
LUXMAN MA-88
¥400,000(1993年10月発売)
解説
蓄積された技術とノウハウをもとに新時代の管球式パワーアンプとして設計された管球モノラルパワーアンプ。
出力管にはゴールデン・ドラゴン製KT-88 Superを採用しています。
KT-88 Superは世界で最も広く使用されてきたKT-88のプレート材質などに変更を加えながら改良を施したビーム管で、オリジナルのKT-88よりも歪率特性に優れています。
初段にはプレート形状が大きく音質にゆとりのある12BH7Aを、ドライバー段には出力インピーダンスが低くドライブ能力に優れた6CG7をそれぞれ採用しています。
能率が低くインピーダンスの変動が大きい現代スピーカーに対応するためには40~50Wの出力が必要となります。このため、MA-88では出力管を3極管接続やUL接続とせず、無駄が無く位相回転の極度に少ない5極管接続としています。
また、スクリーングリッド用に整流管6X4WAによる専用電流を使用しており、プレートとスクリーングリッドを切り離し、動作基準の安定化を図るとともに、動作電圧をそれぞれ理想的な値とすることによって真空管の寿命にも配慮しています。
回路構成にはウィリアムソン回路を採用しています。この方式では増幅基準点にコンデンサーが入らないため基準が常に明確で、しかも固定バイアスであるため対アースにコンデンサーが含まれず低域に癖を生じないという特長を持っています。
また、フィードバックはウィリアムソン・タイプとしては比較的浅い12dBにとどめ、入力信号のエネルギーを損なうことなく歪を抑えています。
出力トランスにはOY-36を再生産して使用しています。
このOY-36復刻版はコアとコイルは全く同じものとした上で、銅製の遮蔽板を挿入することでコアとアース電位とを遮断しており、マウント方法とパッケージングが改善されています。
出力端子は多数のタップを設定することによる音質劣化を避けるため、6Ω専用としています。
電源回路には新設計の電源トランスを採用しており、電源フラックスを避けてケース入りとするなどの厳重なシールドが施されています。
回路構成は高圧、バイアス回路ともに両波整流とし、高圧巻線は電圧変動に有利な5U4GBを用いて整流しています。また、ヒーター用には各段ごとに巻線を分離し、ヒーターによる相互干渉を軽減しています。さらに点火は全て交流点火となっています。
この他に、フィルター回路にはチョーク付きコンデンサー・インプットを採用し、電圧効率が良くレギュレーションに優れたチョーク付きとすることでコンデンサーインプットの特長を活かしています。
シャーシは1.6mm厚となっており、全面に銅メッキを施し、部分電位の速やかな解消を図ってアースの明確化を行っています。また、アッテネーターとラインフェーズセンサー以外に基板を使用しておらず、全て直接配線としています。
さらに、FRPシャーシカバーによってシャーシを安定させ、内外部の振動を排除しています。
コンデンサーの殆どにカスタムコンデンサーを採用しています。また、電解コンデンサーも550V耐性のカスタムメイドとなっています。抵抗には大型カーボン皮膜タイプを使用しています。
さらに、内部配線材にも高品質なワイヤーを使用しています。
リアパネルには固定抵抗切替え式の12接点ロータリースイッチによる入力レベルコントロールを搭載しています。
入出力端子にはニッケルメッキの下地を使わない銅下ダイレクト金メッキによる高品質ピンジャックを採用しています。
大型万力タイプのスピーカー端子を採用しています。
ライン・フェーズ・センサーを搭載しています。
別売りで専用ボンネットカバーがありました。
機種の定格
型式 | 管球式モノラルパワーアンプ |
定格出力 | 45W(6Ω) |
全高調波歪率 | 0.1%以下(1kHz、1W) |
周波数特性 | 5Hz~30kHz(-1dB以内、1W) |
入力感度/インピーダンス | 0.8V/60kΩ |
SN比 | 90dB以上 |
使用真空管 | KT-88 Super:2個 6CG7:1個 12BH7A:1個 5U4GB:1個 6X4WA:1個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 120W 170W(定格出力時) |
外形寸法 | 幅220x高さ175x奥行455mm |
重量 | 17.0kg |
別売 | ボンネットカバー BMA-88(¥40,000) |