LUXKIT A1020
¥62,500(1973年3月発売)
解説
単に性能が良いだけでなく、デザインも考慮された管球プリメインアンプキット。
アンプ全体にわたって3極管を採用しています。
イコライザ部には2段のP-K・NF型、バッファ段には1段のP-G・NF型、トーンコントロール部にはLUX方式NF型を採用し、プリアンプ部としては合計4本の12AX7を配した構成となっています。
メインアンプ部の出力段には、内部抵抗が低く、低域特性の優れた3極出力管である6RA8と、全帯域にわたって優秀な特性を示すOY14型のアウトプット・トランスを組み合わせています。
この出力段をドライブする回路には低域の時定数が少なく、安定性の面で有利で、しかもゲイン(利得)が高くとれるムラード型と呼ばれるカソード結合回路を採用しています。
初段は6AQ8、位相反転段は12AU7の構成となっています。
外観のデザインはトランジスタ式プリメインアンプの500シリーズと合わせたデザインを採用しています。
ヘッドホン端子には、ヘッドホンプラグによるメインアンプ出力切換式を採用しています。
キットの場合は調整の問題がありますが、パーツの精度及び基板化など、機構面からも工夫をこらし、メインアンプにおいても最小限の調整個に押さえ、プリアンプにおいても無調整で所期の性能を引き出す事に成功しています。
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回路図Aは一般によく使われる2段P-K・NF型イコライザ回路で、回路図BはA1020に採用されたイコライザ回路です。
A1020に採用されている回路では、R2がV2のプレートからV1のカソードへ直接接続されています。この抵抗は回路図AのR1と値が同じで、同じように標準RIAAカーブの低域を決める働きをするものですが、回路図Bでは回路図Aに比べて低域の時定数が1段少なくなり、位相特性が改善されます。ハイカットとローカットのフィルターはCR1段型回路と呼ばれるものを採用しています。A1020では標準としてローカット周波数を35Hz、ハイカット周波数を11kHzとしていますが、この回路の各フィルタ用コンデンサーを1ヶ所ずつ変更することで、カットオフ周波数を変更することができます。
また、同様にトーンコントロール回路のターンオーバー周波数も該当する箇所のコンデンサを変更することによって、標準の低域ターンオーバー周波数、高域のターンオーバー周波数を変更することができます。
これらの変更についてはアッセンブリー・マニュアルに詳細が示されています。
機種の定格
型式 | 管球式プリメインアンプキット |
連続実効出力 | 10W+10W(4Ω、8Ω、16Ω) |
全高調波歪率 | 1%以下(定格出力時) |
周波数特性 | 20Hz~20kHz -1dB以内 |
入力感度/インピーダンス | Phono1、2:2mV/47kΩ Aux1、2、3:140mV/150kΩ |
SN比(入力ショート、無補正) | Phono:60dB以上 Aux:77dB以上 |
RIAA偏差 | ±0.5dB以内(30Hz~15kHz) |
トーンコントロール | LUX方式NF型 低域湾曲点:250Hz 高域湾曲点:5kHz |
フィルター | ローカット:35Hz、-6dB/oct. ハイカット:11kHz、-6dB/oct. |
アッテネーター | -14dB |
出力電圧 | Rec out:140mV Pre out:1V(定格) |
付属装置 | ヘッドホンジャック テープモニタースイッチ(2系統) 録音出力端子(2系統) プリアンプ・メインアンプ分離可能 |
使用真空管 | 6RA8:4本 6AQ8:1本 12AU7:2本 12AX7:4本 |
使用半導体 | SD-1B:4個 S1RB-40:1個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 150W(最大出力時) |
外形寸法 | 幅450x高さ160x奥行330mm |
重量 | 13.3kg |