解説　

D-500X's、D-500X'sIIの設計思想や基本構成を継承しつつ、いっそうの完成度を目指して見直しを図ったCDプレイヤー。

トップローディング方式を採用しており、スライド機構などの不安定な構造体を排除することで、不安定な可動部分によって生じる有害な共振や、乱気流によるディスク自体への影響を抑えています。
しかもローディング部全体をフローティング構造としたうえ、強固なベースにマウントすることで内部振動や外部からの振動も遮断し、トレース能力を向上させています。さらに、ディスク取り出し用の凹みも回転時の乱気流を抑える形状とするなどの配慮が施されています。

ピックアップ部にはフィリップス社製ピックアップ・メカニズムCDM-3を採用しています。
CDM-3では、支点の明確なダイキャスト製スイングアームと、常にディスクとの平行を維持するパンタグラフ構造のフォーカス機構をダイキャストフレームにマウントしています。さらに、サイドビームからの影響を排した1ビーム方式によって光学的にも高度な性能を確保しています。この高精度ピックアップ機構により、サーボ回路の余分な負荷変動を抑え、電源への影響やジッターの低減を可能にしています。

デジタルフィルターには8倍オーバーサンプリングデジタルフィルターを採用しており、D/A変換部には高精度18ビットDACを搭載しています。DA変換にともなう再量子化誤差や歪を精度の追求によって克服し、コンバーターの基本に徹したシンプルな構成を実現しています。これにより複雑な演算処理に要する負担を減らし、デジタルノイズを極少に抑えています。

トップパネルと底板を斜めに向かい合わせ本体をくさび形に挟み込んだ強靭な構造とすることで、固有振動やねじれを追放し、外部からの振動に対しても優れた安定性を確保しています。
また、FRP、アルミ、鋼板、ウッドなどの振動モードの異なる素材を適所に配することによって共振を極少に抑え、構造全体の合成を高めています。

振動に敏感なサーボ回路の基板をメカニズムから分離することで、わずかな振動からの影響を遮断しています。

電源部には、優れたレギュレーションを達成するため100VAクラスの電源トランスを搭載しています。
さらに、DAC/アナログ部、コントロール部、アクセサリー部、FLディスプレイ部、FLヒーター部のそれぞれに別々の巻線から電源を供給する5系統の独立電源を構成することにより、回路間の干渉を抑え、信号経路へのノイズの混入を遮断しています。
また、アナログ部用の電源はトランス内部の巻線から静電シールドが施されており、徹底的なクリーン化が図られています。さらに、強力な電源回路を形成することで大電流を消費するメカニズムの瞬間的な動きがなログ信号に影響を与えるのを防いでいます。

電源供給回路にはバスバーを使用しており、それぞれの回路に電源を供給する際のインピーダンス変動を抑えることで、い瞬時の電流供給にも余裕を確保しています。

適切な回路の選択や、より高度なアースパターンの処理などのアンプづくりで獲得したノウハウを活かしたノイズ対策がほどこされており、シールド板の採用やレイアウト変更によってノイズ源の除去を図るとともに、高周波ノイズ対策を徹底することで聴感上のSN比を向上させています。

シンプルな回路構成から最大限の性能を引き出すため、高音質パーツを随所に採用しています。
音質追求型ピュアフォーカスコンデンサーやRMA抵抗、独自に開発した音質対策電解コンデンサー、銅筒入り銅箔スチロールコンデンサーなどのカスタムパーツが採用されています。

アナログ出力は固定出力1系統を装備し、デジタル出力はコアキシャル出力端子1系統を装備しています。

D-500では内部の徹底的な極性管理がされています。
また、電源極性(プラグの差し込み方向)を管理できるラインフェーズセンサーを搭載しています。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

機種の定格

型式	CDプレイヤー
量子化ビット数	18ビット直線量子化
サンプリング周波数	44.1kHz
周波数特性	5Hz～20kHz ±1dB
ダイナミックレンジ	103dB(EIAJ)
S/N比	103dB(EIAJ)
チャンネルセパレーション	106dB(BPF-1kHz)
ワウ・フラッター	測定限界値以下
全高調波歪率	0.002%(1kHz、EIAJ)
出力レベル	2V(Fixed)
デジタル出力方式	デジタルオーディオインターフェイス
デジタル出力レベル	0.5Vp-p
ピックアップ方式	半導体レーザーピックアップ
メモリー可能曲数	20曲
消費電力	16W(電気用品取締法)
最大外形寸法	幅438x高さ117x奥行385mm
重量	13.3kg
付属	ワイヤレスリモコン