LUXMAN SQ65
¥52,000(1965年8月発売)
解説
中出力アンプで得られた技術を元に開発された高出力のプリメインアンプ。
単に高出力だけを追求せず、高出力と低歪を目標に設計がされ、28Wの出力を実現しています。
出力回路にはカソードNF回路を採用しています。
カソードNF回路は、一般に用いられているNF回路のほかに、出力管に局部的にフィードバックをかける一種の多重NF回路方式で、この方式により出力管の内部抵抗を大幅に下げ、NFBを広帯域にわたって安定にかけています。
また出力トランスには、カソードNF回路用に設計された特殊巻線による専用型を採用しています。
出力管には7591のノーバ管7868を使用しています。
ノーバ管は、MT管の形体にGT管の容量を持たせた9ピンの大型MT管で、GT管の欠点とされていたステムベースの裂傷やハンダ付不良によるトラブルを解消しています。
7581(7868)はMcIntosh-225型に起用されて定評を確立したHi-Fi用の出力管で、6L6GCの高感度型といった球で、40W以上(AB級P.P.)の大出力が取り出せます。
ペアをなす出力管は、それぞれ独立した調整器によって、ACバランスも完全に調整されており、出力管は、固定バイアス方式で動作させています。
ドライバー回路は、英国LEAK社のポイント・ワン型アンプに使用された、いわゆるLEAK型を採用しています。
また、このメイン部の初段管には直流点火を用いており、総合的なSNの改善に成功しています。
プリアンプ部は、ラックス型としてSQ5BやSQ38などに採用されたオールNF型を採用しており、歪の増加を防ぎ、入力感度の上昇だけを企図して、5極管を配しています。
イコライザー回路にはテープ用としてNAB規格の19cm用と低速9.5cm用の2種を搭載しています。
トーンコントロールにはラックス型を採用しています。
Extra Bass回路を搭載しています。
この回路は、低域補償を目的とした一種のMFB回路で、スピーカーの特性に応じて、foを自動的に低域へずらす事ができます。
例えば、foが80Hzのシステムでは、その半分の周波数40Hzまで下げる事ができ、低域に再生能力を実質的に1オクターブ拡張することができます。
ただし、この回路は密閉型のスピーカーシステム以外には使えません。
Low/Highの2種のフィルター、3ヘッドテープレコーダーなどによるテープモニター、ステレオ音源の広がりを調整するブレンドコントロール、などの機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | 管球式プリメインアンプ | ||||
出力(50Hz) | 28W+28W | ||||
歪率 | 0.5%以内(28W) | ||||
周波数特性 | 20Hz~20kHz -1.5dB以内 | ||||
入力感度(20W、1kHz) | Tape(9.5cm):1.7mV Tape(19cm):2mV Phono:4mV AUX1:250mV AUX2:500mV |
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SN比 | Tape:54dB Phono:63dB |
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トーンコントロール | ±16dB、LUX方式NF型 | ||||
イコライザー | Tape:NARTB(9.5cm、19cm) Phono:RIAA |
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フィルター | Low cut:100Hz、6dB/oct High cut:5kHz、6dB/oct |
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メイン部NFB | カソードNF:6dB メジャーNF:15dB 合計21dB |
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使用真空管等 |
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消費電力 | 無信号時:125W 最大出力時:156W |
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外形寸法 | 幅363x高さ127x奥行320mm | ||||
重量 | 14.2kg |