
LUXMAN M-4000
¥350,000(1975年8月発売)
解説
M-6000の小出力版にあたるステレオパワーアンプ。
メインアンプ部は2段差動増幅回路を用いた全段直結ピュア・コンプリメンタリーOCL方式、トリプル・プッシュプル出力回路という構成になっています。
出力段には出来るだけゲインがとれ、かつfT(高域遮断周波数)が高いパワートランジスタを片チャンネルあたり6個使ったトリプルプッシュプル構成を採用しており、各トランジスタのhfe-Ic特性のリニアリティの優れた部分を使って大出力時から小出力時まで低歪率で安定した動作を実現しています。
A級動作のプリドライブ段とB級動作の出力段の間にはエミッターフォロア回路が設けられており、スピーカー負荷によるインピーダンスの変動がプリドライブ段に及ぶことで歪特性が悪化するのを防ぐとともにプリドライブ段の高域における負荷条件を改善しています。また、要所要所に定電流駆動を配するとともに、fTが高くCob(コレクター出力容量)の少ないトランジスタを採用するなどによって、軽い位相補正を施すだけで全帯域にわたる安定した低歪率ドライブを可能にしています。
電源部は能率が良くリークの少ないトロイダルトランスを2個使用しており、4個の大容量コンデンサー(15,000μF)を組合せた構成となっています。さらに、B級動作の出力段を左右チャンネル別系統とするとともにA級動作のプリドライブ段に供給する電源を定電圧化するなどし、両チャンネル同時動作時の出力と片チャンネル動作時の出力が同一という理想的な電源方式を実現しています。
また、電源スイッチON時のラッシュカレントを制御する回路を搭載しています。
保護回路として、スピーカー保護のDCドリフト検出回路やアンプ保護の異常電流検出回路、ヒートシンク異常温度検出回路、パワートランジスタ監視用ヒューズ溶断検出回路を搭載しています。
入力回路にはレベルセット用として高級アッテネーターと同型の1dBステップ精密級ディテントボリュームを採用しています。
また、定電流駆動されたエミッターフォロア段を設けることでコントロールアンプとメインアンプ回路の間を電気的に絶縁し、両方が最良の状態で動作するように設計されています。
平均レベル表示の大型VUメーターと、ピーク値を表示するLEDピークインジケーターを搭載しています。
また、0dB~-10dBの出力表示感度切換機能や、出力表示OFFスイッチも搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
連続実効出力 | 180W+180W(8Ω、両ch動作/片ch動作、20Hz~20kHz) 270W+270W(4Ω、両ch動作/片ch動作、20Hz~20kHz) |
全高調波歪率 | 0.02%以下(8Ω、180W、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.02%以下(8Ω、180W、60Hz:7kHz=4:1) |
周波数特性 | 3Hz~100kHz -1dB以内 |
出力帯域幅 | 5Hz~30kHz -1dB(0.02%) |
入力感度/インピーダンス | 1.0V/50kΩ |
SN比 | 106dB以上 |
残留雑音 | 0.2mV以下 |
ダンピングファクター | 100(8Ω) |
付属装置 | 出力表示用VUメーター&ピークインジケーター 出力表示感度切換スイッチ 出力表示ON-OFFスイッチ 左右チャンネル独立型入力レベルセット(1dBステップ、22ポイント) |
保護回路 | スピーカー端子DCドリフト検出によるスピーカー保護回路 渦電流検出によるアンプ保護回路 ヒートシンク温度検出によるアンプ保護回路 パワートランジスタ用ヒューズ溶断検出によるアンプ保護回路 |
使用半導体 | トランジスタ:120個 ツェナーダイオード:5個 バリスタ:6個 ダイオード:70個 LED:15個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 120VA(無信号時) 750VA(8Ω、両ch動作、定格出力時) |
外形寸法 | 幅485x高さ175x奥行390mm |
重量 | 30kg |