LUXKIT A3000
¥79,000(1台、1975年2月発売)
解説
出力管やドライバ管、出力トランスなどの新しい素材の開発と、これらを生かす回路技術を駆使した管球式モノラルパワーアンプキット。
出力管には新開発の大出力用3極出力管8045Gを採用しています。
この出力管には5重積層金属板による放熱効果の高い大型プレート電極や、放熱用フィンを設けた電極構造などによって45Wのプレート損失を得ています。
出力トランスには8045Gのために開発された新開発トランスであるGX100-3.6を採用しています。
GX100-3.6には特殊巻線方式であるクォドラファイラ巻きという多層分割構造のトランス技術が導入されています。このクォドラファイラ巻きとは、出力トランスの一次側巻線をプレート側(第1巻線)とカソード側(第2巻線)に分け、この他、ブートストラップ用巻線(第3巻線)とマイナーNF用巻線(第4巻線)を設け、これら4系統の巻線を同時に巻く方式です。
外観的にはOY36型を受け継いでいますが、内容的には鉄心寸法を大きくして取扱い容量をあげるとともにロスをできるだけ少なくして、35Hzにおいても100Wまで取り出せるように仕上げています。
出力回路にはクロスシャント・プッシュプル回路を採用しています。
この出力回路は上下の出力管の負荷をプレート側とカソード側にそれぞれ2分割し、これを互に交差接続するという構成となっています。この回路では出力管に6dBの科s−ド負帰還がかかるので、歪と内部抵抗が減少し、裸特性に大きな効果があります。
この回路を実現するには特殊巻線方式の出力トランスが必要です。
ドライブ段にはカソードフォロア直結回路を採用しており、出力インピーダンスを低く抑えて波形歪の無いドライブ電圧を得ています。また、この段には100%の負帰還がかかるため、歪や位相変化が少なく、出力管との直結接合にも都合の良い条件が整っています。
このドライブ段には新開発の高電圧用双3極ドライブ管である6240Gを採用しています。
カソードフォロア直結ドライブ回路ではゲインが稼げないため、同じく6240Gを用いたプリドライブ回路を設けてゲインを補っています。この回路のドライブ電圧は200Vrmsとなっています。
なお、この段のカソードには出力トランスの第4巻線からバランス方式で約5dBのマイナーループ負帰還をかけていますが、これによってプリドライブ段以後の諸特性が改善されています。
A3000の初段には双3極管12AX7を用いて差動増幅方式を採用しており、同時に位相反転の役目をさせています。
また、初段のプレートに直結される2段目にも同じく差動増幅を配し、初段で位相反転された信号を電圧増幅してプリドライブ段に送り込んでいます。この構成ではプッシュプル動作のバランスが自動的に補正されるため、歪率特性も非常に優れたものとなっています。
電源回路にはレギュレーションの良い電源トランス(S-1934)、直流抵抗の少ないチョークコイル(C-1744)、大容量の電解コンデンサ(220μFx2)を使用しています。
出力段にはブリッジ整流回路から電源を供給し、電圧変動を最小限に抑えています。
別売りでチューブキットTU3000がありました。
8045Gx2、6240Gx2、12AU7x1、12AX7x1。
機種の定格
※出力管に8045Gを使用 | |||
型式 | 管球式モノラルパワーアンプキット | ||
連続実効出力 | 60W(4Ω、8Ω、16Ω) | ||
全高調波歪率 | 0.2%以下(60W、1kHz) 0.05%以下(10W、1kHz) |
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周波数特性 | 10Hz~40kHz -1dB以内 | ||
入力感度/インピーダンス | 約800mV/80kΩ | ||
ダンピングファクター | 16(8Ω、1kHz) | ||
残留雑音 | 0.5mV以下 | ||
使用真空管等 |
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消費電力 | 150W(最大出力時220W) | ||
外形寸法 | 幅370x高さ170x奥行240mm | ||
重量 | 15.2kg | ||
別売 | 専用チューブキット TU3000(¥9,900) アッセンブリマニュアル(¥2,500) |