンを内蔵のクォーツ発振器による点滅光で表示するため、極めて正確な調整が可能です。
なお、調整用ツマミはキャビネット下部に設けられています。

オーバーハング調整機構を搭載しています。
PD300ではアームベース取付時に容易にオーバーハング調整ができるよう設計されています。アームベースの取付はアームベースと取付金具でメインシャーシを挟む形にしてボルトによって固定しますが、アームベースのアーム取付穴は中心を外れた位置に設けられているため、アームベースを回すことによってオーバーハング調整ができます。しかも、メインシャーシのボルトを通す穴を余裕をもたせた形状にしているため、微調整して適正なオーバーハングがとれます。

アームベースは着脱式となっており、トーンアームの交換が容易に行えるよう設計されています。このアームベースは8mm厚のアルミ削り出しの重量級のもので、取付も6本のボルトでしっかり固定する方式にしています。
アームベースはアーム取付穴の形状によって4種類が用意されていました。

ラインフェーズセンサを搭載しており、PD300の極性をチェックできます。

機種の定格
型式 レコードプレイヤー
<フォノモーター部>
駆動方式 ベルトドライブ方式
モーター ブラシ&スロットレスDCサーボモーター
ターンテーブル 30cmアルミダイキャスト製、3.5kg
慣性モーメント 500kg・cm2
回転数 33rpm、45rpm、2スピード切替式
回転数調整範囲 ±3.0%、各回転数独立調整可能
SN比 60dB以上
ワウフラッター 0.03%以下(WRMS)
起動時間 3秒以下(33rpmの時、約3/4回転以下)
<総合>
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 15W
外形寸法 幅490x高さ200x奥行390mm
重量 18kg
別売:アームベース ¥5,000
   適用トーンアーム一覧表
型番 メーカー 適用トーンアーム
TF-MT STAX
Grace
MICRO

FR
Ortofon
SAEC
Audio Technicca
UA-7、UA-3、UA-9
G-704、G-714
MA-505、MA-707X、MA-303
MA-101mkII、MA-77mkII
FR-64、FR-64S、FR-14
RMG-212
WE-308、WE-407/23
AT-1503III、AT-1100
TF-LH Victor
Technics
Luster
Audio Craft
UA7045
EPA-100
GST-801
AC-300mkII、AC-3000MC
TF-SG Grace

FR
DENON
Audio Craft
Exel Sound
ADC
G-940、G-545F、G-840F
G-707、Σ-709、G-945
FR-54
DA-305、DA-307、DA-309
AC-3000、AC-300A
ES-801
LMF-1、LMF-2
TF-LS SME 3009SII、3009SIII